3 / 4
サンタクロースに幸せを③
クリスマスイブの夜、大学帰りに電車に乗った。課題の提出に時間がかかってしまった。外気も刺すように冷たくて、顎までしっかりとマフラーを巻く。
車内は若干混雑していた。邪魔にならないようにドアの近くに立ち、窓の外を眺める。きらきら、きらきら。あちらこちらでクリスマスのネオンが輝く。家々も飾りつけられていて、楽しいクリスマスを迎えている様子が頭に浮かぶ。
サンタだから今夜来るのか……?
アリアの思考はまったくわからないので、帰宅したら待っているかもしれない。弾む胸を不思議に思いながら、窓の外に目を留める。
「……?」
大きめの駅が近づき、駅前に見慣れた姿を見た気がする。視線を戻すと、うしろ姿だが金髪のサンタクロースの姿がある。
まさか……まさかな、と思いながらも見間違いとは思えない。急いで電車を降り、駅ビル前の通りに走る。
「……アリア」
金髪のサンタクロースは、やはりアリアだった。にこにこと笑顔でチキンを売っている。なんとなく、どういう流れでそうなったかが想像できて、ふつふつと沸騰する感情をかかえながらサンタに近づく。
「副業いいのか」
「譜生!」
声をかけると、アリアはぱっと表情を輝かせた。一瞬周囲がざわりとしたのがわかる。みんな美形サンタを観察しているのだ。
「友達が急な予定が入ったからって困ってて、かわったんだ」
「……」
そんなことだろうと思った。でもアリアは友達を疑っている様子はない。
「それ、本当なのかよ。アリアを都合よく使ってるんじゃないのか」
「うん、だろうね」
「『だろうね』って……」
わかっているのなら断ればいいのに。でも、アリアはこれで満足なのだ。友達が幸せになっているから。
いらいらする。アリアを都合よく利用する友達も、馬鹿みたいにそのとおりに動くアリアにも腹が立つ。
「あっ! え、なに?」
アリアのサンタ帽を奪い、譜生がかぶる。地味な譜生では集客は期待できないだろうが、アリアがひとりで馬鹿なことをしているのを放っておけない。
「即席だけど、俺も手伝う」
「バイトは?」
「今日休み。さっさと売って帰る」
通っていく人たちに声をかけ、チキンをすすめる。アリアは茫然と突っ立っているので、強めに肩を叩いた。
「ぼーっとすんな」
「あ、う、うん」
はっと目をまばたいたアリアも、先ほどまでと違って積極的にチキンをすすめている。やはりというかなんというか、女性は美形サンタにぽうっとなってチキンを買っていく。
ふたりで頑張ったからか美形サンタが人を引き寄せたのか、あっという間にチキンは完売した。譜生は、かぶっていたサンタ帽をアリアに返す。
「仕事のあとにチキン売るなんて疲れただろ。さっさと帰って休めよ」
「待って、すぐに報告してくるから」
アリアは慌てながら、通りに面した飲食店にばたばたと入っていく。『報告』はどうやらチキン完売の報告らしい。すぐに戻ってきたアリアは、頬を少し赤らめて微笑んだ。
「帰ろう」
「帰ろうって……自分ちに帰れよ」
「うん。譜生と帰る」
「話聞け」
どうしてこうも会話がずれるのか。でも、まあいいかという気持ちになった。アリアがとても嬉しそうだから。
ふたりで電車に乗ると、美形サンタに視線が集中する。そりゃそうだろうな、と思いながらアリアの隣で小さくなる。視線を集めるなんて慣れていないから、少し離れていたい。距離を取ろうとしたら手を掴まれた。
「アリア?」
「離れないで」
真剣な瞳を向けられ、動けない。身体が固まって、ぼうっとアリアを見あげる。
クリスマスの魔法か、アリアがとても恰好よく見える。譜生に視線を向けたアリアは、口もとを緩めた。目が合ったまま見入ってしまった。
「……」
