となりの笑顔

すずかけあおい

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となりの笑顔⑲ *

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 宇野の上からどいた空井は、本棚からボックスティッシュを取ってきた。汚れた手を拭う姿を見ていたら、急に現実感が湧いた。
(空井の手でいっちゃった……)
 射精するところもたぶん見られていただろう。ぼうっとしながら空井を見つめると、空井が微笑した。
「どうした?」
 優しい表情に胸が鳴り、おそるおそる問いかける。
「空井も……気持ちよくなる?」
 ボトムスを押しあげているものに触れて聞くと、空井は悩ましげに眉を寄せた。上気した頬の朱色も欲に濡れた瞳も、見ているだけでぞくぞくする。好きな人のこんな姿を見られることが嬉しい。
「なる。宇野の中で」
「……っ」
 身をかがめた空井が耳もとで囁く。かすれた低い声と吐息が耳殻をくすぐり、耳から快楽を流し込まれる。肌が粟立って、またも欲望が沸き立った。
 開いた両脚のあいだを、空井の手が滑る。上から下へ、下から上へ、何度もなぞられて、達したばかりの昂ぶりが先端をもたげた。
「宇野、うつ伏せになって」
「あ、うん」
 自分で動く前に空井が体勢を変えてくれた。シーツに胸をつけた状態で、腰だけ高く持ちあげられる。自分がどんな恰好をしているか考えるだけで、血液が沸騰するほどの羞恥を覚えた。
「そら……」
「だめなら今言え。進んでから止まれない」
 空井の下腹部の様子を思い出す。たぶん、優しくするのもつらいくらいに興奮している。それでも宇野を気遣ってくれる。胸がいっぱいになって、涙が込みあげた。
「……大丈夫。して」
 覚悟を決めて枕に顔をうずめると、窄まったところを指が撫でた。露わになった部分をなぞった指が、ゆっくりと押し込まれる。
「っ……」
 異物感がすごい。身が強張り、眉が寄る。それでも空井と一緒に気持ちよくなりたいから、深呼吸をして力を抜いた。
 指先が孔を出入りする。ゆっくりとほぐす動きに、どきどきと心音が激しくなっていく。でも、もっと大きいものを受け入れるのだ。想像すると不安と期待が胸に入りまじる。怖い気持ちもあるし、嬉しい気持ちもある。落ちつかなさをごまかそうと、枕をぎゅっと握りしめた。
 指が増え、なじませる動きがさぐるものに変わる。内壁を撫でられると変な感じがする。
「あっ」
 ぱっと目の前が明るくなった。指がひとところをこすると、言いようのない深い感覚が全身に走る。
「痛いか?」
「ちが……そうじゃなくて、なんか……」
 たしかめるように同じところを撫でられ、腰が跳ねる。自分の恥ずかしい反応に頬が熱くなり、枕に顔をうずめた。宇野の反応をたしかめた空井は、過敏な部分を何度も撫でる。軽く押されたら射精感が襲ってきた。粗相をしそうなきわどい感覚までせりあがってきて、慌てて首を横に振る。
「まって、……そこ、だめ」
「だめ?」
 耳に息を吹き込まれ、びくんと顔があがった。耳もとで囁かれて同時に中をいじられると、目の前がまたたく。
「ほんとにだめ?」
「あ……あ」
 だめなのに、本当にだめかわからなくなる。答えない宇野に、指がまた同じところを撫でた。鋭敏に反応する様を見た空井は、瞳の色を濃くした。顔を覗き込まれ、それだけで限界までのぼりそうになる。
「だめならやめる。本当にだめなら言ってくれ」
「う……ぁ」
 耳たぶを食まれた甘い刺激で指を締めつけてしまう。内側にある指の形をしっかりと感じて、羞恥で頬が燃えそうだ。
 ぬるりと指が抜けていき、安堵で力が抜けたのもつかの間、すぐに質量を増して指が再び滑り込んだ。指が増えても痛くない。このあと空井を受け入れるのだと理解すると、どうしようもなく落ちつかない。
「だめ、じゃない……空井、はやくして。僕ばっかりいくの、やだ」
 振り向いて懇願すると、空井は息を詰めた。ぐっと眉を寄せ、なにかをこらえるように唇を引き結んだ。空井のまとう空気に呑まれる。色気と欲情を孕んだ瞳に捕まり、身体の奥が熱くなった。
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