ブラックボックス 〜禁じられし暗黒の一角〜

第3章 守るべきか、攻めるべきか

いい出会いに乾杯-15-

　アーウェンはギルドコインを受け取り、受付嬢は両替したお金を取りに戻る。
　「お待たせいたしました。こちらがリアルですね。このお金はこの国にしか使えません。お気をつけてください」
　受付嬢から1,000リアルを受け取ろうとしたら、声をかけられる。しかし、ここで振り向いて、お金を盗まれたら、たまったものじゃない、すぐに懐にしまい、振り向く。
　白い服に、青いスカーフを巻いた女性が立っている。
　クマがひどく、顔はやつれている。あの時の面影は着ている服ぐらいしか印象に残っていない。
　「探していたんですよ、ここではなんですから、他のところで話しませんか」
　レイカはそう言う。
　「こちらの指定した場所ならいいかな」
　アーウェンが答えると、レイカは頷く。
　「それじゃあ、これ受けます」
　アーウェンは振り返り、受付嬢に依頼を受ける。受付は受理される。
　「それじゃあ、門の外で聞くよ」
　門に向かう道を通っていると痛いほど視線を感じる。殺気とは違う。多分…パドーとかをパートナーがどうか見ているのだろう。門が目の前に差し迫っていても、誰も襲ってこないし話しかけにもこない。
　門を抜け、門番から100メートルぐらい離れたところで話す。
　「それでなんで探していたんですか」
　アーウェンが言うとレイカは眉を顰め、片方の頬を限界まで吊り上げ、引き攣るほど笑う。
　「なんで…ですって。アナタはその連れている子たちを使ってなにしようとしているの…この世界を壊す気でしょう。それとも、征服する気、魔王を倒して、摺り替えるきでしょう———」
　レイカは門違いの事を言い、話が飛躍して行く、彼女の思考は止められず、行くとこまで行く。
　「…まず———」
　アーウェンはレイカの言葉を止めるため、大声で威嚇する。
　「それをして、僕に何の徳がある。モンスターを全滅させた。人々のために魔王を倒した。人々のために。なのに…味方をしてくれるのが仲間だけなら、今と変わらない。だったら、ちょっと稼いで、彼女たちといた方が充実している。魔王を倒せる力があっても行かないよ」
　アーウェンが言い切る。
　「そうなったら、アナタが魔王になって暴力を盾にして、従わせて人間を———」
　レイカはまた飛躍して言い始める。遮るようにまたアーウェンが言う。
　「…まぁ、もし魔王になったら、まず反乱分子を倒しに行くだろうね。それが、竜であろうと人間であろうと。でもさ、そんな事してもしょうがなくない。復讐がまた復讐に繋がっていく。アナタは、僕を倒せない、援護が来たところで、いい引継ぎをしたって考えるかもしれないけど、残された夫、子供はどうするの。母親がいなくなったら、悲しむよ」
　アーウェンは自分の思っている事を言う。レイラは、体を震わせる。