電車の中では他になにも話せなかった。譜生が黙っていると、普段と違ってアリアも声をかけてこなかった。変な緊張感を覚えつつ電車に揺られる。
譜生の自宅につき、暖房をつけて温かい飲みものを用意する。暖かい部屋で、ふたりでココアを飲んだ。
「……譜生」
「な」
なに、と聞こうとした言葉をアリアの唇が遮った。柔らかいものが唇に触れている。意味がわからず固まったままの譜生を、アリアが押し倒した。
状況が理解できない。目をまばたき、覆いかぶさるアリアを見あげる。アリアはせつなく眉を寄せて、もう一度キスをしてきた。
「お、おい!」
制止の声をかけてもアリアの動きは止まらない。首もとにキスをして、譜生が着るシャツのボタンを勝手にはずしていく。逃げようと身体をよじったら、うなじにもキスをされた。
「アリ――」
顔を見あげて言葉が止まった。
金色の瞳が儚げに揺れている。見ている譜生のほうが胸に痛みが走るような、つらそうとも切羽詰まっているとも思える表情を向けられる。
アリアはゆったりとした動きで譜生のシャツを脱がせた。譜生が動けずにいるのをいいことに、肌にキスを落としていく。くすぐったくて身を震わせると、アリアは縋る瞳で譜生を見つめた。
「僕を好きになって」
懇願に近い声音に、ぞくんと背筋が波立つ。肌にキスをしながら、アリアはもう一度同じ言葉を繰り返した。「好きになって」とかすれた声が乞う。アリアの声がこんなに低く重く聞こえたことがない。
肌へのキスのたびに細い金髪が肌をくすぐる。むずがゆい感覚が身体を火照らせ、はしたない吐息を零させる。
「お願い、今は流されて」
「嫌だ」
即答してアリアの下から逃げようとすると、きつく抱きしめられた。サンタ服についたファーの感触もくすぐったい。身をよじる譜生を、アリアはさらに強く抱きしめる。
「じゃあ、僕に優しくして……僕も優しくするから」
「なに言っ、……ぁ」
また唇が重なり、なぜだか瞼をおろしている自分を不思議に思う。流されているのだろうか、アリアがかわいそうだから受け入れているのだろうか――考えてみたが、どちらも違う。だって、アリアのキスでこんなにどきどきしている。逃げるなんてできないくらいに、脳の芯が痺れる。
「譜生……」
囁かれる名前さえ、身体を熱くする。サンタ服を脱ぎ捨てたアリアの引き締まった身体に、緊張からごくりと唾を飲む。逃げることより、この身体にいだかれることを考えてしまった。
丁寧な愛撫に頭がぼうっとしてくる。胸の突起やへそのまわりを何度も撫でられ、くすぐったさが消えて下肢に熱が灯る。アリアの頬に触れると顔があがり、まっすぐに見つめ合った。
「アリア……」
「譜生、好きだよ。僕は譜生が好き」
泣き出しそうな顔での告白に胸が疼く。金髪を撫でてあげると、アリアは目を細めた。穏やかな表情に、譜生も泣きそうになってしまった。
「譜生、大好き」
こういうことはお互いに気持ちをたしかめ合ってからするものだ。わかっているのに拒絶できない。ただ呼吸を荒げる譜生に、アリアは頬を上気させている。
「可愛い、譜生」
「あっ!」
熱くなった下肢を直接握られ、腰が跳ねる。おおげさに反応した譜生に、アリアは笑みを深くした。妖艶な笑みにぞくりとする。騒ぐ肌を落ちつかせる術も知らず、アリアに翻弄される。
いやらしく濡れた昂ぶりにアリアの指が絡む。ちゅくちゅくと音を立てながら、アリアの手が追い詰めてくる。
「ま、待て……そんなにしたら……」
「いいよ、いって。譜生がいくところ見たい」
「っ、……あ! ほんとだめだ、いく、から……あ、あ……!」
せりあがってきた熱が腰を重くする。熱い欲望が管を通り抜け、噴き出して肌に散った。自分でするときと比べてはるかに大きい快感に、小刻みに揺れる身体がおさまらない。射精の余韻にぼうっとしていると、アリアに抱きあげられた。
