初恋迷子

すずかけあおい

文字の大きさ
3 / 13

初恋迷子③

しおりを挟む
 翌日、昼休みになると同時に和惟がいなくなった。どこに行ったのかと探していると、なぜか平松を連れて戻ってきた。女子はイケメンがふたり揃っていることに色めき立っている。でも和惟は無表情だし、平松は眉根を寄せて不機嫌そうなので、仲良くなったという様子ではない。
「真弥、お弁当食べよう」
 真弥に笑顔を向けてくれる和惟とは正反対に、平松は不快さを全面に表している。それでもお腹も空いたし、和惟が真弥にはいつもどおりなので、三人でお弁当を食べることにした。
「はい、真弥。あーん」
「……」
 なんとなく、ちらりと平松の様子を窺う。馬鹿にしたように口角を歪めていて、腹立たしさで口を開ける気になれない。
「自分で食べられる」
 和惟がこれ以上馬鹿にされるのは嫌だ。和惟にこんなことを言うのははじめてだけれど、口から滑り出た。和惟は昨日のように驚愕の表情を見せて、力なく箸を置いた。
 真弥が和惟にずっと甘えていたら、ますます和惟が平松に馬鹿にされる。自分自身のことは我慢するけれど、和惟が悪く思われたり言われたりするのは我慢できないから、自分のことはなるべく自分でやるようにしないといけない。
 箸を取って、自分でお弁当を食べる。平松はそれでも嘲笑するように口角をあげていた。

 そのあと昼休みのあいだずっと和惟は無言だった。帰りのときもまだそのままで、真弥が話しかけてもすぐに会話が途切れる。
「和惟、どうしたの? 具合悪い?」
「……今日も平松が気になった?」
 暗い顔をしているから平松どころではなさそうなのに、そんなことを聞く。できるなら思い出したくない人間だけれど、和惟が言うから頭に浮かべるとまたむかむかと気分が悪くなる。
 気になるに決まっている。陰であれこれ言うタイプには見えないけれど、和惟のことを悪く言っていたらと思うと、どうしても腹が立つ。
「少し気になる」
 和惟は瞠目して足を止め、なにかをこらえるように唇を噛んでいる。真弥の知らないところでなにか言われたのだろうか。和惟のこんなつらそうな顔は見たことがない。
「和惟?」
「真弥がそこまで言うなら協力するよ」
「協力?」
 聞き返しても、和惟には聞こえていないようで、彼は考え込むように黙ってしまった。隣を歩きながら、なんだか様子がおかしいな、と首をひねった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結・BL】春樹の隣は、この先もずっと俺が良い【幼馴染】

彩華
BL
俺の名前は綾瀬葵。 高校デビューをすることもなく入学したと思えば、あっという間に高校最後の年になった。周囲にはカップル成立していく中、俺は変わらず彼女はいない。いわく、DTのまま。それにも理由がある。俺は、幼馴染の春樹が好きだから。だが同性相手に「好きだ」なんて言えるはずもなく、かといって気持ちを諦めることも出来ずにダラダラと片思いを続けること早数年なわけで……。 (これが最後のチャンスかもしれない) 流石に高校最後の年。進路によっては、もう春樹と一緒にいられる時間が少ないと思うと焦りが出る。だが、かといって長年幼馴染という一番近い距離でいた関係を壊したいかと問われれば、それは……と踏み込めない俺もいるわけで。 (できれば、春樹に彼女が出来ませんように) そんなことを、ずっと思ってしまう俺だが……────。 ********* 久しぶりに始めてみました お気軽にコメント頂けると嬉しいです ■表紙お借りしました

