呪われ薬師、最強の仲間たちと旅に出る~美味しそうだと思っているのは秘密です~

なーの( *¯ ꒳¯*)ナー

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第一章

呪われ薬師、ギルドで仲間を探す

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【ミズチの町】

 森を抜けた。アイザックが見下ろすのは、にぎやかな町のはずれ。町といえども時折王族が滞在する小さな城があるため、立派な家や大きな店の多い町だ。アイザックが今歩いている通りは城から少し離れているが、店が多く旅人の往来が激しい。ダンジョンに潜る冒険者パーティが買い物をする姿もちらほら見える。

「ギルドを探さなきゃな。」

 あるよな?このあたりに。

 アイザックは地理に疎いため、出発地点のウィルの町で情報収集をした。そこで、ここに立派なギルドがあると聞いて真っ先にやってきたのだ。薬師のアイザック一人で魔王城を目指すのは無謀である。

 この町の周辺は魔王城とはかなりの距離があり、弱小の魔物ばかり。そんな始まりの森ですら、今のアイザックはほうほうの体で逃げに逃げ、ここまで来た。戦える仲間が必要だ。財布は軽いが、採取した材料は荷物に詰まっている。薬を調合して売れば、多少は収入が入るだろう。資金と仲間をなるべく早く手に入れて、すぐに出発したい。

 仲間探しに時間はかかるかもしれないが、それでもゆっくりしている暇はない。人命かかった、急ぎの旅なのだ。

「……ああ、おなかがすいた。」

 少し伸びた黒い髪、黒い瞳、白い肌。決してたくましいとは言えない体。身長が高いから女性に間違われることはないものの、舐められやすい顔である。背中には、背丈ほどもある切れ味の悪そうなナイフ。デザインはバターナイフにも見える珍しいものだ。

 なぜ少々無理をしてでも旅を始めたのか。
 アイザック・スティールは一刻も早く、自身にかけられた魔法を解きたかったのだ。
 この体は、かつて身に受けた禁じられた呪い……禁術に加え、厄介な魔法をかけられてしまったから。




 町の手前の平野でピクニックがてら調合をし、町中で売却して、ギルドへ。手続きを済ませ、受付嬢から冒険者証を受け取る。これでパーティーを組み、依頼を請け負うことが可能になった。

「はい、アイザックさんの冒険者登録は完了しましたよ~。」

 冒険者証で、現在のレベルやステータスが確認できた。表示された己のステータスを見て、アイザックは改めて平民市民でいたかったのにとしみじみ思う。知識のない自分でも分かるほどの低ステータス。パーティメンバーとして、旅の連れを雇うために冒険者登録をしたものの、冒険者を目指していいようなステータスとは思えない。

 それでも、登録したからには定期的に掲示板の依頼をこなしていかなければならないが。

 他の登録者記録をギルドで閲覧する。個人情報だが、ギルド内であれば登録の書を貸し出してくれるのだそうだ。
 なるほど、ギルド登録者にも色々いる。種族だけでも、人間、ドワーフ、魔族のハーフにエルフ、妖精とのハーフ、獣人族にオーク……ダークエルフ。これだけ多数そろっていればほぼ世界の縮図、人種のるつぼにも思えてくるものだ。

「オークやダークエルフまでいるのか。」

 この世界において、この二種族は酷く差別をされる。危険な目に合わないよう、人間の間では特にその意識が強い。過去の歴史ももちろんあるが、それだけではない。オークなら容姿をはじめ、人を容赦なく襲う気質、理性が低く犯罪率が高いといった点から人里に入れてもらえない。ダークエルフなら邪教崇拝や他種族を嫌う文化、呪術が専門であることなどが、関わると深刻なトラブルになるため嫌われている。

 この登録の書はさらに、戦士、ファイターや剣士、魔法使い、ヒーラーと、ジョブで分類されている。旅に同行してもらいたいのは戦闘に秀でた戦士や魔法使いだ。この中でフリーの冒険者を探していくのだが。

「ねえねえ兄ちゃん兄ちゃん。」

 椅子に腰かけている後ろから、アイザックに話しかけてくる者がいる。

「冒険行くんでしょ?僕も連れてってよ、僕強いよ?」

 見れば十歳かそこらの少年だ。誰かの連れかと思ったが、冒険者証をふりふりとかざしているので、フリーの冒険者なのだろう。見かけで判断してはいけないらしい。

「……行先は魔王城。あと、俺は薬師で、非戦闘員なんだ。こんな俺がリーダーだけど、パーティー組める?」

 苦笑いしつつ返す。なかなか無い冒険スタイルになりそうだから、冗談半分だけれど。

「わお!まおうじょー!いくいくー!」

「……………。」

「いいかげん働かないとね!僕は役に立つよ!」

 ふふんと嬉しそうに目を細める少年。シュッシュッと言いながらパンチを繰り出したり、自らの胸をどんと叩いたりと、愛らしさしか感じられないが、アピールのつもりなのか。
 なんとなくまぶしくて目線を反らす。

「そうか、ならついてきてくれ。地図を買ってきてあるからすぐにでも出発するよ。」

「ええっ!?いいの??」

 大きな黒目が見開かれる。自分で言っておいて何をと、破顔するわらう。おそらくその容姿によって、まともに相手にされてこなかったのだろう。栗毛のマッシュルームヘアに童顔、だぼだぼの袖に短パン。武器すら所持していない。それでも、アイザックには分かるから。

「おまえの戦力は見れば分かる。」

 アイザックは背を向け、口元をぬぐい、席を立った。

「俺よりはずっと頼りになるさ。」

「あっ、待って待ってお兄さーん!」

 口元に浮かんだ笑みは隠さず、直ぐにギルドを後にしたのだった。

(よだれがすぐにあふれてきてしまうのだけは、早くなんとかしたいな。)



 魔力の高い人間が、アイザックには美味しそうに見える。
 魔力が高ければ高いほど、アイザックの食欲を強く刺激する。

 しかしアイザック自身、よだれすらも制御できないほどだとは思っていなかった。それほど今の自分は魔力に飢えているらしい。

(ああ……おなかがすいた。)



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