52 / 67
聖菜の修行編
そして今
しおりを挟む
「お前が私を。。」
自分を殺した男を目の前で初めて目にした◯に怒りが込み上げて来た。
男は玲奈を見てもにたにたと薄笑いを浮かべているだけで、それ以外は何の反応も示さない。
「玲奈さん、こいつをどうして欲しい?」
「私の代わりにここに地縛させて下さい。そうすれば私はここから出られて成仏出来ます」
「いや、待って。それだとこいつがまたここで第二、第三の玲奈さんを生むことになる。ここは私に任せてくれないかな」
聖菜の言葉に玲奈は「わかりました」とこの場の処理を聖菜に委ねる事にした。
聖菜は神楽の峰を玲奈の肩に当てると、玲奈は弾かれたように地縛されていた木から離れた。
「これで地縛から解放されたわ。あとはこの男を浄化するだけね」
聖菜は神楽を男に向けて振り下ろす。
「往生せよ」
断末魔の悲鳴をあげて男の霊はゆっくりと霧が引いていくように消えていった。
「ありがとうございました。これで私も成仏出来ます」
「元気でね。って言っても霊に元気も病気もないわね」
聖菜がそう言って笑うと玲奈も笑いながら少しずつ姿が薄くなり、最後は消えていった。
「あの歳でさぞ無念だったろうけど、私に出来る事はやった。これで最終試験は終わりかな。一応森の最後まで見回ってみるか」
聖菜が再び森を歩き始めると、やはり木の至る所に人魂が見えている。
「この人たちも浄化させた方がいいわね」
聖菜は神楽を地面に突き刺して念を唱える。
すると、あたりが明るくなり木や土から無数の人魂が出てきて空に向かっていく。
「天に帰りなさい。あなたたちの眠りを妨げる者は何もないわ」
空に向かって浮かんでいく無数の人魂は例えるならランタンのようであった。
その不思議な光景に聖菜もしばらく目を奪われた。
そしてすべての人魂が消えていくと森を包んでいた気が全て消え去った。
森の気が消えたのを感じ取り、外で見守っていた真美が那由多と目を合わせる。
「どうやら無事に終わったようね」
☆☆☆
「おめでとう。最終試験に合格よ。これであなたを正式に刀祢美里の後継者という事をその剣も、そして私も認めるわ」
真美が聖菜に労いの言葉をかけると、聖菜も少しホッとした表情を見せる。
「凶悪な地縛霊を浄化して、ここに残っている数多くの霊たちを成仏させる。かなり難しい事ではあったけど、あなたは無事にやり遂げた。これで一人前と言っていいわ」
「約束通り、あなたの正体を教えてもらうわよ」
聖菜がそう言おうとする前に真美から自身の正体をうち明かした。
「私は黒澤真美と言います。かつて刀祢美里さんに助けられた一人です。その恩を少しでも返したくてこのような真似をした事を謝罪致します」
「え?」
「最初に言ったように私は直接美里さんにお会いした事はありません。ですが、間接的に助けられたのは事実です。私の主であるお方は美里さんに助けられました。美里さんが命を落としたあの一件。。」
「教えて下さい。母は何と戦って命を落としたのですか?」
当時五歳だった聖菜は何か嫌な予感がして行こうとする母を止めた記憶があった。
しかし、母がどこに何と戦いに行ったのかは知らなかった。
「大丈夫よ。いつもの霊媒巫女としての仕事に行くだけ。すぐに帰ってくるから」
そう言って戻って来たとき、母はすでに物言わぬ姿となっていた。
祖父、太蔵も父、基成も呆然とその姿を見つめるだけしか出来なかった。
あれから聖菜はいつか母の後を継ぎ、霊媒巫女となって必ず母を殺した相手をこの手で消し去ると決めたのだった。
「間もなくその元凶となる者が目覚めるでしよう。でも今のあなたにはまだ早い。そいつが美里さんの結界から目覚めるのはまだ二、三年先だと思う。それまでにその力をさらに高めておきなさい。私が言えるのはそこまでよ」
「教えてくれないんですか?」
「私が教えなくても、そいつが目覚めればすぐにわかる。圧倒的な邪悪の気がこの街を覆い尽くすでしょうから。そして、その時が来たら私と主とその仲間たち。十三年前に美里さんと共に戦ったメンバーがあなたに合流するはずです。あなたは一人じゃない。私たちがついているから安心して」
