ふたり占め~イケメン双子に溺愛されています~

すずかけあおい

文字の大きさ
22 / 74
#4

#4 ②

◇◆◇◆◇


ようやくテスト期間に入った。
教科書類に向かっている時はいい。
力を抜いた時、寒さを感じる。
寂しくて心が凍えそう。
早くテスト終わって……口の中で呟いて、先生の『始め』の合図で問題用紙を表に反した。

「…奏?」
「!」

名前を呼ばれてはっとすると、流風が俺の顔を覗き込んでいる。

「あ、流風…」
「どうしたの? ぼーっとしてたけど、なにかあった?」
「ううん、…大丈夫」
「熱があるとかじゃないよね?」
「うん…平気」

身体はなんともない。
心がおかしくなりそうなだけ。

「じゃあ帰れる? 藍流ももう来ると思うから」
「ん…」

バッグを持って椅子から立ったところで藍流が来て、三人で教室を出る。
いつもよりずっと早い電車に揺られて矢橋家へ。
ふたりの様子を見ていると、特別変わったところはない。
俺に触れてなくても平気なのかなって思ったら、もっと寂しくなってきた。

三人で昼食にスパゲティとサラダを作って食べる。
藍流と流風が俺の作った卵焼きを食べたいと言うのでそれも作った。
ふたりが甘えてくれるとちょっと寒さが和らぐ。
俺はふたりに求められないとだめになってしまったみたいだ。

昼食後はいつも通り藍流の部屋でテスト勉強。
勉強は嫌いじゃない。
好きか嫌いかって聞かれたら好きって答えると思う。

…でも、今は嫌い。
勉強なんかより藍流と流風に触れられる事が俺には必要。
そうじゃないと心が凍傷を起こしてしまう。

「…藍流、流風」

シャーペンを置いて声をかける。

「なに?」
「どこかわからない?」

流風と藍流は優しく微笑んで俺に聞く。
顔が熱くなってくるけど、そんなの別に構わない。
恥ずかしくたっていい。
寒いのはもう耐えられない。

「………抱いて」
「!!」

縋るように藍流と流風を見つめると、ふたりは目を瞠って言葉を詰まらせる。
テーブルに置かれた手を包むように握ると、ふたりの手がぴくっと少し震えた。

「奏?」
「どうしたの?」

突然の俺の言葉に藍流も流風も焦っているように見える。

俺に触りたくないのかな。
抱きたくないのかな。
…寂しいのは、俺だけ…なのかな。

「…もう、二週間以上キスしかしてない」
「そうだね」
「そういう約束だから」

そう、流風の言う通りそういう約束だ。
俺が『一緒に勉強するだけなら…』って言ったから。
でも。

「…もうやだ」

視界が滲んで、藍流と流風の姿がゆらゆらしてくる。
藍流がゆっくり口を開く。

「でもね、奏…」
「テスト勉強疎かにして藍流と流風の成績が下がっちゃったらって思うとすごく申し訳ないけど、でももう耐えられない!」

徐々に声が大きくなってしまう。
一度溢れてしまったら、もう止まらない。
今度は流風が口を開く。

「俺達の成績なんてどうでもいい。俺達は奏が…」
「俺の成績なんてもっとどうでもいい! 全教科赤点でも全教科1でもいい! そんな事より、俺はふたりに抱かれたい! …もう触ってもらえないのやだ…辛い…」

涙も一緒に零れ出る。

「奏…」

ただのわがままだってわかってる。
でも、もっと自分本位になっていいって言ってくれた。
それでも嫌いにならないって言ってくれたじゃん…わがまま言わせてよ…。

「でも…」

まだ理性を保とうとする声に涙が止まらない。

「……寂しいのは俺だけなの…?」
「……」

ふたりが顔を見合わせる。
なにかがプチッと切れた。

「もういい!!」

俺が自分のベルトに手をかけてスラックスのホックを外すと藍流と流風がまた目を瞠る。

「ふたりは勉強してれば!?」
「「えっ!?」」
「俺、自分でするから!!」
「「!?!?」」


感想 0

あなたにおすすめの小説

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

寝てる間に××されてる!?

しづ未
BL
どこでも寝てしまう男子高校生が寝てる間に色々な被害に遭う話です。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

男子寮のベットの軋む音

なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。 そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。 ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。 女子禁制の禁断の場所。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
 漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。  漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。  陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。  漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。  漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。  養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。  陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。  漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。  仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。  沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。  日本の漁師の多くがこの形態なのだ。  沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。  遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。  内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。  漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。  出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。  休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。  個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。  漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。  専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。  資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。  漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。  食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。  地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。  この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。  もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。  翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。  この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

元カレに追い出された専門学生がネカフェでP活相手のパパちんぽに理解らせられてトロトロのメロメロになっちゃう話

ルシーアンナ
BL
既婚子持ちバイ×専門学生 Pixiv https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=27436158 ムーンライトノベルズ https://novel18.syosetu.com/n1512ls/ fujossy https://fujossy.jp/books/31185