布団に寝かされ、まだぼうっとしたままアリアを見あげる。アリアの下腹部もはっきりと形を変えている。見てはいけないのに目が逸らせない。譜生の視線に気がつき、アリアが下腹部をすり寄せてきた。
「可愛い譜生を見てたら、こんなになっちゃった」
「俺は可愛くない」
「可愛いよ。まっすぐで心が綺麗で、とっても可愛い」
キスをされ、瞼をおろす。
拒めない。拒みたくない。罠にかかったように、アリアがほしくてたまらない自分が恥ずかしい。
恥ずかしいところを指でほぐされて、快感を発掘される。譜生自身知らなかった弱いところを攻められ、身体が揺れて止まらない。全身が熱くて、脳が蕩けてしまったようにぼうっとする。譜生が甘い声を出すと、アリアはこれ以上ないほどに幸せそうに目を細める。
「あ、あ……っ!」
「譜生……譜生、大好きだよ」
アリアとひとつになっているなんて、現実だと思えない。でも現実だ。譜生の中におさまるのはアリアの長大な猛りで、腰を揺すられるたびに勝手に声が出る。押し出された声まで呑み込むようなキスが唇を塞ぐ。好意も行為も拒めない理由を考えてみたが、答えなんてひとつしかなかった。
目を開けると、カーテンの隙間から陽射しが入っていた。いつの間にか朝になっている。布団で横になる譜生の隣には誰もいない。室内に誰の気配もない。
「サンタだもんな」
クリスマスの朝には、プレゼントを置いて去ってしまうのだ。ぽつりと呟いた声は、しんとした室内に消えていった。寂しさを置いていくなんて、ひどいプレゼントもあったものだ。
「――なんて納得できるか」
勝手に抱いて勝手に去っていくとか、どんな言い方をしてもやり逃げでしかない。絶対に責任を取らせる。
それからアリアの行きそうなところをひたすら探した。メッセージを送っても、既読になるが返信がない。そういうことをするのか、と苛立ちながらスマートフォンを握りしめる。これくらいで諦めるわけがない。逆に闘志が燃えた。
車内は若干混雑していた。邪魔にならないようにドアの近くに立ち、窓の外を眺める。きらきら、きらきら。あちらこちらでクリスマスのネオンが輝く。家々も飾りつけられていて、楽しいクリスマスを迎えている様子が頭に浮かぶ。
サンタだから今夜来るのか……?
アリアの思考はまったくわからないので、帰宅したら待っているかもしれない。弾む胸を不思議に思いながら、窓の外に目を留める。
「……?」
大きめの駅が近づき、駅前に見慣れた姿を見た気がする。視線を戻すと、うしろ姿だが金髪のサンタクロースの姿がある。
まさか……まさかな、と思いながらも見間違いとは思えない。急いで電車を降り、駅ビル前の通りに走る。
「……アリア」
金髪のサンタクロースは、やはりアリアだった。にこにこと笑顔でチキンを売っている。なんとなく、どういう流れでそうなったかが想像できて、ふつふつと沸騰する感情をかかえながらサンタに近づく。
「副業いいのか」
「譜生!」
声をかけると、アリアはぱっと表情を輝かせた。一瞬周囲がざわりとしたのがわかる。みんな美形サンタを観察しているのだ。
「友達が急な予定が入ったからって困ってて、かわったんだ」
「……」
そんなことだろうと思った。でもアリアは友達を疑っている様子はない。
「それ、本当なのかよ。アリアを都合よく使ってるんじゃないのか」
「うん、だろうね」
「『だろうね』って……」
わかっているのなら断ればいいのに。でも、アリアはこれで満足なのだ。友達が幸せになっているから。
いらいらする。アリアを都合よく利用する友達も、馬鹿みたいにそのとおりに動くアリアにも腹が立つ。
