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(13)願い事①
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「要、月が綺麗」
シャワーを浴び終えた侑大が窓から月を見上げながら俺を呼ぶ。
「あ、ほんとだ」
侑大と同じように窓から空を見上げると、雲ひとつない夜空にまんまるな月が浮かんでいる。
「ベランダで見たい」
「落ちんなよ」
「落ちねえよ」
そう言って侑大が俺の部屋からベランダに出る。
俺はお茶のペットボトルを冷蔵庫から二本取って侑大の後に続く。
「はい」
ペットボトルを一本、侑大に渡す。
侑大はちょっと不満そうだ。
「お茶? 酒がいい」
「侑大、最近酒好きだよな。すぐぐだぐだになるのに」
「だって酔ってたら要に素直に甘えられるじゃん」
「え、何それ。そんな可愛い理由なの?」
「さあ? どうだろうな」
侑大は意味深に微笑む。
相変わらず可愛い。
侑大はどんな時でも素直に甘えているのかと思ったけど、侑大自身からしたら素直になれていない時もあるのか。
初めて知った。
「椅子持ってくる」
「ちょっと見るだけじゃないの?」
「だってすげー綺麗なんだもん」
侑大が椅子を二つ持ってきてぴったりくっつけてベランダに並べる。
「近くない?」
「近いの嫌?」
「嬉しい」
「じゃあいいじゃん」
侑大は隣に座る俺の肩に頭をのせ、指を絡める。
なんだかこういうのすごく新鮮。
「なんかさ」
「ん?」
「世界って広いじゃん?」
「うん」
なんの話だろう。
「そんな中で要と出会えたって、すごい奇跡だなって」
「そうだね」
侑大の髪が風で揺れて頬に触れる。
ちょっと擽ったい。
「要と出会えなかったらって思うとすっごい怖い」
「うん、俺も怖いけど、でもどんな形でも俺と侑大は絶対出会えたと思うよ」
「なんで?」
「そんな気がするから」
「そっか…」
侑大が優しく笑う。
俺の大好きな笑顔。
「でも万が一俺に他の誰かがいたりしたら要はどうした?」
「奪う」
俺の即答に侑大はちょっと驚いた顔で俺を見る。
それからすごく幸せそうに微笑む。
「そんなに俺が好き?」
「大好き」
侑大は満足そうだ。
また俺の肩に頭をのせて、俺の手を取って指を伸ばしたり曲げたり軽く引っ張ったりして遊んでいる。
本当に可愛い。
「俺も要が大好き」
「うん」
「知ってた?」
「知ってた」
突然侑大が笑い出す。
「あー、俺すごい幸せ者」
「侑大より俺のほうが上だよ」
「どうだろうな?」
目尻に涙をためて侑大が笑う。
本当に幸せそうに笑うから俺も嬉しくなる。
「流れ星見たいけど無理かな」
「なんで? 要、願い事あんの?」
俺がぽつりと言うと侑大が聞いてくる。
侑大の髪を撫でながら答える。
「ある」
「何? 教えて」
興味津々な様子。
そりゃそうだよな。
「願い事は人に言っちゃいけないんだって」
「いいじゃん、知りたい」
俺に寄りかかって聞いてくる。
可愛い。
「…俺の願い事、叶えてくれるなら教える」
「俺にできる事?」
「うん」
というか侑大にしかできない事なんだけど。
「何?」
「侑大がずっと俺の隣で笑顔でいますよーにって」
「………」
侑大のちょっと間の抜けた顔。
これも可愛い。
それからふにゃっと笑う。
これはもっと可愛い。
「そんなの、願わなくたって叶ってるじゃん」
「うん。でも願ったらもっと可愛い笑顔見られるかもしんないじゃん」
「要ってほんとに俺が大好きだな」
「うん、大好き」
「俺も要が大好き」
暗がりの中でそっとキスを交わした。
シャワーを浴び終えた侑大が窓から月を見上げながら俺を呼ぶ。
「あ、ほんとだ」
侑大と同じように窓から空を見上げると、雲ひとつない夜空にまんまるな月が浮かんでいる。
「ベランダで見たい」
「落ちんなよ」
「落ちねえよ」
そう言って侑大が俺の部屋からベランダに出る。
俺はお茶のペットボトルを冷蔵庫から二本取って侑大の後に続く。
「はい」
ペットボトルを一本、侑大に渡す。
侑大はちょっと不満そうだ。
「お茶? 酒がいい」
「侑大、最近酒好きだよな。すぐぐだぐだになるのに」
「だって酔ってたら要に素直に甘えられるじゃん」
「え、何それ。そんな可愛い理由なの?」
「さあ? どうだろうな」
侑大は意味深に微笑む。
相変わらず可愛い。
侑大はどんな時でも素直に甘えているのかと思ったけど、侑大自身からしたら素直になれていない時もあるのか。
初めて知った。
「椅子持ってくる」
「ちょっと見るだけじゃないの?」
「だってすげー綺麗なんだもん」
侑大が椅子を二つ持ってきてぴったりくっつけてベランダに並べる。
「近くない?」
「近いの嫌?」
「嬉しい」
「じゃあいいじゃん」
侑大は隣に座る俺の肩に頭をのせ、指を絡める。
なんだかこういうのすごく新鮮。
「なんかさ」
「ん?」
「世界って広いじゃん?」
「うん」
なんの話だろう。
「そんな中で要と出会えたって、すごい奇跡だなって」
「そうだね」
侑大の髪が風で揺れて頬に触れる。
ちょっと擽ったい。
「要と出会えなかったらって思うとすっごい怖い」
「うん、俺も怖いけど、でもどんな形でも俺と侑大は絶対出会えたと思うよ」
「なんで?」
「そんな気がするから」
「そっか…」
侑大が優しく笑う。
俺の大好きな笑顔。
「でも万が一俺に他の誰かがいたりしたら要はどうした?」
「奪う」
俺の即答に侑大はちょっと驚いた顔で俺を見る。
それからすごく幸せそうに微笑む。
「そんなに俺が好き?」
「大好き」
侑大は満足そうだ。
また俺の肩に頭をのせて、俺の手を取って指を伸ばしたり曲げたり軽く引っ張ったりして遊んでいる。
本当に可愛い。
「俺も要が大好き」
「うん」
「知ってた?」
「知ってた」
突然侑大が笑い出す。
「あー、俺すごい幸せ者」
「侑大より俺のほうが上だよ」
「どうだろうな?」
目尻に涙をためて侑大が笑う。
本当に幸せそうに笑うから俺も嬉しくなる。
「流れ星見たいけど無理かな」
「なんで? 要、願い事あんの?」
俺がぽつりと言うと侑大が聞いてくる。
侑大の髪を撫でながら答える。
「ある」
「何? 教えて」
興味津々な様子。
そりゃそうだよな。
「願い事は人に言っちゃいけないんだって」
「いいじゃん、知りたい」
俺に寄りかかって聞いてくる。
可愛い。
「…俺の願い事、叶えてくれるなら教える」
「俺にできる事?」
「うん」
というか侑大にしかできない事なんだけど。
「何?」
「侑大がずっと俺の隣で笑顔でいますよーにって」
「………」
侑大のちょっと間の抜けた顔。
これも可愛い。
それからふにゃっと笑う。
これはもっと可愛い。
「そんなの、願わなくたって叶ってるじゃん」
「うん。でも願ったらもっと可愛い笑顔見られるかもしんないじゃん」
「要ってほんとに俺が大好きだな」
「うん、大好き」
「俺も要が大好き」
暗がりの中でそっとキスを交わした。
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