魔女の理想郷で〜それは誰かを待ち続ける少女の話〜

無月

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2章 約束と忘れた思い出

13.名前と寝坊助のお目覚め

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「じいやさんが…人間じゃないって本当なんですの…?」

復活した2人…いや、リオンは未だ混乱しているが、先に冷静になったエーデルがじいやにそう問いかける
いや、エーデルも珍しくガッツリとお嬢様言葉が出ているからあんまり冷静になれては無いわね…?

「えぇ。ブラウニーという妖精はご存知でしょうか?」
「確か、家の主人が眠っている間に家事や仕事をしてくれるお手伝い妖精と呼ばれる一族ですよね?」
「はい、よくご存じで。
私はそのブラウニーと人間のハーフでしてね。
しかし性質はブラウニー、しかし人間のように老いていくという不便な体で働けなくなっていたところをお嬢様に拾われこの屋敷に置いてもらっているのですよ」
「違うわ。私が居てもらってるの
じいやにはいつも助かっているわ」

そう言っていただけると嬉しいものですとじいやが照れていると、リオンがやっと現実に戻ってきたようだった

「はぁ、まさかじいや殿がブラウニーだったとは…
御伽噺の存在だと思っていました」
「まぁ、そうよね。私も初めて会った時は驚いたわ」
「あまり、そう見えませんでしたがねぇ」
「だってそれよるも驚く出来事があって一周回って冷静になってたのよ」

出会った時ってここに連れてこられたばかりで何もわからなかったなんて思い出しながら、軽口をたたいているとすうすうといまだ気持ちよさそうに眠っていたクロエが「うぅ」と唸り声を上げ。目をこすりながら体を起こし始めていた

「あ、クロエ!やっとおきたのね!!」
「んぅ…シロエ…?…ここ、だれ…?どこ…?」

まだ寝ぼけているのかふわふわとした様子できょろきょろと辺りを見渡しているクロエを甲斐甲斐しく世話をしているシロエに微笑ましさを感じながら声をかけた

「おはよう、お寝坊さん
ここに来るまでのこと、覚えているかしら?」
「ん…?ううん、わかんない…
だぁれ?」
「初めまして、私は真夜。
ここは魔女の理想郷。私の箱庭。」

軽く自己紹介をすると「え」っとまたエーデルとリオンから声が上がり、ん?と二人を見ると魚のように口をぱくぱくとさせていた

「なぁに、今度はどうしたのよ。二人してそんな顔をして…」
「魔女さまって、マヤって名前だったのですか?!!」
「そうだけど、真実の真に夜で真夜よ
でもそれが…??」
「私たちは知らなかったのですが?!」
「…自己紹介、名前言わなかった…わ…ね…?」

今更ながらに思い返してみれば自分の名前を二人に言った記憶はないし、じいやもいつも私のことを名前ではなく、お嬢様と呼んでいる記憶しかない

「はぁぁ…ごめんなさいすっかり忘れていたわ。
自分の名前にあまり必要性を感じていなかったせいね」

そう謝ると、いえ、と慌てたように返された
考えてみれば名前を呼ばれる事はこの屋敷に住み始めてからほとんどなかったと思い出す
もう何年いるのか忘れたぐらい住み続けているこの屋敷。そんなんだからたまに自分で名前を忘れかけるのも仕方のないこと…なんて考えていると真夜のが少し控えめに引かれる

「ん?どうしたの?」
「あなたも、ぼくらを引き離そうとする者?」

少し警戒した目でこちらをみるクロエにいいえ、とその立派な角が生えた頭を優しく撫でながら話した

「シロエから事情は先に聞いたわ。
ここは何でも叶う私の箱庭。魔女が願えばそれは必ず叶うもの…
あなた達姉弟のこと魔女が気に入ってしまったの。
だからこの屋敷で保護することにしたわ」
「保護…?」
「えぇ、そうよ。」
「じゃあ、シロエとはなれなくていいの?」
「そうよ!!魔女のまやが叶えてくれるんですって!!」

嬉しそうに頬を赤く染めたシロエと対象にクロエは少し難しいそうな顔をしてこちらを見上げた

「あなたに、利益はないのに?
もしかしたら、ぼくを魔王のあとつぎにしたいやつらがここに乗り込んでくるかもしれないのに?」

眉をひそめ、警戒を隠さず鋭い目で見つめてくる
真夜はその瞳を恐れることなく見つめ、何ともないように答えた。

「あら、それなら平気よ。
ここはクロエとシロエのいた世界じゃない。異空間に作られた箱庭だもの
それに例え乗り込んで来られてもこの屋敷では私の許可なく攻撃はできないのよ」
「ほんと、に?」
「ほんとよ」

そういってもう一度シロエと一緒に頭を撫でると今度こそ安心したように、クロエは小さく微笑みを浮かべた
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