雪色のラブレター

hamapito
BL
俺が遠くに行っても、圭は圭のまま、何も変わらないから。――それでよかった、のに。 そばにいられればいい。 想いは口にすることなく消えるはずだった。 高校卒業まであと三か月。 幼馴染である圭への気持ちを隠したまま、今日も変わらず隣を歩く翔。 そばにいられればいい。幼馴染のままでいい。 そう思っていたはずなのに、圭のひとことに抑えていた気持ちがこぼれてしまう。 翔は、圭の戸惑う声に、「忘れて」と逃げてしまい……。

【R18+BL】甘い鎖~アイツの愛という名の鎖に、縛られ続けたオレは……~

hosimure
BL
オレの1つ年上の幼馴染は、強いカリスマを持つ。 同性でありながら、アイツは強くオレを愛する。 けれど同じ男として、オレは暗い感情をアイツに持ち続けていた。 だがそれと同時にオレ自身もアイツへの気持ちがあり、そのはざまで揺れ続けていた。 ★BL小説&R18です。

キミとキスの練習がしたい 〜親友から迫られる俺の話〜

キトー
BL
  幼馴染で親友の卓が「キスの練習をしよう」と言い出した。 なんだかんだで流されながらどんどん行為はエスカレートして……。 気分転換に勢いに任せて書いた文章です(笑) ギャグだと思ってお読み下さい。 5話で完結です。 ※ほぼ全てにキスまたはそれ以上の描写が含まれています。ネタバレを避ける為注意表記はいたしませんのでご了承下さい。 ※ムーンライトノベルズにも投稿しています。

平凡な僕が優しい彼氏と別れる方法

あと
BL
「よし!別れよう!」 元遊び人の現爽やか風受けには激重執着男×ちょっとネガティブな鈍感天然アホの子 昔チャラかった癖に手を出してくれない攻めに憤った受けが、もしかしたら他に好きな人がいる!?と思い込み、別れようとする……?みたいな話です。 攻めの女性関係匂わせや攻めフェラがあり、苦手な人はブラウザバックで。    ……これはメンヘラなのではないか?という説もあります。 pixivでも投稿しています。 攻め:九條隼人 受け:田辺光希 友人:石川優希 ひよったら消します。 誤字脱字はサイレント修正します。 また、内容もサイレント修正する時もあります。 定期的にタグ整理します。ご了承ください。 批判・中傷コメントはお控えください。 見つけ次第削除いたします。

素直に同棲したいって言えよ、負けず嫌いめ!ー平凡で勉強が苦手な子が王子様みたいなイケメンと恋する話ー

美絢
BL
 勉強が苦手な桜水は、王子様系ハイスペックイケメン幼馴染である理人に振られてしまう。にも関わらず、ハワイ旅行に誘われて彼の家でハウスキーパーのアルバイトをすることになった。  そこで結婚情報雑誌を見つけてしまい、ライバルの姫野と結婚することを知る。しかし理人は性的な知識に疎く、初夜の方法が分からないと告白される。  ライフイベントやすれ違いが生じる中、二人は同棲する事ができるのだろうか。【番外はじめました→ https://www.alphapolis.co.jp/novel/622597198/277961906】

ある日、友達とキスをした

Kokonuca.
BL
ゲームで親友とキスをした…のはいいけれど、次の日から親友からの連絡は途切れ、会えた時にはいつも僕がいた場所には違う子がいた

【完結】かわいい美形の後輩が、俺にだけメロい

日向汐
BL
番外編はTwitter(べったー)に載せていきますので、よかったらぜひ🤲 ⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆ 過保護なかわいい系美形の後輩。 たまに見せる甘い言動が受けの心を揺する♡ そんなお話。 ⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆ 【攻め】 雨宮千冬(あめみや・ちふゆ) 大学1年。法学部。 淡いピンク髪、甘い顔立ちの砂糖系イケメン。 甘く切ないラブソングが人気の、歌い手「フユ」として匿名活動中。 【受け】 睦月伊織(むつき・いおり) 大学2年。工学部。 黒髪黒目の平凡大学生。ぶっきらぼうな口調と態度で、ちょっとずぼら。恋愛は初心。

処理中です...