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天使の居場所㉖
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瞼をあげると、隣に整った寝顔がある。眠る桐都の額にキスを落とし、薄茶色の髪を指で梳くように撫でた。
「桐都さん……桐都」
「なに?」
「っ……⁉」
予期せぬ返事に、かあっと頬が熱くなる。図々しく呼び捨てにしたのは、彼が寝ているからだったのに。
「いいな。伊央にそう呼んでもらうの」
「起きてたなんてずるいです」
唇を尖らせて不満を表す伊央の頬に触れ、指の腹で上唇の形をなぞった桐都は少し意地悪に笑んだ。
「呼んで?」
「嫌です」
しっかり拗ねた伊央をあやすようにキスをして、桐都がもう一度唇を指でなぞる。
「伊央、お願い」
「――」
桐都にそんなふうに甘く見つめられたら、どうやっても嫌だと言えないのを彼はわかっている。ずるい、とまた唇を尖らせる伊央に、桐都は微笑む。
「ほら。呼んで」
唇を指でタップされ、おずおずと口を開く。本当にずるい。こういうときの彼は、心底楽しそうなのだ。
「――桐都」
いつでも笑顔でいてほしい。
ずっと隣にいるから。
(終)
「桐都さん……桐都」
「なに?」
「っ……⁉」
予期せぬ返事に、かあっと頬が熱くなる。図々しく呼び捨てにしたのは、彼が寝ているからだったのに。
「いいな。伊央にそう呼んでもらうの」
「起きてたなんてずるいです」
唇を尖らせて不満を表す伊央の頬に触れ、指の腹で上唇の形をなぞった桐都は少し意地悪に笑んだ。
「呼んで?」
「嫌です」
しっかり拗ねた伊央をあやすようにキスをして、桐都がもう一度唇を指でなぞる。
「伊央、お願い」
「――」
桐都にそんなふうに甘く見つめられたら、どうやっても嫌だと言えないのを彼はわかっている。ずるい、とまた唇を尖らせる伊央に、桐都は微笑む。
「ほら。呼んで」
唇を指でタップされ、おずおずと口を開く。本当にずるい。こういうときの彼は、心底楽しそうなのだ。
「――桐都」
いつでも笑顔でいてほしい。
ずっと隣にいるから。
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