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八咫姫の呪い 後編
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聖菜はすでに巫女の姿で二人が来るのを待っていた。
セミロングの髪を後ろに結いた聖菜は今までよりも大人びた女性に見えた。
「聖菜さん、その姿は?」
「戦闘服ってところね。麻里奈さんって言ったね。私は必ず助けるとは約束しない。私の出来る範囲で除霊をして相手が私を上回っていた時は諦めてもらう」
それを聞いて零が驚いた。
「必ず助けてくれるんじゃなかったのか」
「そんな保証どこにもないわ。やってみないとわからない。上手くいくか、失敗するかは時の運。必ず成功しますなんて言うのは大抵タチの悪い金目当てのエセ術師。本当の除霊は詰まるところ出たとこ勝負。もちろん負けないだけの修行はしているけど、格闘技と同じように戦ってみないとわからないの」
そんな聖菜に麻里奈は訝しげに視線を向ける。
しかし聖菜はそんな視線にも気にする事なくはっきりと言い切る。
「あなたが私を信じるか信じないかはあなたにお任せする。私は自分の役目としてこれからあなたについた呪いとの戦う。後は天任せね。期待をしてくれなくてもいいけど、希望は捨てないで」
随分とはっきりものを言う人だ。
麻里奈はそう思った。
口先だけでやります出来ますと言うなら誰でも言える。
この人ははっきりと出来ないものは出来ないと言い、やってみなけれはわからないと言った。
何もしなければ近いうちに死ぬというのなら、この人に任せていいんじゃないか。
麻里奈はそう心境に変化があった。
「お任せします。あなたの巫女としての力はわかりませんが、少なくとも人として信用出来ることがわかりました。だから聖菜さん。お願いします」
麻里奈はそう言って聖菜に頭を下げた。
聖菜には麻里奈の背後にいるものが見えていた。
「さっさと出てきたら?こっちにはあんたの姿は丸見えなんだから」
「憎き鹿之助の雇った陰陽師が。お前如きにやられる俺ではないわ」
出てきたのは命と引き換えに八咫姫に呪いを依頼した鹿之助の家臣であった。
「そんなに憎いのか。ならば何故直接手を下さなかった。家臣とはいえ、無謀な殿様に謀反を起こす事は可能だっただろう」
「そのような事が出来るならやっておったわ。何も知らぬ者が勝手な憶測でものを言うな」
「出来なかった以上、お前には恨みごとを言うくらいの権利はあってもそこまで止まりだ。これ以上この子を苦しめるな」
「ぬかすな。これ以上邪魔するならお前も呪い殺してやる」
麻里奈の身体から発する悪気(あくき)。
「まずはこの子と男の霊を切り離す事が先決ね」
聖菜は聖剣神楽を真上に掲げて四縦五横の格子を描く。
すると空中に格子型の糸状の線が現れて男の身体を捕える。
それは蜘蛛の糸に絡まれた獲物のようであった。
この術は霊体を捉えるだけでなく、人間の身体を素通りし、取り憑いた霊体だけを捉えて身体から引き離すネットのような役目も果たす。
「なにい?」
男の霊体は格子の糸線に掛けられて、麻里奈の身体から剥がされた。
さらに糸は霊体に絡みつきまるで蜘蛛の糸に絡み取られた獲物のようであった。
「み、身動きがとれぬ」
「あなたは蜘蛛の糸に絡まれた獲物。もう逃げられない」
聖菜は古来より伝わる神楽(かぐら)の剣を振るう。
「斬られてなるものか」
格子型の糸を強引に引きちぎり、間一髪で聖菜の剣から身をかわす男の霊体。
「あの糸を無理矢理引きちぎるとは。やはり一筋縄ではいかないようね」
しかし、完全に避けられたわけではない。
聖菜の剣は僅かでも悪き霊体が触れれば、そこから身体が崩れ出す。
「うがあああ」
斬られた腕が蒸発し始めて、男は苦しんでいるのか怒りが膨張しているのか、奇声を発して両手を振り回し始めた。
すると、男の身体が真ん中から真っ二つに割れた。
「いよいよ本体のお出ましね」
聖菜の言葉に零が驚きの声を上げる。
「本体って?今のが麻里奈に取り憑いていた霊じゃないのか?」
「あの程度なら式札で抑えられる。あれは操られていた下っ端。本体は八咫姫本人よ」
「よくぞ妾の正体を見破ったな」
「正体も何もあなたは悪気(あくき)が強すぎてバレバレなのよ」
「ふん、ならば堂々とこの姿でお前を殺してやる」
八咫姫は怒りのエネルギーを増幅させて身体が膨張していく。
一五〇センチ程だった身長がみるみる大きくなり、二メートル、さらに二、五メートルとなっていった。
聖菜たちを見下ろすように睨みつける八咫姫。
「聖菜、ちょっとやばいんじゃない」
那由多が姿を現してそう伝える。
どうやらこの妖怪猫は聖菜が術を使って呼び出さなくても現れるらしい。
「そう思ったら、どうすればいいか教えてくれない」
「般若を呼び出す」
「なるほど」
般若は聖菜の式神の一人である。
「涅槃(ねはん)より甦れ般若。我が命に従い霊体を撃ち倒せ」
聖菜が式札を取り出して真上に投げると、札は式神の姿に変わった。
「式神・般若見参」
その名の通り、般若の面を被った式神が現れる。
「般若、頼んだよ」
「頼まれた」
「式神か。こうなればみんなまとめて始末してくれる」
八咫姫が髪を逆立てると鋭い針となり、聖菜たちを襲うが、般若はそれを持っている扇子で打ち落とす。
「扇子が二本、二本が三本、四本、五本。。」
般若の手から扇子が次々と現れる。
お手玉のように扇子を右手から左手と回し、全部で七本にまで増えた扇子は一斉に八咫姫に向かって不規則な円弧を描いて飛んでいく。
それは鋭い刃を持つ凶器となり、八咫姫の身体を斬り刻む。
この扇子も聖菜の持つ聖剣神楽と同じように斬り裂いた霊体はそこから身体が崩れていく。
八咫姫の身体が少しずつ崩れて動きが鈍くなった。
「ご主人様、今のうちに」
般若の声に聖菜が応じる。
〔聖菜〕
「玉姫」
神楽から突然聞こえた玉姫の声。
聖菜の持つ聖剣神楽には鹿之助の妹である玉姫の魂が封印されていた。
〔四百年の歴史に終止符を打つ〕
「ええ。これで終わらせましょう」
聖菜と玉姫の心が一つになり、神楽からまばゆい光が解き放たれる。
「神楽が躍動するような感覚。。私と玉姫の精神がシンクロしているのね」
「うぬ。。」
八咫姫はその光に視界を遮られて聖菜の姿を見失う。
「往生せよ」
聖菜が身体を回転させて剣を一閃すると八咫姫の身体は胴体から真っ二つに斬られ、ガラスを引っ掻くような耳障りな悲鳴を上げると切り口から蒸発するようにゆっくりと消えていった。
これで八咫姫の霊は二度とこの世界に戻ってくる事はないであろう。
それと同時に掛けられていた呪いもこの世から消え去り、本堂にあった八咫姫を封じていた岩は粉々に砕け散った。
「麻里奈、大丈夫か?」
零の呼びかけに目を覚ます麻里奈。
「あれ?私どうしたの?」
しばらく零と聖菜の顔を見て、ようやく除霊が終わったのだと理解する。
「無事に終わったわ。これであなたはもう呪いに苦しむ事はない」
聖菜はそれだけ言うと二人の前から立ち去ろうとする。
「あ。。あの」
麻里奈が申し訳なさげな声を上げる。
「聖菜さん、ありがとうございました。このご恩は一生忘れません」
聖菜は麻里奈のお礼の言葉に振り返る事なく答える。
「お礼を言われる事なんて何もしてない。私は私の役目を果たした。あなたは運良く助かった。それだけよ」
やや冷ややかにそう言ったと思ったら結いでいた髪を解いた瞬間、人が変わったように雰囲気が変わる。
「ま、難しい事はいいって。それよりお腹空かない?この先に美味しい屋台のラーメン屋があるんだ。お祝いに私がおごるから一緒に食べに行こう」
にこりと微笑んで零と麻里奈をラーメン屋に誘う聖菜。
そのあまりの変わりように零と麻里奈は互いに見合わせて笑ってしまった。
巫女としてのぶっきらぼうな人格と女子大生としての明るく人懐こい人格。
聖菜には二面の性格があるようだ。
