恋をする前に、世界はどうやら滅ぶらしいです。

無月

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案外日常らしい

「純、お前はどうするんだ?」
「嵐?なにが?」
「学校、辞めるのか?」

クラス委員長をやっている真面目でなんでおれの親友をやっているのか謎の男、古寺こでららんがそう問い掛けてきた
今日もコイツ顔がいいな…と眺めていると何やら紙に書いているようで何それとおれは首を傾げる

「あぁ、退学希望者を書いて出してくれって先生が」
「うっわ、まじめー
お前は?やめんの?」
「今聞いてる中で、俺含め辞める気は無いらしい」

退学希望者とだけ書かれた紙はまっさらで誰の名前も書けれていない
当然おれもそこに名前を連ねるつもりは無いんだが…

「なんでお前ら辞めないの?」
「純ちゃんそれマジで言ってんの?」
「木戸ちゃん辞めないし、みんな辞めないってんなら辞める理由なくね?」
「そーだそーだー!」
「あーそう!聞いて悪うござんした!!」

クラス全員から帰ってくる反応に驚きながら赤らんだ顔を隠すかのように冷たい机に頬をくっつける
なるほど、案外みんなこのクラスが好きらしい
まぁ、退学しない時点でおれも同じ穴の狢なんだけど

「うぃーす」
「あ、よっすよっす冬馬ちゃん」
「あれ、士郎は勉強組か?」
「やぁやぁこてっちゃんに純ちゃん
そー、僕は1人クラスに置き去りされた可哀想な高校2年生さ…」

嵐の幼なじみであり、おれとも良くつるむ冬馬とうま士郎しろうのクラスはどうやらコイツ以外みんな辞めたらしい
しくしくと泣き真似をしながら自分のクラスから持ってきた机を置くとクラスの女子から慰めるようにお菓子が積まれていく

「すげ~めっちゃ山になってる」
「可哀想なトウマちゃんにジュースもあげる~」
「佐々木~それ美味しくないやつじゃん」
「バレちった?」
「バレないとでも思ったの?!
なんなの?味噌鍋炭酸って」
「いやいや、これはジュースじゃないね
炭酸抜いてあっためると味噌鍋だよ」
「そりゃ鍋って書いてんだから当たり前でしょ」

隣の席の佐々木や集まってきた女子達とじゃれている冬馬の机からチロルチョコをひとつ貰い、口に放り込む
甘くて、モチモチしてる餅のやつだ、ラッキー

「…この光景も来月には見れないのか」
「そりゃみんな死んじゃうからね」
「俺は、死にたくないなぁ」
「…まぁ、天災みたいもんなんだし仕方ないでしょ」

もうひとつ、チョコを貰い難しそうに顔を顰めた嵐の口に押し込んだ
少し表情が緩みむぐむぐと口を動かしているのを見て、おれはまたSNSを開いた

相変わらず、隕石の情報やら、仕事辞めた報告やらしにたくない、しにたいやカオスな状況だけど、

案外日常は余り変わらないのかもしれない
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