「お母さんと共に戦った人たち」
聖菜は薄っすらと母と最後に会った日の事を思い出していた。
あの時、母の隣に四人の女性がいた。
あの人たちが、私の味方に。。
「色々とありがとうございました。黒澤さんとお呼びしてもいいですか? 黒澤さんのおかげで自分の力が格段に上がったのを実感出来ます。
「真美でいいわ。そう言って頂けるなら嬉しいわね。私はこれで行くけど、私たちはいずれまた会う事になるでしょう」
真美は聖菜にお辞儀をすると、踵を返すように去っていった。
最後に一回だけ振り向いて手を振った表情はとても温和で、これまでの厳しかった真美の優しい一面を聖菜は初めて見た。
「。。かっこいいな」
一見クールだが、中身は温和。
真美が聖菜に与えた影響は大きく、大学生になった聖菜がシックな服装を好んで着るようになったのもその影響であった。
⭐︎⭐︎⭐︎
それから二年後。
「桐子様、お久しぶりです」
「真美さん。しばらく顔を見せなかったけど、またお姉様の仕事関係?」
「ええ。雪乃様はお忙しいお方なので、私で代わりが務まる案件を対応しております」
「しかし真美さんはお姉様と同じような格好をしているのね」
「雪乃様は私の恩師であり、今は上官で尊敬していますから。実力は遠く及ばなくても姿形くらいは真似させて頂こうと、雪乃様と同じスーツを作って頂きました」
「真美さんは本当にお姉様を尊敬しているのね」
「桐子様、雪乃様はまもなく大きな戦いに出向かれるでしょう。いつそうなってもいいように私たちも今から心を強く持ちましょう」
「それはどういう事?」
「いずれ雪乃様からお話をなさると思います。私からは申し上げる事は出来ません」
「そう。。相変わらず私は蚊帳の外なのね」
「いえ、桐子様は刀祢聖菜さんと接触致しました。その時にすでに私たちとともに戦う運命だったのかも知れません」
「なんですって?」
「私は桐子様がお悩みになられ、幽体離脱するところまで知っておりましたが、あえて触れませんでした。それは聖菜さんと桐子様が接触するであろう事。桐子様もいずれ聖菜さんと行動をともにするであろう事を予想していたからです」
「真美さん、あなたはどこまで知っているの?」
「申し訳ございません。それも雪乃様がお話なさるでしょう。では、私はこれで」
「聖菜が関わるって事は悪霊との戦い? でもお姉様が霊媒の仕事をしているとは聞いた事がない。どういう事なの」
⭐︎⭐︎⭐︎
「教祖様のお目覚めを一日も早くする事は出来ぬのか?」
「無理でございましょう。この技は刀祢家に伝わる秘技で術をかけた者しか封印を解けないのでございます。
そして刀祢家の中でこの技を使えるのは法元様を封じた刀祢美里のみでございました。その美里が亡くなり、後継者が未だ育っていないのでございます」
「ならば他の方法はないのか」
「愛梨様、この封印はもってせいぜい十数年。法元様が封じ込められてすでに十五年が経過しており、いつお目覚めになられてもおかしくはございません。それを無理に早めるというのは、例えるならば自然に羽化しようとしている卵を無理矢理こじ開けるようなものでございます。
そのような事をすればかえって法元様の御身に差し障りがあるやもしれません。我らに出来るのは法元様がいつお目覚めにならてもいいように準備しておくだけでございます」
法元の身に危険が及ぶと聞けばさすがの愛梨も引かざるを得なかった。
「ぬぬう。教祖様の御身に危険が及ぶとなれば仕方ない」
「我らはすでに十五年待ちました。あと一、二年待つくらい大した事ではございません。逆に法元様がお目覚めになられた時の準備期間と考えれば足りないくらいでございます」
「私はその日を一日千秋の思いで待ち侘びているのだ。だが、お前の言う事も確かだ。法元様がお目覚めになるための準備期間となれば一、二年はあった方がいいと考えるべきであろうな」
「ご理解頂き感謝致します」
ハザマ真理教教祖代行、草刈愛梨は側近である霊媒師志穂の忠告を素直に聞き入れた。
間もなく法元が目覚める。
「再びこの日本を。いや、この世を法元様の言う選ばれた者だけが生き残る世界にしてみせましょう」
