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八咫姫の呪い 中編
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翌日、下校時間に合わせて聖菜は零と麻里奈の通う高校に出向き、校門の近くで二人を待った。
ほどなくして零と麻里奈が姿を現した。
「二人で一緒に行動しているのね。まあ、いずれは彼女にも話すわけだから早いに越した事はないわね」
聖菜はそう考えながら二人に声をかける。
「あなたたち。昨日うちの神社で会ったわね」
突然声をかけられて二人は驚いた。
「私はあの神社の娘で巫女をしている刀祢聖菜。少し話がしたいんだけどいいかな」
零と麻里奈は互いに顔を見合わせたが、何の要件か気になった事もありオッケーした。
三人は刀祢神社へと向かう。
「私に呪いが?」
麻里奈が一瞬驚いたが、すぐに平静になった。
「それ、悪徳商法じゃないでしょうね。悪霊や呪いが憑いているとか相手を怖がらせて除霊と称してお金を巻き上げるやつ。そんなのに騙されませんよ」
「うちは悪徳商法などやっていません。やっていたらこんな古臭い神社、とっくの昔に綺麗に建て直してます。あなたは本当に危険な状況なの。いきなりそう言って信じてもらえないのは承知の上よ」
聖菜はそう言うと零の方を向く。
「そっちの彼氏」
「幼馴染です」
「彼じゃなかったのね。ならば友達としてこの子を助けたい?」
聖菜の問いに零はどう答えて良いのかわからずにいた。
そもそも本当なのかもわからないし、この刀祢聖菜という人を信用していいのか、零にはすぐに判断がつかなかった。
「正直言っていきなりそんな事言われても俺にはそれが本当がどうかわかりません。だけど、俺はお姉さんが嘘を言っているようにも思えない。本当に麻里奈に呪いがかかっていると言うのなら具体的にどんなものなのか説明してくれませんか」
「八咫姫の怨念」
「え?」
零と麻里奈は二人で互いに見合った。
それは零が書いた小説の中の話ではないか。
零の小説は投稿サイトに掲載されている。
それを読んで八咫姫の呪いなどと言い出したに違いない。
麻里奈はそう思った。
「やっぱりデタラメだったんですね。零、行こう。これ以上話しても時間の無駄よ」
「ちょっと待って。本当に危険なの。今夜あたりあなたの身の回りに何かかしら起きると思っておいた方がいい」
「そうですか。ご忠告ありがとうございます。これ以上私たちに関わらないで下さい。零、行こう」
「うん。。」
麻里奈に急かされて零は仕方なく神社から立ち去った。
「やっぱり信用してもらえないか。さて、どうしたものか」
⭐︎⭐︎⭐︎
零は帰り道もずっと聖菜の言った事が気になっていた。
〔あれは俺が空想で書いたものじゃなかったのか。現実にあるとしたら麻里奈はどうなるんだ。。〕
零は麻里奈と別れると家には帰らず刀祢神社へと向かった。
神社に着くと、聖菜は境内をほうきではいていた。
零の姿を見ると待っていたかのような笑みを浮かべる。
「君は彼女の彼氏。。じゃなくて幼馴染だったわね。やっぱり気になったのかな?」
「そりゃ気になります。俺が書いた小説があるんですけど、八咫姫伝説って本当にあるんですか?」
「それを知っていて書いたんじゃないの?」
「いえ、ほとんど知らずに想像して書いたんです」
「それじゃあなたの空想が偶然にも現実と重なったって訳ね。不思議な事もあるのね」
そう言うと聖菜は八咫姫が封印されていると言う神社の本堂に零を連れて行った。
「これが八咫姫が封印されている岩よ」
「封印されていても呪いは解けないんですか?」
「普通なら呪いはかけている術者が死ねば解けるんだけど、八咫姫の呪いは自分が死んだ後も鹿之助の子孫を呪うかなり強力なものだったの。私の一族は鹿之助の妹である玉姫に雇われた陰陽師でね。代々八咫姫の呪いにかけられた鹿之助の子孫を除霊していたというわけ」
零は八咫姫と鹿之助、玉姫という名前だけは神社に祀られているので知っていたが、そこから先はほとんど調べもせずに自分の勝手な空想で書いたものだ。
それがほぼその通り合っているという不思議な現象に零はまだ信じられない気持ちが半分以上あった。
実際に聖菜が自分のネット小説を見て話している可能性もある。
だが、見た限りネット小説自体に興味がなさそうな感じで、とても自分の小説など読んでいるとは思えない。
となるとやはり本当なのかと自分の中で自問自答する零。
とりあえずここで重要なのは麻里奈を助けられるのかどうかと言う事だけだ。
零は単刀直入に聖菜に聞いてみる。
「それで、麻里奈は助けてもらえるんですか?」
「私に出来る限りの事はやってみる。だからあなたは彼女を説得してここに連れて来て」
「わかりました」
零はまだ半信半疑であった。
しかし麻里奈にその呪いが掛けられているなら助けてあげたい。
その思いの方が疑問よりも上回った。
デタラメだったら笑って終わればいい。
聖菜を信用せずに無視して何もしなかった結果、麻里奈を死なすような事が一番最悪である。
「俺自身、まだ信じているわけじゃないけど、聖菜さんが嘘を言っているようにも見えない。問題は麻里奈をどう説得するかだな」
⭐︎⭐︎⭐︎
その夜、麻里奈は布団に入っても寝苦しくてなかなか寝付けなかった。
「なんだろうな。暑いわけでもないのに」
季節は夏から秋に入っていて涼しくなってきている。
エアコンや扇風機なしでも充分に眠れるはずなのに、何故か暑苦しくて眠る事が出来なかった。
何気なく目を上げると目の前に見た事もない着物姿の女が立っていた。
腰まで届く長い髪に白い着物姿の女は青白い顔で麻里奈を睨みつける。
その凄まじいまでの憎しみがこもった目に麻里奈は恐怖で大声を上げようとしたが、声が出ない。
〔こ、声が出ない。助けて。。助け。。〕
女は麻里奈の首を絞めて来た。
女の指に力が入り、麻里奈の首を上から押さえつけるように絞めていく。
〔く。。苦しい。。〕
何とか抵抗を試みようと必死で身体を動かして女の手を首から外そうとする。
だが、麻里奈の腕力で女の腕を外すのは無理であった。
いや、麻里奈でなく男であっても無理だっただろう。
それほど女の力は強かったのだ。
麻里奈の意識が薄れていったその時、窓の外から猫が現れると突然女は姿を消した。
「何とか間に合ったようね」
麻里奈の家の外には巫女の姿をした聖菜が立っていた。
式札を使って式神を出し、ギリギリのところで麻里奈を助ける事が出来たのだ。
「那由多、戻っておいで」
那由多と呼ばれたのは妖怪猫であった。
八咫姫の呪いは那由多が出現した事で邪魔者が入った事を察知して退散したのだ。
「消えた。。」
麻里奈は安心したのか、そのまま気を失ってしまい、気がついた時には朝になっていた。
「夢。。やけにリアルな夢だったけど」
洗面台に行き、鏡を見て麻里奈は恐怖で顔が引きつる。
首に絞められた手の跡が残っていたのだ。
⭐︎⭐︎⭐︎
"八咫姫はかつて上園鹿之助によって手打ちにされた武家の娘であった。
八咫姫も鹿之助に恨みを残して死んでいった。
その怨念が姿形となり鹿之助の一族に呪いをかけていた"
零は自分の書いた小説を読み返していた。
「これ、全部俺の考えた空想だと思ってたのに現実にあったなんてなあ。あり得ない話だけど、聖菜さんの言う事が嘘とも思えない」
零はとにかく今日もう一度刀祢神社へ麻里奈を連れて行くと決めていた。
放課後、授業が終わると同時に零は麻里奈の席に行く。
「麻里奈、俺と刀祢神社にもう一度行こう」
「何言ってんの?今日は部活の日よ。部活はどうするのよ」
