何故かトップギルドのマスターになった俺の活動記録

斗夢

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2  覚醒カーバンクル戦編

3 覚醒カーバンクル戦 編成

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 覚醒カーバンクルーレベルは65、様々なゲームに登場するあのカーバンクルと想像しても差異はないキャラクターグラフィック。
 精霊弧と呼ばれる幻想的な生物でその姿は九尾をイメージするほど。
 GFO内でもレベル30前後のフィールドでシナリオモンスターとして過去に登場してきているが、その強さはと言うと正直微妙と言わざる負えないものだった。
 しかし、今回高難易度エンドコンテンツとしてプレイヤーの前に立ちはだかるカーバンクルは以前の弱小者とは別人で「覚醒」と付けられるだけの威圧と威厳は確かに感じられるようだ。
 
 コンテンツ開始地点は覚醒カーバンクルから距離100m程度離れた地点。
 おそらく25m圏内に入れば攻撃を仕掛けてくるだろう。
 
 「おおおおおおおおお!!」
 「かっけええええええええええええ」
 「まじ強そうw」

 隼人率いるPT8人は眼前の巨大な精霊に興奮している。
 神々しいほどまでに美しい体に魅入られる。
 
 と、そこでミロが背景見てみろと大声を上げた。
 
 「うわぁ」

 隼人は思わず声を上げていた。
 カーバンクルの背中に映る光景。
 紅葉が舞う木々が描き出されていた。
 美しい紅色の葉を散らせていて、カーバンクルの美しさをより一層醸し出す素晴らしい材料だ。
 プレイ環境はプレイヤーの操作性が全てではなく、このような細かく、それでいて美しい光景がゲームへの没入感を高くしてくれるのだ。
 
 いつの間にか鑑賞気分でキャンプアイテム一式(お弁当、椅子、酒など)を取り出していた。
 現実でも数人のビールを開ける音が聞こえてくるほどまであった。
 隼人は未成年であるので飲んでいないが。
 
 カーバンクルの周りをズームアップして談笑を交わしあった。
 そして、30分後。


 「何やってんだ?俺等は」

 ふと我に帰った隼人はコンテンツ制限時間に視線をずらした。
  
 ー残り30分13秒

 本コンテンツの制限時間は60分に設定されているようでつまりは隼人達は鑑賞会で半分もの時間を無駄にしてしまったということだ。
 コンテンツ自体には何度でも挑戦できるが、しっかりと現実時間というのは進んでいる。
 隼人達がボケーとしている時間にも他のPTは攻略に励んでいるはずだ。

 「ちょ、おい!もう半分過ぎてるぞ!いい加減始めないとライバルギルドに先越されるぞー!」
 「・・・は?・・・おい!まじかよ!そこらに散らばってるの片づけるぞー」
 「つい、見惚れていたわ」
 
 グラフィック班流石・・・。

 ************

 結局、バフを掛け始めたのは残り17分になってからだった。
 何の攻略法も知らない為現在できうるだけのフルバフで突っ込んでみることにする。
 
 ここで、PT構成を紹介しよう。
 TANK2人、アタッカー4人、ヒーラー2人であることは準備段階で記したが明確なジョブについて紹介する。
 
 TANKはミロとがじゃーさんが担当している。
 ミロはMT(メインタンク)として騎士、じゃーさんはST(サブタンク)でウォーレスである。
 騎士は全ジョブ中最もTANKとして機能することができ、レイドでは必ず一名は入っている重要ジョブの一つだ。
 ウォーレスは、TANKジョブとして部類される一つでヘイトコントロールは騎士には及ばないものの他の味方プレイヤーに敵からの攻撃を代わり受けすることができ、戦闘に安定感をもたらすジョブだ。
 この2つは8人PT(レイド)、24人PT(フルレイド)に挑戦する上で必ずと言っていいほど編成に加えられている。