自分を殺した男を目の前で初めて目にした◯に怒りが込み上げて来た。
男は玲奈を見てもにたにたと薄笑いを浮かべているだけで、それ以外は何の反応も示さない。
「玲奈さん、こいつをどうして欲しい?」
「私の代わりにここに地縛させて下さい。そうすれば私はここから出られて成仏出来ます」
「いや、待って。それだとこいつがまたここで第二、第三の玲奈さんを生むことになる。ここは私に任せてくれないかな」
聖菜の言葉に玲奈は「わかりました」とこの場の処理を聖菜に委ねる事にした。
聖菜は神楽の峰を玲奈の肩に当てると、玲奈は弾かれたように地縛されていた木から離れた。
「これで地縛から解放されたわ。あとはこの男を浄化するだけね」
聖菜は神楽を男に向けて振り下ろす。
「往生せよ」
断末魔の悲鳴をあげて男の霊はゆっくりと霧が引いていくように消えていった。
「ありがとうございました。これで私も成仏出来ます」
「元気でね。って言っても霊に元気も病気もないわね」
聖菜がそう言って笑うと玲奈も笑いながら少しずつ姿が薄くなり、最後は消えていった。
「あの歳でさぞ無念だったろうけど、私に出来る事はやった。これで最終試験は終わりかな。一応森の最後まで見回ってみるか」
聖菜が再び森を歩き始めると、やはり木の至る所に人魂が見えている。
「この人たちも浄化させた方がいいわね」
聖菜は神楽を地面に突き刺して念を唱える。
すると、あたりが明るくなり木や土から無数の人魂が出てきて空に向かっていく。
「天に帰りなさい。あなたたちの眠りを妨げる者は何もないわ」
空に向かって浮かんでいく無数の人魂は例えるならランタンのようであった。
その不思議な光景に聖菜もしばらく目を奪われた。
そしてすべての人魂が消えていくと森を包んでいた気が全て消え去った。
森の気が消えたのを感じ取り、外で見守っていた真美が那由多と目を合わせる。
「どうやら無事に終わったようね」
☆☆☆
「おめでとう。最終試験に合格よ。これであなたを正式に刀祢美里の後継者という事をその剣も、そして私も認めるわ」
真美が聖菜に労いの言葉をかけると、聖菜も少しホッとした表情を見せる。
「凶悪な地縛霊を浄化して、ここに残っている数多くの霊たちを成仏させる。かなり難しい事ではあったけど、あなたは無事にやり遂げた。これで一人前と言っていいわ」
「約束通り、あなたの正体を教えてもらうわよ」
聖菜がそう言おうとする前に真美から自身の正体をうち明かした。
「私は黒澤真美と言います。かつて刀祢美里さんに助けられた一人です。その恩を少しでも返したくてこのような真似をした事を謝罪致します」
「え?」
「最初に言ったように私は直接美里さんにお会いした事はありません。ですが、間接的に助けられたのは事実です。私の主であるお方は美里さんに助けられました。美里さんが命を落としたあの一件。。」
「教えて下さい。母は何と戦って命を落としたのですか?」
当時五歳だった聖菜は何か嫌な予感がして行こうとする母を止めた記憶があった。
しかし、母がどこに何と戦いに行ったのかは知らなかった。
「大丈夫よ。いつもの霊媒巫女としての仕事に行くだけ。すぐに帰ってくるから」
そう言って戻って来たとき、母はすでに物言わぬ姿となっていた。
祖父、太蔵も父、基成も呆然とその姿を見つめるだけしか出来なかった。
あれから聖菜はいつか母の後を継ぎ、霊媒巫女となって必ず母を殺した相手をこの手で消し去ると決めたのだった。
「間もなくその元凶となる者が目覚めるでしよう。でも今のあなたにはまだ早い。そいつが美里さんの結界から目覚めるのはまだ二、三年先だと思う。それまでにその力をさらに高めておきなさい。私が言えるのはそこまでよ」
「教えてくれないんですか?」
「私が教えなくても、そいつが目覚めればすぐにわかる。圧倒的な邪悪の気がこの街を覆い尽くすでしょうから。そして、その時が来たら私と主とその仲間たち。十三年前に美里さんと共に戦ったメンバーがあなたに合流するはずです。あなたは一人じゃない。私たちがついているから安心して」
「お母さんと共に戦った人たち」
聖菜は薄っすらと母と最後に会った日の事を思い出していた。