「部活なんかよりお前の命だろう」
「そんなにあの聖菜さんって人が気に入ったの?なら一人で会いに行けば。私は部活に行くから」
席を立って部活に行こうとする麻里奈の手を零は強引に掴んだ。
「痛いんだけど。離してくれない」
麻里奈は抵抗を試みようとしたが、零の今まで見た事のないような必死の形相に内心驚いて抵抗するのをやめた。
「何よ。。そんな怖い顔して」
「八咫姫伝説は俺が空想で書いたものじゃなかったんだ。。本当にあったことで、それが今お前に取り憑いている」
麻里奈は零のいう言葉を半信半疑で聞いていた。
「俺は聖菜さんにその事を聞くまで刀祢神社をよく知らなかったし、ろくに調べもしないで書いていた。これは俺の責任でもあるんだ」
「なんで零の責任なの?」
麻里奈の問いに零は答えられず、言葉に詰まってしまう。
「それは。。その。ちゃんと調べてそんな事がわかってたらもっと早く麻里奈に教えられたって思うとさ」
「もし本当に私がその呪いとやらで死ぬんだったら、遅かれ早かれ同じ結果になってたんじゃないの」
麻里奈から突然そう言われて零は答えに窮した。
「まだ死ぬと決まったわけじゃない。そのために聖菜さんに除霊してもらうんだ」
「私はね、除霊とか呪いとかその手のものは信用してないの」
「俺も信用出来ないのか?」
零の言葉に今度は麻里奈は返事が出来ず一瞬止まった。
「俺も信用出来ないって言うなら仕方ない。でも首に縄をかけてでもお前を刀祢神社に連れて行くけどな」
「そんな事出来ないくせに」
「お前、体調良くないんだろ?顔色が悪いぞ」
「。。。」
零の言う通りだった。
麻里奈は昨夜の見知らぬ女に首を絞められた夢から体調がすぐれず、今夜もあの女が現れたらと思うと怖くて考えないようにしていたのだ。
しかし零の必死の形相に麻里奈は少し態度を軟化させた。
「あの聖菜って人もまだ信用したわけじゃないけど、零がそこまで言うなら行くだけは行ってあげる。でも期待もあてもしていないからね」
「それでいい。とにかく神社に急ごう」
ほどなくして零と麻里奈が姿を現した。
「二人で一緒に行動しているのね。まあ、いずれは彼女にも話すわけだから早いに越した事はないわね」
聖菜はそう考えながら二人に声をかける。
「あなたたち。昨日うちの神社で会ったわね」
突然声をかけられて二人は驚いた。
「私はあの神社の娘で巫女をしている刀祢聖菜。少し話がしたいんだけどいいかな」
零と麻里奈は互いに顔を見合わせたが、何の要件か気になった事もありオッケーした。
三人は刀祢神社へと向かう。
「私に呪いが?」
麻里奈が一瞬驚いたが、すぐに平静になった。
「それ、悪徳商法じゃないでしょうね。悪霊や呪いが憑いているとか相手を怖がらせて除霊と称してお金を巻き上げるやつ。そんなのに騙されませんよ」
「うちは悪徳商法などやっていません。やっていたらこんな古臭い神社、とっくの昔に綺麗に建て直してます。あなたは本当に危険な状況なの。いきなりそう言って信じてもらえないのは承知の上よ」
聖菜はそう言うと零の方を向く。
「そっちの彼氏」
「幼馴染です」
「彼じゃなかったのね。ならば友達としてこの子を助けたい?」
聖菜の問いに零はどう答えて良いのかわからずにいた。
そもそも本当なのかもわからないし、この刀祢聖菜という人を信用していいのか、零にはすぐに判断がつかなかった。
「正直言っていきなりそんな事言われても俺にはそれが本当がどうかわかりません。だけど、俺はお姉さんが嘘を言っているようにも思えない。本当に麻里奈に呪いがかかっていると言うのなら具体的にどんなものなのか説明してくれませんか」
「八咫姫の怨念」
「え?」
零と麻里奈は二人で互いに見合った。
それは零が書いた小説の中の話ではないか。
零の小説は投稿サイトに掲載されている。