 次にアタッカーだが、妖術師である隼人、マジシャンのFairyさん、槍技士のなきうら君、そして、モンクのカナさんだ。
 まずはマジシャンだが、現遠距離アタッカー最強ジョブである。迷ったらマジシャンしとけと誰もが明言するぐらいDPSの上げやすさと高さは異常だ。
 
 続いて槍技士だが、近接・遠隔アタッカーの代表格だ。ジョブ名通り槍を専門に戦闘するジョブなのだが、DPSと言えば微妙なところだ。しかし、それならば何故代表格とまで銘されるのか、それは戦闘範囲の広さだ。
 槍技士の固有スキルにスピードジャンプがある。
 このスキルの使用によって示した位置へジャンプして高速移動ができるというのだ。
 レイドでは途中多くの雑魚モンスターがボス中であっても見境なく出現するケースが多い。
 ボスのみに集中し続けると急なpopに対応することが出来ない。
 対応というのは移動的時間のことを指す。
 特に近接アタッカーはその対応を対処しづらい。
 そこで光るのが槍技士のスピードジャンプだ。
 これは近接アタッカーの枠を超えた近接遠隔共に機能する槍技士が代表格と呼ばれるが由縁である。
 
 隼人の妖術師はスルーして、アタッカー最後のジョブ、モンクについてだ。
 モンクは近接アタッカーだ。拳にナックルを装備して、超近距離攻撃を主とするジョブだ。
 近接アタッカーとして、ジョブ屈指のDPSを誇っている。

 最後はヒーラージョブだ。
 PTの回復の要となる後方を立ち位置として戦闘に挑むジョブのことだ。
 神奈さんのプリースト、みなみちゃんの聖賢者がヒーラーを担当している。
 プリーストは勿論回復も得意とするジョブなのだが、特に魅力的なのはジョブ一のバッファーであることだ。
 攻撃力、防御力はなおの事、対魔法や対ブレス対応などのバフを固有スキルとして持つ、非常に重要な役職である。
 聖賢者は、Theヒーラーだ。
 ヒールのみに特化した回復専門ジョブで攻撃やバッファーとしての役割を全うすることは無意味に等しい。

 以上が今回の編成であるが、これはレイドで最もクリア率の高い編成である。
 新コンテンツが実施された場合は必ずこの構成で下見するという方法を取る。
 そうやって少しずつ攻略を進めて行く、これが基本の攻略パターンだ。
 高難易度のエンドコンテンツにもなるとクリアに1か月以上かかる時もあるのだ。
 まだ何とも言えないが今回もクリアまでそれ程かかると予想される。
 
 「それじゃあ行きましょうか」
 
 ミロがカーバンクルの戦闘開始圏内前まで出て、他のメンバーに促した。
 
 「残時間からして後3,4回リトライできると思う」
 「他のグループのチャット見るに俺達の構成で2割は行けたって」
 「2割かぁー。結構進んでるじゃん」
 「どこまで行けるのかね?家等は」

 じゃーさんと神奈さんが続いて発した。
 コンテンツに入って40分超で2割まで削るのはかなりいいペースだ。

 クイック装備の切り替えを行っているカナさんと他PTから情報を聞いているなきうら君以外はミロの近くに集まっている。
 全員が揃うまでの数十秒間、簡単な立ち回りを会議した。
 会議と言ってもエンドコンテンツの攻略は「質より量」を重要視することが多い。
 要は、何度も全滅して進んでいけということだ。 
 自分の屍を踏んで成長していくのがエンドコンテンツの最適攻略法なのだ。
 だから、この会議も無意味なものとなった。
 ただの雑談と解釈してもらってもいい。

 「お待たせー」
 「行きますかね!」

 二人が準備を済ませて皆の元へやってきた。
 時間的バフを再度かけ直す。
 
 「はーい、1回目~いきまーす」

 ミロの声。
 騎士の盾投げがカーバンクルにヒットして、戦闘はBGMが耳に響いて始まる。
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