「あっ! え、なに?」
アリアのサンタ帽を奪い、譜生がかぶる。地味な譜生では集客は期待できないだろうが、アリアがひとりで馬鹿なことをしているのを放っておけない。
「即席だけど、俺も手伝う」
「バイトは?」
「今日休み。さっさと売って帰る」
通っていく人たちに声をかけ、チキンをすすめる。アリアは茫然と突っ立っているので、強めに肩を叩いた。
「ぼーっとすんな」
「あ、う、うん」
はっと目をまばたいたアリアも、先ほどまでと違って積極的にチキンをすすめている。やはりというかなんというか、女性は美形サンタにぽうっとなってチキンを買っていく。
ふたりで頑張ったからか美形サンタが人を引き寄せたのか、あっという間にチキンは完売した。譜生は、かぶっていたサンタ帽をアリアに返す。
「仕事のあとにチキン売るなんて疲れただろ。さっさと帰って休めよ」
「待って、すぐに報告してくるから」
アリアは慌てながら、通りに面した飲食店にばたばたと入っていく。『報告』はどうやらチキン完売の報告らしい。すぐに戻ってきたアリアは、頬を少し赤らめて微笑んだ。
「帰ろう」
「帰ろうって……自分ちに帰れよ」
「うん。譜生と帰る」
「話聞け」
どうしてこうも会話がずれるのか。でも、まあいいかという気持ちになった。アリアがとても嬉しそうだから。
ふたりで電車に乗ると、美形サンタに視線が集中する。そりゃそうだろうな、と思いながらアリアの隣で小さくなる。視線を集めるなんて慣れていないから、少し離れていたい。距離を取ろうとしたら手を掴まれた。
「アリア?」
「離れないで」
真剣な瞳を向けられ、動けない。身体が固まって、ぼうっとアリアを見あげる。
クリスマスの魔法か、アリアがとても恰好よく見える。譜生に視線を向けたアリアは、口もとを緩めた。目が合ったまま見入ってしまった。
「……」
電車の中では他になにも話せなかった。譜生が黙っていると、普段と違ってアリアも声をかけてこなかった。変な緊張感を覚えつつ電車に揺られる。
譜生の自宅につき、暖房をつけて温かい飲みものを用意する。暖かい部屋で、ふたりでココアを飲んだ。
「……譜生」
「な」
なに、と聞こうとした言葉をアリアの唇が遮った。柔らかいものが唇に触れている。意味がわからず固まったままの譜生を、アリアが押し倒した。
状況が理解できない。目をまばたき、覆いかぶさるアリアを見あげる。アリアはせつなく眉を寄せて、もう一度キスをしてきた。
「お、おい!」
制止の声をかけてもアリアの動きは止まらない。首もとにキスをして、譜生が着るシャツのボタンを勝手にはずしていく。逃げようと身体をよじったら、うなじにもキスをされた。
「アリ――」
顔を見あげて言葉が止まった。
金色の瞳が儚げに揺れている。見ている譜生のほうが胸に痛みが走るような、つらそうとも切羽詰まっているとも思える表情を向けられる。
アリアはゆったりとした動きで譜生のシャツを脱がせた。譜生が動けずにいるのをいいことに、肌にキスを落としていく。くすぐったくて身を震わせると、アリアは縋る瞳で譜生を見つめた。
「僕を好きになって」
懇願に近い声音に、ぞくんと背筋が波立つ。肌にキスをしながら、アリアはもう一度同じ言葉を繰り返した。「好きになって」とかすれた声が乞う。アリアの声がこんなに低く重く聞こえたことがない。
肌へのキスのたびに細い金髪が肌をくすぐる。むずがゆい感覚が身体を火照らせ、はしたない吐息を零させる。
「お願い、今は流されて」
「嫌だ」
即答してアリアの下から逃げようとすると、きつく抱きしめられた。サンタ服についたファーの感触もくすぐったい。身をよじる譜生を、アリアはさらに強く抱きしめる。