それを読んで八咫姫の呪いなどと言い出したに違いない。
麻里奈はそう思った。
「やっぱりデタラメだったんですね。零、行こう。これ以上話しても時間の無駄よ」
「ちょっと待って。本当に危険なの。今夜あたりあなたの身の回りに何かかしら起きると思っておいた方がいい」
「そうですか。ご忠告ありがとうございます。これ以上私たちに関わらないで下さい。零、行こう」
「うん。。」
麻里奈に急かされて零は仕方なく神社から立ち去った。
「やっぱり信用してもらえないか。さて、どうしたものか」
⭐︎⭐︎⭐︎
零は帰り道もずっと聖菜の言った事が気になっていた。
〔あれは俺が空想で書いたものじゃなかったのか。現実にあるとしたら麻里奈はどうなるんだ。。〕
零は麻里奈と別れると家には帰らず刀祢神社へと向かった。
神社に着くと、聖菜は境内をほうきではいていた。
零の姿を見ると待っていたかのような笑みを浮かべる。
「君は彼女の彼氏。。じゃなくて幼馴染だったわね。やっぱり気になったのかな?」
「そりゃ気になります。俺が書いた小説があるんですけど、八咫姫伝説って本当にあるんですか?」
「それを知っていて書いたんじゃないの?」
「いえ、ほとんど知らずに想像して書いたんです」
「それじゃあなたの空想が偶然にも現実と重なったって訳ね。不思議な事もあるのね」
そう言うと聖菜は八咫姫が封印されていると言う神社の本堂に零を連れて行った。
「これが八咫姫が封印されている岩よ」
「封印されていても呪いは解けないんですか?」
「普通なら呪いはかけている術者が死ねば解けるんだけど、八咫姫の呪いは自分が死んだ後も鹿之助の子孫を呪うかなり強力なものだったの。私の一族は鹿之助の妹である玉姫に雇われた陰陽師でね。代々八咫姫の呪いにかけられた鹿之助の子孫を除霊していたというわけ」
零は八咫姫と鹿之助、玉姫という名前だけは神社に祀られているので知っていたが、そこから先はほとんど調べもせずに自分の勝手な空想で書いたものだ。
それがほぼその通り合っているという不思議な現象に零はまだ信じられない気持ちが半分以上あった。
実際に聖菜が自分のネット小説を見て話している可能性もある。
だが、見た限りネット小説自体に興味がなさそうな感じで、とても自分の小説など読んでいるとは思えない。
となるとやはり本当なのかと自分の中で自問自答する零。
とりあえずここで重要なのは麻里奈を助けられるのかどうかと言う事だけだ。
零は単刀直入に聖菜に聞いてみる。
「それで、麻里奈は助けてもらえるんですか?」
「私に出来る限りの事はやってみる。だからあなたは彼女を説得してここに連れて来て」
「わかりました」
零はまだ半信半疑であった。
しかし麻里奈にその呪いが掛けられているなら助けてあげたい。
その思いの方が疑問よりも上回った。
デタラメだったら笑って終わればいい。
聖菜を信用せずに無視して何もしなかった結果、麻里奈を死なすような事が一番最悪である。
「俺自身、まだ信じているわけじゃないけど、聖菜さんが嘘を言っているようにも見えない。問題は麻里奈をどう説得するかだな」
⭐︎⭐︎⭐︎
その夜、麻里奈は布団に入っても寝苦しくてなかなか寝付けなかった。
「なんだろうな。暑いわけでもないのに」
季節は夏から秋に入っていて涼しくなってきている。
エアコンや扇風機なしでも充分に眠れるはずなのに、何故か暑苦しくて眠る事が出来なかった。
何気なく目を上げると目の前に見た事もない着物姿の女が立っていた。
腰まで届く長い髪に白い着物姿の女は青白い顔で麻里奈を睨みつける。
その凄まじいまでの憎しみがこもった目に麻里奈は恐怖で大声を上げようとしたが、声が出ない。
〔こ、声が出ない。助けて。。助け。。〕
女は麻里奈の首を絞めて来た。
女の指に力が入り、麻里奈の首を上から押さえつけるように絞めていく。