あの時、母の隣に四人の女性がいた。
あの人たちが、私の味方に。。
「色々とありがとうございました。黒澤さんとお呼びしてもいいですか? 黒澤さんのおかげで自分の力が格段に上がったのを実感出来ます。
「真美でいいわ。そう言って頂けるなら嬉しいわね。私はこれで行くけど、私たちはいずれまた会う事になるでしょう」
真美は聖菜にお辞儀をすると、踵を返すように去っていった。
最後に一回だけ振り向いて手を振った表情はとても温和で、これまでの厳しかった真美の優しい一面を聖菜は初めて見た。
「。。かっこいいな」
一見クールだが、中身は温和。
真美が聖菜に与えた影響は大きく、大学生になった聖菜がシックな服装を好んで着るようになったのもその影響であった。
⭐︎⭐︎⭐︎
それから二年後。
「桐子様、お久しぶりです」
「真美さん。しばらく顔を見せなかったけど、またお姉様の仕事関係?」
「ええ。雪乃様はお忙しいお方なので、私で代わりが務まる案件を対応しております」
「しかし真美さんはお姉様と同じような格好をしているのね」
「雪乃様は私の恩師であり、今は上官で尊敬していますから。実力は遠く及ばなくても姿形くらいは真似させて頂こうと、雪乃様と同じスーツを作って頂きました」
「真美さんは本当にお姉様を尊敬しているのね」
「桐子様、雪乃様はまもなく大きな戦いに出向かれるでしょう。いつそうなってもいいように私たちも今から心を強く持ちましょう」
「それはどういう事?」
「いずれ雪乃様からお話をなさると思います。私からは申し上げる事は出来ません」
「そう。。相変わらず私は蚊帳の外なのね」
「いえ、桐子様は刀祢聖菜さんと接触致しました。その時にすでに私たちとともに戦う運命だったのかも知れません」
「なんですって?」
「私は桐子様がお悩みになられ、幽体離脱するところまで知っておりましたが、あえて触れませんでした。それは聖菜さんと桐子様が接触するであろう事。桐子様もいずれ聖菜さんと行動をともにするであろう事を予想していたからです」
「真美さん、あなたはどこまで知っているの?」
「申し訳ございません。それも雪乃様がお話なさるでしょう。では、私はこれで」
「聖菜が関わるって事は悪霊との戦い? でもお姉様が霊媒の仕事をしているとは聞いた事がない。どういう事なの」
⭐︎⭐︎⭐︎
「教祖様のお目覚めを一日も早くする事は出来ぬのか?」
「無理でございましょう。この技は刀祢家に伝わる秘技で術をかけた者しか封印を解けないのでございます。
そして刀祢家の中でこの技を使えるのは法元様を封じた刀祢美里のみでございました。その美里が亡くなり、後継者が未だ育っていないのでございます」
「ならば他の方法はないのか」
「愛梨様、この封印はもってせいぜい十数年。法元様が封じ込められてすでに十五年が経過しており、いつお目覚めになられてもおかしくはございません。それを無理に早めるというのは、例えるならば自然に羽化しようとしている卵を無理矢理こじ開けるようなものでございます。
そのような事をすればかえって法元様の御身に差し障りがあるやもしれません。我らに出来るのは法元様がいつお目覚めにならてもいいように準備しておくだけでございます」
法元の身に危険が及ぶと聞けばさすがの愛梨も引かざるを得なかった。
「ぬぬう。教祖様の御身に危険が及ぶとなれば仕方ない」
「我らはすでに十五年待ちました。あと一、二年待つくらい大した事ではございません。逆に法元様がお目覚めになられた時の準備期間と考えれば足りないくらいでございます」
「私はその日を一日千秋の思いで待ち侘びているのだ。だが、お前の言う事も確かだ。法元様がお目覚めになるための準備期間となれば一、二年はあった方がいいと考えるべきであろうな」
「ご理解頂き感謝致します」
ハザマ真理教教祖代行、草刈愛梨は側近である霊媒師志穂の忠告を素直に聞き入れた。
間もなく法元が目覚める。
「再びこの日本を。いや、この世を法元様の言う選ばれた者だけが生き残る世界にしてみせましょう」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる