2 / 13
2+2=4(健吾×時也)
2+2=4(健吾×時也)②
しおりを挟む
伊達も江藤もいい奴だと思うけれど、やっぱり俺は日高が格好いいと思う。優しくて穏やかで、同い年と思えないくらい落ちついている。自然と目が引き寄せられ、四人でいてもつい日高ばかりを見てしまう。日高の笑顔がもっと見たいし、笑いかけられるとどきどきする。変な感じだ、と思いながらそれでも日高を見てしまう。
伊達はいつもやる気がなさそうだけど、授業中は真面目。見た目だけだといい加減そうなのに、案外そうでもないのかもしれない。
江藤は言葉に抑揚があることが少しずつわかってきたけれど、基本的にはそっけない感じ。
仲のいい四人組という認識をされるくらいに、俺たちはよく一緒にいた。
翌年、そのまま三年に上がった。二年から三年に上がるときは、三年ではなるべくすぐに受験体勢に入りやすいようにクラス替えがないのでそのまま持ち上がり。相変わらず俺は日高ばかりを見ていた。
「日高が好きなの?」
「えっ」
ある日、江藤に突然聞かれて初めて自分の気持ちと向かい合った。
「別に好きとかそういうんじゃなくて……!」
いや、俺は日高が好きだ……。口に出すと頬が熱くなってしまうけれど、そういうことなんだと思う。でも、自覚したところで告白なんてできない。
「そっか……好きなんだ」
「他人事みたいに言うなよ」
俺の呟きに江藤が呆れた顔をする。
「でも、日高には俺なんかだめだよね。だって日高は格好いいし、頼りになるし、人気者だし」
「根岸、うるせえ」
ぐじぐじといろいろ言っているといつの間にか伊達が江藤の隣に立っている。
「しょうがねえな」
そのときは伊達の言葉の意味がわからなかったけれど、翌日すぐにわかった。伊達と江藤は日高と俺をふたりきりにするようになった。
「また伊達と江藤、どこか行っちゃったの?」
「う、うん……」
「じゃあふたりでお昼食べようか」
小さく頷く。俺はずっとどきどきしてどうしようもないけれど、日高は俺の様子に気づいているのかいないのか。
「わ……」
「大丈夫?」
ぼんやりしていて転びかけた俺を日高が支えてくれる。
「ありがとう」
距離が近くて、お礼を言って慌てて離れる。
日高が優しくしてくれるたびに俺は嬉しいのに切なくなる。俺の気持ちを知ったら、日高はこんな風に優しくしてくれない。だからこの気持ちは隠したほうがいいんだ。
「根岸はあぶなっかしいところがあるね」
「……ごめん」
それでも日高といられることが嬉しくて、気持ちが膨らんでしまうのが止められない。
気がつくと俺は、日高と視線が合うと目を伏せるようになってしまった。
「じれったい」
背後から頭を小突かれて、振り返ると伊達だった。隣には江藤もいる。四人で揃うのは久しぶりだ。
「根岸さぁ……」
「それはここでは言わないで……!」
「だったらさっさと言えよ」
江藤と伊達が呆れ顔で俺を囲む。こそこそ話をしていたら身体がうしろに引っ張られた。日高が俺の腕を掴んで自分のほうに引き寄せたんだ、とわかったら疑問符が頭の中にふわふわした。伊達と江藤は顔を見合わせている。日高のこの行動はどういう意味だろう、と日高を見上げるといつもの笑顔を浮かべている。
「四人で遊園地行くか」
「え……」
伊達が突然そんなことを言い出し、なんで急にそんな話になったんだろうと俺が更に頭の中の疑問符を増やしていると、江藤もその話に乗っかり、日高も「いいね」と言った。ついていけない俺を置いて、三人でさくさく話を進めている。
「次の日曜日でどう?」
「根岸は大丈夫?」
伊達の言葉に、日高が俺を見るのですぐ頷いた。お小遣いはまだ残っているし、お年玉の残りもあるから大丈夫だ。
遊園地……わくわくするのに、もっと日高が好きになりそうで少し怖い気持ちもある。でも、やっぱり楽しみ。
伊達はいつもやる気がなさそうだけど、授業中は真面目。見た目だけだといい加減そうなのに、案外そうでもないのかもしれない。
江藤は言葉に抑揚があることが少しずつわかってきたけれど、基本的にはそっけない感じ。
仲のいい四人組という認識をされるくらいに、俺たちはよく一緒にいた。
翌年、そのまま三年に上がった。二年から三年に上がるときは、三年ではなるべくすぐに受験体勢に入りやすいようにクラス替えがないのでそのまま持ち上がり。相変わらず俺は日高ばかりを見ていた。
「日高が好きなの?」
「えっ」
ある日、江藤に突然聞かれて初めて自分の気持ちと向かい合った。
「別に好きとかそういうんじゃなくて……!」
いや、俺は日高が好きだ……。口に出すと頬が熱くなってしまうけれど、そういうことなんだと思う。でも、自覚したところで告白なんてできない。
「そっか……好きなんだ」
「他人事みたいに言うなよ」
俺の呟きに江藤が呆れた顔をする。