こうして八咫姫伝説事件と零が名付けた事件は終わり、聖菜と零、麻里奈はこれ以降友人となり、聖菜の通う大学に二人が進学するのはこの一年と少し後であった。
セミロングの髪を後ろに結いた聖菜は今までよりも大人びた女性に見えた。
「聖菜さん、その姿は?」
「戦闘服ってところね。麻里奈さんって言ったね。私は必ず助けるとは約束しない。私の出来る範囲で除霊をして相手が私を上回っていた時は諦めてもらう」
それを聞いて零が驚いた。
「必ず助けてくれるんじゃなかったのか」
「そんな保証どこにもないわ。やってみないとわからない。上手くいくか、失敗するかは時の運。必ず成功しますなんて言うのは大抵タチの悪い金目当てのエセ術師。本当の除霊は詰まるところ出たとこ勝負。もちろん負けないだけの修行はしているけど、格闘技と同じように戦ってみないとわからないの」
そんな聖菜に麻里奈は訝しげに視線を向ける。
しかし聖菜はそんな視線にも気にする事なくはっきりと言い切る。
「あなたが私を信じるか信じないかはあなたにお任せする。私は自分の役目としてこれからあなたについた呪いとの戦う。後は天任せね。期待をしてくれなくてもいいけど、希望は捨てないで」
随分とはっきりものを言う人だ。
麻里奈はそう思った。
口先だけでやります出来ますと言うなら誰でも言える。
この人ははっきりと出来ないものは出来ないと言い、やってみなけれはわからないと言った。
何もしなければ近いうちに死ぬというのなら、この人に任せていいんじゃないか。
麻里奈はそう心境に変化があった。
「お任せします。あなたの巫女としての力はわかりませんが、少なくとも人として信用出来ることがわかりました。だから聖菜さん。お願いします」
麻里奈はそう言って聖菜に頭を下げた。
聖菜には麻里奈の背後にいるものが見えていた。
「さっさと出てきたら?こっちにはあんたの姿は丸見えなんだから」
「憎き鹿之助の雇った陰陽師が。お前如きにやられる俺ではないわ」
出てきたのは命と引き換えに八咫姫に呪いを依頼した鹿之助の家臣であった。
「そんなに憎いのか。ならば何故直接手を下さなかった。家臣とはいえ、無謀な殿様に謀反を起こす事は可能だっただろう」
「そのような事が出来るならやっておったわ。何も知らぬ者が勝手な憶測でものを言うな」
「出来なかった以上、お前には恨みごとを言うくらいの権利はあってもそこまで止まりだ。これ以上この子を苦しめるな」
「ぬかすな。これ以上邪魔するならお前も呪い殺してやる」
麻里奈の身体から発する悪気(あくき)。
「まずはこの子と男の霊を切り離す事が先決ね」
聖菜は聖剣神楽を真上に掲げて四縦五横の格子を描く。
すると空中に格子型の糸状の線が現れて男の身体を捕える。
それは蜘蛛の糸に絡まれた獲物のようであった。
この術は霊体を捉えるだけでなく、人間の身体を素通りし、取り憑いた霊体だけを捉えて身体から引き離すネットのような役目も果たす。
「なにい?」
男の霊体は格子の糸線に掛けられて、麻里奈の身体から剥がされた。
さらに糸は霊体に絡みつきまるで蜘蛛の糸に絡み取られた獲物のようであった。
「み、身動きがとれぬ」
「あなたは蜘蛛の糸に絡まれた獲物。もう逃げられない」
聖菜は古来より伝わる神楽(かぐら)の剣を振るう。
「斬られてなるものか」
格子型の糸を強引に引きちぎり、間一髪で聖菜の剣から身をかわす男の霊体。
「あの糸を無理矢理引きちぎるとは。やはり一筋縄ではいかないようね」
しかし、完全に避けられたわけではない。
聖菜の剣は僅かでも悪き霊体が触れれば、そこから身体が崩れ出す。
「うがあああ」
斬られた腕が蒸発し始めて、男は苦しんでいるのか怒りが膨張しているのか、奇声を発して両手を振り回し始めた。
すると、男の身体が真ん中から真っ二つに割れた。
「いよいよ本体のお出ましね」
聖菜の言葉に零が驚きの声を上げる。
「本体って?今のが麻里奈に取り憑いていた霊じゃないのか?」
「あの程度なら式札で抑えられる。あれは操られていた下っ端。本体は八咫姫本人よ」
「よくぞ妾の正体を見破ったな」