「じゃあ、僕に優しくして……僕も優しくするから」
「なに言っ、……ぁ」
また唇が重なり、なぜだか瞼をおろしている自分を不思議に思う。流されているのだろうか、アリアがかわいそうだから受け入れているのだろうか――考えてみたが、どちらも違う。だって、アリアのキスでこんなにどきどきしている。逃げるなんてできないくらいに、脳の芯が痺れる。
「譜生……」
囁かれる名前さえ、身体を熱くする。サンタ服を脱ぎ捨てたアリアの引き締まった身体に、緊張からごくりと唾を飲む。逃げることより、この身体にいだかれることを考えてしまった。
丁寧な愛撫に頭がぼうっとしてくる。胸の突起やへそのまわりを何度も撫でられ、くすぐったさが消えて下肢に熱が灯る。アリアの頬に触れると顔があがり、まっすぐに見つめ合った。
「アリア……」
「譜生、好きだよ。僕は譜生が好き」
泣き出しそうな顔での告白に胸が疼く。金髪を撫でてあげると、アリアは目を細めた。穏やかな表情に、譜生も泣きそうになってしまった。
「譜生、大好き」
こういうことはお互いに気持ちをたしかめ合ってからするものだ。わかっているのに拒絶できない。ただ呼吸を荒げる譜生に、アリアは頬を上気させている。
「可愛い、譜生」
「あっ!」
熱くなった下肢を直接握られ、腰が跳ねる。おおげさに反応した譜生に、アリアは笑みを深くした。妖艶な笑みにぞくりとする。騒ぐ肌を落ちつかせる術も知らず、アリアに翻弄される。
いやらしく濡れた昂ぶりにアリアの指が絡む。ちゅくちゅくと音を立てながら、アリアの手が追い詰めてくる。
「ま、待て……そんなにしたら……」
「いいよ、いって。譜生がいくところ見たい」
「っ、……あ! ほんとだめだ、いく、から……あ、あ……!」
せりあがってきた熱が腰を重くする。熱い欲望が管を通り抜け、噴き出して肌に散った。自分でするときと比べてはるかに大きい快感に、小刻みに揺れる身体がおさまらない。射精の余韻にぼうっとしていると、アリアに抱きあげられた。
布団に寝かされ、まだぼうっとしたままアリアを見あげる。アリアの下腹部もはっきりと形を変えている。見てはいけないのに目が逸らせない。譜生の視線に気がつき、アリアが下腹部をすり寄せてきた。
「可愛い譜生を見てたら、こんなになっちゃった」
「俺は可愛くない」
「可愛いよ。まっすぐで心が綺麗で、とっても可愛い」
キスをされ、瞼をおろす。
拒めない。拒みたくない。罠にかかったように、アリアがほしくてたまらない自分が恥ずかしい。
恥ずかしいところを指でほぐされて、快感を発掘される。譜生自身知らなかった弱いところを攻められ、身体が揺れて止まらない。全身が熱くて、脳が蕩けてしまったようにぼうっとする。譜生が甘い声を出すと、アリアはこれ以上ないほどに幸せそうに目を細める。
「あ、あ……っ!」
「譜生……譜生、大好きだよ」
アリアとひとつになっているなんて、現実だと思えない。でも現実だ。譜生の中におさまるのはアリアの長大な猛りで、腰を揺すられるたびに勝手に声が出る。押し出された声まで呑み込むようなキスが唇を塞ぐ。好意も行為も拒めない理由を考えてみたが、答えなんてひとつしかなかった。
目を開けると、カーテンの隙間から陽射しが入っていた。いつの間にか朝になっている。布団で横になる譜生の隣には誰もいない。室内に誰の気配もない。
「サンタだもんな」
クリスマスの朝には、プレゼントを置いて去ってしまうのだ。ぽつりと呟いた声は、しんとした室内に消えていった。寂しさを置いていくなんて、ひどいプレゼントもあったものだ。
「――なんて納得できるか」
勝手に抱いて勝手に去っていくとか、どんな言い方をしてもやり逃げでしかない。絶対に責任を取らせる。