「でも、日高には俺なんかだめだよね。だって日高は格好いいし、頼りになるし、人気者だし」
「根岸、うるせえ」
ぐじぐじといろいろ言っているといつの間にか伊達が江藤の隣に立っている。
「しょうがねえな」
そのときは伊達の言葉の意味がわからなかったけれど、翌日すぐにわかった。伊達と江藤は日高と俺をふたりきりにするようになった。
「また伊達と江藤、どこか行っちゃったの?」
「う、うん……」
「じゃあふたりでお昼食べようか」
小さく頷く。俺はずっとどきどきしてどうしようもないけれど、日高は俺の様子に気づいているのかいないのか。
「わ……」
「大丈夫?」
ぼんやりしていて転びかけた俺を日高が支えてくれる。
「ありがとう」
距離が近くて、お礼を言って慌てて離れる。
日高が優しくしてくれるたびに俺は嬉しいのに切なくなる。俺の気持ちを知ったら、日高はこんな風に優しくしてくれない。だからこの気持ちは隠したほうがいいんだ。
「根岸はあぶなっかしいところがあるね」
「……ごめん」
それでも日高といられることが嬉しくて、気持ちが膨らんでしまうのが止められない。
気がつくと俺は、日高と視線が合うと目を伏せるようになってしまった。
「じれったい」
背後から頭を小突かれて、振り返ると伊達だった。隣には江藤もいる。四人で揃うのは久しぶりだ。
「根岸さぁ……」
「それはここでは言わないで……!」
「だったらさっさと言えよ」
江藤と伊達が呆れ顔で俺を囲む。こそこそ話をしていたら身体がうしろに引っ張られた。日高が俺の腕を掴んで自分のほうに引き寄せたんだ、とわかったら疑問符が頭の中にふわふわした。伊達と江藤は顔を見合わせている。日高のこの行動はどういう意味だろう、と日高を見上げるといつもの笑顔を浮かべている。
「四人で遊園地行くか」
「え……」
伊達が突然そんなことを言い出し、なんで急にそんな話になったんだろうと俺が更に頭の中の疑問符を増やしていると、江藤もその話に乗っかり、日高も「いいね」と言った。ついていけない俺を置いて、三人でさくさく話を進めている。
「次の日曜日でどう?」
「根岸は大丈夫?」
伊達の言葉に、日高が俺を見るのですぐ頷いた。お小遣いはまだ残っているし、お年玉の残りもあるから大丈夫だ。
遊園地……わくわくするのに、もっと日高が好きになりそうで少し怖い気持ちもある。でも、やっぱり楽しみ。
1
あなたにおすすめの小説
青龍将軍の新婚生活
蒼井あざらし
BL
犬猿の仲だった青辰国と涼白国は長年の争いに終止符を打ち、友好を結ぶこととなった。その友好の証として、それぞれの国を代表する二人の将軍――青龍将軍と白虎将軍の婚姻話が持ち上がる。
武勇名高い二人の将軍の婚姻は政略結婚であることが火を見るより明らかで、国民の誰もが「国境沿いで睨み合いをしていた将軍同士の結婚など上手くいくはずがない」と心の中では思っていた。
そんな国民たちの心配と期待を背負い、青辰の青龍将軍・星燐は家族に高らかに宣言し母国を旅立った。
「私は……良き伴侶となり幸せな家庭を築いて参ります!」
幼少期から伴侶となる人に尽くしたいという願望を持っていた星燐の願いは叶うのか。
中華風政略結婚ラブコメ。
※他のサイトにも投稿しています。
籠中の鳥と陽色の君〜訳アリ王子の婚約お試し期間〜
むらくも
BL
婚約話から逃げ続けていた氷の国のα王子グラキエは、成年を機に年貢の納め時を迎えていた。
令嬢から逃げたい一心で失言の常習犯が選んだのは、太陽の国のΩ王子ラズリウ。
同性ならば互いに別行動が可能だろうと見込んでの事だったけれど、どうにもそうはいかなくて……?
本当はもっと、近くに居たい。
自由で居たいα王子×従順に振る舞うΩ王子の両片想いBL。
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
【完結済】どんな姿でも、あなたを愛している。
キノア9g
BL
かつて世界を救った英雄は、なぜその輝きを失ったのか。そして、ただ一人、彼を探し続けた王子の、ひたむきな愛が、その閉ざされた心に光を灯す。
声は届かず、触れることもできない。意識だけが深い闇に囚われ、絶望に沈む英雄の前に現れたのは、かつて彼が命を救った幼い王子だった。成長した王子は、すべてを捨て、十五年もの歳月をかけて英雄を探し続けていたのだ。
「あなたを死なせないことしか、できなかった……非力な私を……許してください……」
ひたすらに寄り添い続ける王子の深い愛情が、英雄の心を少しずつ、しかし確かに温めていく。それは、常識では測れない、静かで確かな繋がりだった。
失われた時間、そして失われた光。これは、英雄が再びこの世界で、愛する人と共に未来を紡ぐ物語。
全8話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる