呪われ薬師、最強の仲間たちと旅に出る~美味しそうだと思っているのは秘密です~

なーの( *¯ ꒳¯*)ナー

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第二章

甘くてとろけるイタズラの味

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【道中・テントにて】

 夏も近づき、汗ばむ季節。それでも夕方に吹く風は涼しいものだ。

「………うん、こんなもんかな。」

 二人用テントの中で調剤していたアイザックが顔をあげる。

「お仕事おわりー?」

「仕事とはちょっと、別ー……、なんだけどね。マオ、ちょっとこっちに来てくれるかな。」

 少しテントから離れたところで涼んでいたマオを呼ぶ。

「何だ。」

「これ、ちょっと舐めてくれない?」

 ビンに入った黄色いとろりとした液体を、スプーンですくって差し出す。その顔はどこか含みがある。

「……我はどこも悪くないぞ。」

「大丈夫、治療薬じゃないから。」

 あーんとアイザックにスプーンを近づけられ、渋々と口に含む。

「一応即効性なんだけど、どうかな?」

「どうかと問われてもな、何ともないぞ。」

 やっぱり魔王クラスには効かないかーと何かをメモするアイザック。
 じいいっと見つめるジュアンが、恐る恐るマオに話しかける。

「……マオ、お薬苦かった?」

「いや、むしろクソ甘かったが。」

「じゃあ僕も食べる!次僕!」

 手をあげてぶんぶん振りアピールする様はとても無邪気だ。

「別にいいけど……」

「僕抜きで面白いことをしているじゃあないか、アイザック。」

 狭いテントにさらにメンバーが増える。ハロだ。

「ああ、これはね…………分かるかな。」

 アイザックはハロに原材料をメモした紙を見せる。

「マオ、今まで薬の類は一応効き目は出てるんだけど、効果が薄いみたいなんだよね。」

「それはともかく、これは人間で試さないと意味ないんじゃ?」

「まあまあ、他種族にも聞いた方が売れるだろうし。次はジュアンね。」

 あ―んと同じように食べさせる。

「あんまーーっ!おいしーー!」

「それはよかった。何か変化は?」

「……………。」

「どう?」

「すごくドキドキする!」

「そっかあ。それなら効果はあるのかな。具合は悪くない?」

「むしろめっちゃ元気!ちょっと外走ってくる!!」

 そのままテントを飛び出していった。アイザックはニコニコとしている。

「じゃあラストは丁度よく人間体のハロだからね。はい、あーん。」

「誰も望まない未来が見えるから遠慮したい。」

「いいでしょ?原材料教えてやったんだから。」

「だから嫌なんだけどなあ。」

 ぱくっとスプーンをくわえる。しばらくして。

「………………。」

「……どう?ハロは亡霊だけど、今は人間の肉体を再現している姿だって聞いたし、人間と同じ効果が出るとみているんだけど。」

「………ちょっと外出てくるね。」

「あとで効果のほど聞かせてね、微調整するから。」

 テントに残されたのは、訳の分からないマオとすべてを知っているアイザックのみ。

「結局その薬はなんだったのだ?」

「媚薬。」

「………はあ?」

「といっても興奮剤をはちみつで溶かしたものだけどね。毒耐性が強いと効かないのと、年齢によっては難しいかなあ。」

 あとは女性で試さなきゃね?とマッドサイエンティストの笑みで笑う。

「売れるのか?それ。」

「前の村で扱っているか聞かれたからね。一応試作品を作ってみたんだ。」

「人間とはまあ、度し難いものよ。」

 呆れ顔のマオ。

「表立っては売らないよ。治安が悪化しそうだし。」

「……おまえ。それ。我ら3人に効いてしまったらどうするつもりだったのだ。」

「おや、心配してくれるの?」

 マオの頭を撫でる。角を触るとくすぐったそうにマオは嫌がった。

「やめろ。」

「少量だし、効果抜群で効いたとしても1時間もすれば抜けるよ。……あ、マオの角ってもらえたりしない?」

「………周期が来て抜けたら、やる。」

「それっていつ頃?」

「あと60年くらいか?」

「長生きしなきゃなあ。」

 アイザックはビンをしまうと、周りの調剤道具も片付けていく。
 今日もみんなのおかげで商品は潤沢だ。明日街へ売りに行くのが楽しみなアイザックだった。



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