〔く。。苦しい。。〕
何とか抵抗を試みようと必死で身体を動かして女の手を首から外そうとする。
だが、麻里奈の腕力で女の腕を外すのは無理であった。
いや、麻里奈でなく男であっても無理だっただろう。
それほど女の力は強かったのだ。
麻里奈の意識が薄れていったその時、窓の外から猫が現れると突然女は姿を消した。
「何とか間に合ったようね」
麻里奈の家の外には巫女の姿をした聖菜が立っていた。
式札を使って式神を出し、ギリギリのところで麻里奈を助ける事が出来たのだ。
「那由多、戻っておいで」
那由多と呼ばれたのは妖怪猫であった。
八咫姫の呪いは那由多が出現した事で邪魔者が入った事を察知して退散したのだ。
「消えた。。」
麻里奈は安心したのか、そのまま気を失ってしまい、気がついた時には朝になっていた。
「夢。。やけにリアルな夢だったけど」
洗面台に行き、鏡を見て麻里奈は恐怖で顔が引きつる。
首に絞められた手の跡が残っていたのだ。
⭐︎⭐︎⭐︎
"八咫姫はかつて上園鹿之助によって手打ちにされた武家の娘であった。
八咫姫も鹿之助に恨みを残して死んでいった。
その怨念が姿形となり鹿之助の一族に呪いをかけていた"
零は自分の書いた小説を読み返していた。
「これ、全部俺の考えた空想だと思ってたのに現実にあったなんてなあ。あり得ない話だけど、聖菜さんの言う事が嘘とも思えない」
零はとにかく今日もう一度刀祢神社へ麻里奈を連れて行くと決めていた。
放課後、授業が終わると同時に零は麻里奈の席に行く。
「麻里奈、俺と刀祢神社にもう一度行こう」
「何言ってんの?今日は部活の日よ。部活はどうするのよ」
「部活なんかよりお前の命だろう」
「そんなにあの聖菜さんって人が気に入ったの?なら一人で会いに行けば。私は部活に行くから」
席を立って部活に行こうとする麻里奈の手を零は強引に掴んだ。
「痛いんだけど。離してくれない」
麻里奈は抵抗を試みようとしたが、零の今まで見た事のないような必死の形相に内心驚いて抵抗するのをやめた。
「何よ。。そんな怖い顔して」
「八咫姫伝説は俺が空想で書いたものじゃなかったんだ。。本当にあったことで、それが今お前に取り憑いている」
麻里奈は零のいう言葉を半信半疑で聞いていた。
「俺は聖菜さんにその事を聞くまで刀祢神社をよく知らなかったし、ろくに調べもしないで書いていた。これは俺の責任でもあるんだ」
「なんで零の責任なの?」
麻里奈の問いに零は答えられず、言葉に詰まってしまう。
「それは。。その。ちゃんと調べてそんな事がわかってたらもっと早く麻里奈に教えられたって思うとさ」
「もし本当に私がその呪いとやらで死ぬんだったら、遅かれ早かれ同じ結果になってたんじゃないの」
麻里奈から突然そう言われて零は答えに窮した。
「まだ死ぬと決まったわけじゃない。そのために聖菜さんに除霊してもらうんだ」
「私はね、除霊とか呪いとかその手のものは信用してないの」
「俺も信用出来ないのか?」
零の言葉に今度は麻里奈は返事が出来ず一瞬止まった。
「俺も信用出来ないって言うなら仕方ない。でも首に縄をかけてでもお前を刀祢神社に連れて行くけどな」
「そんな事出来ないくせに」
「お前、体調良くないんだろ?顔色が悪いぞ」
「。。。」
零の言う通りだった。
麻里奈は昨夜の見知らぬ女に首を絞められた夢から体調がすぐれず、今夜もあの女が現れたらと思うと怖くて考えないようにしていたのだ。
しかし零の必死の形相に麻里奈は少し態度を軟化させた。
「あの聖菜って人もまだ信用したわけじゃないけど、零がそこまで言うなら行くだけは行ってあげる。でも期待もあてもしていないからね」
「それでいい。とにかく神社に急ごう」
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