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2章 約束と忘れた思い出
12.自己紹介とじいやの話
しおりを挟む屋敷を震わせるほどの叫び声をあげた後、「え?え?」とシロエが混乱しているのをあらあらと見守っていると廊下からドタドタと騒がしい足音が聞こえ、部屋の前で足音が止まるとバンッっとドアが力強く開かれる
「魔女さま、ご無事ですか?!」
「あらリオン、大丈夫よ
それと廊下は走ってはいけないのよ」
いつも通りの調子で言うとほっと息をつかれ、扉の向こうでは真夜が頼んだであろう消化のいいものを持ってきてくれたのだろうエーデルも心配そうにこちらをのぞき込んでいた
「…えっと」
恐る恐るといった様子にシロエは真夜の服を掴み、陰に隠れながら様子を伺っている頭をなでながらリオンとエーデルに軽く紹介をする
「そちらがエーデルの言っていた…?」
「そうよ。別世界の魔女の娘と息子で角付きの子供。
いい子だからあなた達も仲良くしてあげてね」
「は?別世界の魔女?!
…いや、ですが…」
「いいから。
ほらシロエ、このお兄さんとお姉さんに自己紹介して御覧なさい」
真夜が肩を優しく抱きながら前に出すと俯きながらもシロエは口を開いた
「シロエ、です。そこでまだ眠っているのは、弟のクロエ、です。」
「よくできました。とっても偉いわ
ほら、二人も自己紹介なさい。」
そうシロエをほめると嬉しそうに口角を上げるのを少し微笑ましく見守りながらも困惑している夫婦に自己紹介を促した
「あ、あぁ、えぇっと、リオンだ。」
「妻のエーデルです。」
「よろしく、お願いします」
小さくお辞儀をして、ぴゃっっと後ろに隠れたシロエを挨拶出来ていい子ね、とほめながらエーデルとリオンに顔を向けた
「まぁ、この子達うちで引き取る事にしたから、2人とも仲良く、ね?
あぁ、なんなら将来の予行練習みたく接したらいいんじゃないかしら」
「ま、魔女さま…!!」「揶揄わないでください…!!
早く孫がみたいわねとクスクスと真っ赤な顔をした二人を揶揄いながらもまだ眠っていて目を覚まさないクロエに目を向ける
これだけ騒いでいても目を覚まさないのは流石に少しおかしいように思える
疲れているから?いや、それは少し違うように見える
そっとクロエに触れてみるがピクリとも動かず、すぅすぅと気持ちよさそうに寝息をたて随分と深く眠っているようだ
「…?どうしたの?」
「え?あぁ、シロエ、クロエっていっつもこんなに眠るのかしら?
「ん-ん、今日はいっぱい寝てるね
でも、きっと魔力をいっぱいつかったからだわ」
「魔力を?なにに使ったの?」
「私たちを引きはがそうとする大人たちから逃げるときにいっぱい魔法を使ったの!
隠れたり、空を飛んだり。
クロエは魔力の操作が苦手だから私が魔法を使ったのよ!」
エッヘンと胸を張るシロエに敵対していた魔族と似たような特徴をもっているから、と及び腰だったリオンとエーデルがその言葉に驚く
「それってもしや…
魔力の譲渡…?!そしてそれを操る?!
こんな幼い子供にそんな高度な技術ができるわけが…」
ただ事ではなさそうなリオンとエーデルの様子に真夜は首をかしげながらまだ少し人見知りをしている様子のシロエに聞いてみる
「ねぇ、シロエがクロエの魔力を操って魔法を使ったの?」
「え?うん、そうよ。
お手伝いとかで、いつもやってるの」
するとなんでもなさそうに答えるまだ幼い少女に夫婦は絶句していた
「そんな…魔力の質で拒否反応が起こることもあるのに…」
「あら、そんなに驚くことなの?」
「そうですわ!!魔力譲渡はいくつもの段階を踏んでからではないとかなり危険なもので…
そもそも、それをしなければいけないものは魔力失調などの病でなければあまり行いません。
魔力の相性によってはアレルギー反応を起こして死に至ることも…!!」
そう説明され、ふぅんと軽く聞き流しながら相性に関しては思い当たる事があり真夜はその考察を口に出す
「まぁ、魔力の質は双子だからできることでしょうし…
普通の兄弟や親族、一族とかも魔力の質が似ていたりするし、双子なんてとくに顕著に現れるでしょう
そもそもこの子達の種族のあり方はじいやに近いのでしょうね」
「え?」
やっぱり、この子達の世話はじいやに任せるのが正解よね
力の使い方も教えられるはずだし、マナーとかの教育もしてもらおうかしら…
というか、子供達の着替えてを持ってくるといって戻ってこないわね、どこいったのかしら?
なんて考えながら流石魔女の子供達、才能がすごいわねぇとほめているとリオンとエーデルから困惑する声が上がった
「え、じいやさんの種族は、人間では…?」
「ん?あれ?いっていなかったかしら
じいやの種族って精霊や妖精の類よ?
だから魔法の扱い方が上手だったり、魔力の量が多かったりするのよ。
ほら、掃除とかで魔法を使っているところ見たことなぁい?」
元々魔力と共にある種族ですしと続けるとリオンとエーデルは何故かぴしりと石のように固まってしまった
おーい、と目の前で手を振ってみても反応はなし…
え?そんなにビックリすることだったかしら…?
なんて思っているとじいやが衣類の入った籠を持って部屋に戻って来る
「じ、じいや…どうしましょう…
2人が固まって…」
「お嬢様、なにをされたんですか…」
ハァっとため息をつかれたけど別にわざとじゃないのよ!!わざとじゃ!!
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