それからアリアの行きそうなところをひたすら探した。メッセージを送っても、既読になるが返信がない。そういうことをするのか、と苛立ちながらスマートフォンを握りしめる。これくらいで諦めるわけがない。逆に闘志が燃えた。
あなたにおすすめの小説
恋人に好きな人が出来たと思ったら、なにやら雲行きが怪しい。
めっちゃ抹茶
BL
突然だが、容姿も中身も平凡な俺には、超絶イケメンの王子と呼ばれる恋人がいる。付き合い始めてそろそろ一年が経つ。といってもまだキスもそれ以上もした事がない健全なお付き合い。王子は優しいけど意地悪で、いつも俺の心臓を高鳴らせてくる——だけどそれだけだ。この前、喧嘩をした。それきり彼と話していない。付き合っているのか定かじゃない関係。挙句に、今遠目から見つけた王子の側には可憐な女の子。彼女が彼に寄り掛かって二人がキスをしている。
その瞬間、目の前が真っ黒になった。もう無理だ。俺がスイッチが切れたようにその場に立ち尽くした、その時だった。前にいる彼から聞いたこともない怒声が俺の耳に届いたのは。
⚪︎佐藤玲央……微笑みの王子と呼ばれ、常に笑顔を絶やさない。物腰柔らかな姿勢に男女問わずモテる
⚪︎中田真……両親の転勤で引っ越してきた転校生。平凡な容姿で口が悪いがクラスに馴染めず誰とも話さないので王子しか知らないし、これからも多分バレない
※全四話、予約投稿済み。
本編に攻めの名前が出てこないの書き終わってから気が付いた。3/16タイトル少し変更しました。
※後日談を3/25に投稿予定←しました。Rを書くかはまだ悩み中
αとβじゃ番えない
庄野 一吹
BL
社交界を牽引する3つの家。2つの家の跡取り達は美しいαだが、残る1つの家の長男は悲しいほどに平凡だった。第二の性で分類されるこの世界で、平凡とはβであることを示す。
愛を囁く二人のαと、やめてほしい平凡の話。
美澄の顔には抗えない。
米奏よぞら
BL
スパダリ美形攻め×流され面食い受け
高校時代に一目惚れした相手と勢いで付き合ったはいいものの、徐々に相手の熱が冷めていっていることに限界を感じた主人公のお話です。
※なろう、カクヨムでも掲載中です。
親に虐げられてきたβが、Ωと偽ってαと婚約してしまった話
さるやま
BL
◆瑞希(受け)語り
□アキ(攻め)語り
攻め→→→→←←受け
眞鍋秋人(攻め)
優秀なα。真鍋家の次期当主。本質は狡くて狡猾だが、それを上手く隠して好青年を演じている。瑞希にはアキさんと呼ばれている。
高宮瑞希(受け)
Ωと偽っている平凡なβ。幼少期の経験からか自己肯定感が低く、自分に自信がない。自己犠牲的。
有栖蕾
花の精のように美しいと名高い美少年のΩ。アキさんの元婚約者(と言っても、正式な婚約関係になく、幼少期の口約束程度)であり、アキさんのことをまだ好いている。瑞希のことを秋人の婚約者として紹介され、許せない相手になった。
俺の親友がモテ過ぎて困る
くるむ
BL
☆完結済みです☆
番外編として短い話を追加しました。
男子校なのに、当たり前のように毎日誰かに「好きだ」とか「付き合ってくれ」とか言われている俺の親友、結城陽翔(ゆうきはるひ)
中学の時も全く同じ状況で、女子からも男子からも追い掛け回されていたらしい。
一時は断るのも面倒くさくて、誰とも付き合っていなければそのままOKしていたらしいのだけど、それはそれでまた面倒くさくて仕方がなかったのだそうだ(ソリャソウダロ)
……と言う訳で、何を考えたのか陽翔の奴、俺に恋人のフリをしてくれと言う。
て、お前何考えてんの?
何しようとしてんの?
……てなわけで、俺は今日もこいつに振り回されています……。
美形策士×純情平凡♪