しあわせをあなたと

すずかけあおい

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それから

それから④

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「あっ、あ、んっ」

 莉久がもう一度見ないでと言うと、ヘイゼルの熱い瞳がわずかに逸れた。なぜかとても心細くなり、すぐに自分の言葉を打ち消した。

「やっぱり……もっと見て」
「どっちだよ」

 苦笑する表情が穏やかだ。そのあいだにも怜司の手の中で濡れた昂ぶりは張り詰めていく。あの日も優しく触れてくれたけれど、今日はそれ以上に繊細な手つきで莉久を高める。あっという間に張り詰めた昂ぶりを扱かれ、濡れた音が耳に響いた。

「怜司さん……だめ、いきそう」
「一回いくか? それとも我慢する?」
「……」

 怜司と一緒に達したい気持ちもあるけれど、すぐにでも限界まで昇りたい気持ちもある。怜司は悩む莉久の唇をなぞって答えを促す。

「……いかせて」

 恥ずかしくて顔から火が出そうだ。口にするのにあまりにも羞恥を伴う発言を、怜司は満足そうに微笑んで受け取ってくれた。

「ああ……っ!」

 指を絡めていた昂ぶりを、怜司が口におさめる。熱い粘膜に包まれ、腰が何度も震えた。ねっとりとしゃぶられ、弱いところを舌が重点的にいじめる。脚が引き攣り、思わずシーツを蹴る莉久の腰に手を添えた怜司に、喉奥まで咥え込まれた。

「だめ、だめ、いく……!」

 唇で扱かれ吸いあげられると、腰の奥深くから熱い劣情がせりあがってくる。顔を前後に動かしていた怜司が喉の奥を締め、同時に昂ぶりが弾けた。口内に放たれた飛沫を躊躇いもなく嚥下されて、胸を喘がせながら莉久は気が遠くなる思いだった。

「……のんだ……」
「別にいいだろ」
「よくない」

 力が入らずベッドに沈む莉久の腰を抱き寄せる怜司の微笑みが、驚くほどつややかで目が離せない。両手を伸ばして怜司の頬に触れると、唇が甘く重なった。

「いいのか?」
「うん?」
「なんか、壊しそうで怖いんだけど」
「俺、そんなにやわじゃない」

 怜司の下着を押しあげている熱い猛りを撫でると苦笑された。

「ほんと、悪い手だな」

 その手が掴まって、手の甲に唇が押し当てられる。手のひらから手首、肘、二の腕と舌が這っていき、もどかしい快感が熱を燻ぶらせた。再び熱くなった身体をもてあまして、怜司の腰に自身の昂ぶりをこすりつけた。

「莉久、エロい」
「あっ……あ、あ」

 胸の尖りを指でいじめられて腰が疼く。さらに怜司の熱に自身をこすりつけると、両膝が開かれた。左右に脚を倒され、奥まったところまで怜司の目に触れる。何度か孔のまわりを撫でた指が滑り込み、莉久は眉を寄せた。

「痛いか?」
「ううん、大丈夫」

 なるべく力を抜こうとするのに、違和感に身体が強張る。なだめるように頬や額に唇が触れ、少しの弛緩も見逃さず指が奥へ進んだ。

「変な感じ……」

 痛くはないのだけれど、とても違和感がある。少しでも気持ちを落ちつかせようとするかのように、怜司は身体のあちこちにキスを繰り返す。淡い感覚がくすぐったくて莉久は少し笑った。

「息吐いて」
「うん」

 ふうと息を吐くと、指が増やされた。指先で内壁をさぐるように撫でられ、かすめたところでぞわりと背筋が波立った。

「そこ……なんか」
「大丈夫」
「あっ……」

 同じところを撫でられ、ぞわぞわがつま先から駆けのぼってくる。軽く押されたら、莉久自身驚くような甘みを帯びた喘ぎが口から飛び出した。

「れ、怜司さん……、そこ、なに……、ああ……っ」
「なにって、いいところ?」

 莉久がシーツを乱す姿をじっと見つめる怜司の瞳が熱い。縋るように怜司の肩に手を置き、ぎゅっと力をこめた。
 弱いところをさらに刺激され、鋭い快感が滑りあがる。あまりの快感に涙が滲み、目尻からひと筋流れ落ちた。それを指で拭われ、頬を撫でる手を捕まえる。手のひらに頬ずりをすると、怜司が深く息を落とした。

「怜司さん……?」
「いや。可愛いなと思って。すげえ守りたい」

 指が抜かれて変な声が出た。思わず口を手で押さえると、その手の甲にキスをされた。

「痛かったりつらかったりしたら、強がらないでちゃんと言えよ」
「うん……」

 莉久の脚のあいだに怜司が身体を入れる。ゴムをつけているところをついじっと見てしまった。

「そのゴム、どうしたの?」
「買ってあった。俺だって莉久としたかったし」

 それなら早く言ってくれたらよかったのに、と少し拗ねると、苦笑した怜司がキスをくれた。


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