「正体も何もあなたは悪気(あくき)が強すぎてバレバレなのよ」
「ふん、ならば堂々とこの姿でお前を殺してやる」
八咫姫は怒りのエネルギーを増幅させて身体が膨張していく。
一五〇センチ程だった身長がみるみる大きくなり、二メートル、さらに二、五メートルとなっていった。
聖菜たちを見下ろすように睨みつける八咫姫。
「聖菜、ちょっとやばいんじゃない」
那由多が姿を現してそう伝える。
どうやらこの妖怪猫は聖菜が術を使って呼び出さなくても現れるらしい。
「そう思ったら、どうすればいいか教えてくれない」
「般若を呼び出す」
「なるほど」
般若は聖菜の式神の一人である。
「涅槃(ねはん)より甦れ般若。我が命に従い霊体を撃ち倒せ」
聖菜が式札を取り出して真上に投げると、札は式神の姿に変わった。
「式神・般若見参」
その名の通り、般若の面を被った式神が現れる。
「般若、頼んだよ」
「頼まれた」
「式神か。こうなればみんなまとめて始末してくれる」
八咫姫が髪を逆立てると鋭い針となり、聖菜たちを襲うが、般若はそれを持っている扇子で打ち落とす。
「扇子が二本、二本が三本、四本、五本。。」
般若の手から扇子が次々と現れる。
お手玉のように扇子を右手から左手と回し、全部で七本にまで増えた扇子は一斉に八咫姫に向かって不規則な円弧を描いて飛んでいく。
それは鋭い刃を持つ凶器となり、八咫姫の身体を斬り刻む。
この扇子も聖菜の持つ聖剣神楽と同じように斬り裂いた霊体はそこから身体が崩れていく。
八咫姫の身体が少しずつ崩れて動きが鈍くなった。
「ご主人様、今のうちに」
般若の声に聖菜が応じる。
〔聖菜〕
「玉姫」
神楽から突然聞こえた玉姫の声。
聖菜の持つ聖剣神楽には鹿之助の妹である玉姫の魂が封印されていた。
〔四百年の歴史に終止符を打つ〕
「ええ。これで終わらせましょう」
聖菜と玉姫の心が一つになり、神楽からまばゆい光が解き放たれる。
「神楽が躍動するような感覚。。私と玉姫の精神がシンクロしているのね」
「うぬ。。」
八咫姫はその光に視界を遮られて聖菜の姿を見失う。
「往生せよ」
聖菜が身体を回転させて剣を一閃すると八咫姫の身体は胴体から真っ二つに斬られ、ガラスを引っ掻くような耳障りな悲鳴を上げると切り口から蒸発するようにゆっくりと消えていった。
これで八咫姫の霊は二度とこの世界に戻ってくる事はないであろう。
それと同時に掛けられていた呪いもこの世から消え去り、本堂にあった八咫姫を封じていた岩は粉々に砕け散った。
「麻里奈、大丈夫か?」
零の呼びかけに目を覚ます麻里奈。
「あれ?私どうしたの?」
しばらく零と聖菜の顔を見て、ようやく除霊が終わったのだと理解する。
「無事に終わったわ。これであなたはもう呪いに苦しむ事はない」
聖菜はそれだけ言うと二人の前から立ち去ろうとする。
「あ。。あの」
麻里奈が申し訳なさげな声を上げる。
「聖菜さん、ありがとうございました。このご恩は一生忘れません」
聖菜は麻里奈のお礼の言葉に振り返る事なく答える。
「お礼を言われる事なんて何もしてない。私は私の役目を果たした。あなたは運良く助かった。それだけよ」
やや冷ややかにそう言ったと思ったら結いでいた髪を解いた瞬間、人が変わったように雰囲気が変わる。
「ま、難しい事はいいって。それよりお腹空かない?この先に美味しい屋台のラーメン屋があるんだ。お祝いに私がおごるから一緒に食べに行こう」
にこりと微笑んで零と麻里奈をラーメン屋に誘う聖菜。
そのあまりの変わりように零と麻里奈は互いに見合わせて笑ってしまった。
巫女としてのぶっきらぼうな人格と女子大生としての明るく人懐こい人格。
聖菜には二面の性格があるようだ。
こうして八咫姫伝説事件と零が名付けた事件は終わり、聖菜と零、麻里奈はこれ以降友人となり、聖菜の通う大学に二人が進学するのはこの一年と少し後であった。
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