ふたり占め~イケメン双子に溺愛されています~

すずかけあおい

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【番外編⑤】Happy Christmas(終)

【番外編】Happy Christmas ⑨

 エコバッグは流風が持ってくれて、空いた手をつないで帰宅した。
「おかえり」
「ただいま。起きてたの?」
 玄関には藍流がいて、流風からエコバッグを受け取った。
「さっき起きたよ。そろそろ帰ってくるかと思ったんだ」
 着替えてしっかり活動モードになり、キッチンに荷物を運んでくれた。奏も藍流についていき、流風はそのうしろを歩いて、かるがもの行進みたいでおかしかった。
「夕方になったらチキンとケーキの受け取りにいってくるよ」
「ありがとう」
「藍流が出かけるまでのんびりしようか。奏、なにかやりたいことある?」
 突然言われてもこれといって浮かばない。クリスマスになるまでは、あれもしたい、これもしたい、と山ほどやりたいことがあったはずなのに、いざ当日になると三人でのんびりできればなんでもいい、という気持ちになった。
「せっかくだからクリスマス映画でも観ようか?」
 奏が悩んで首をひねっていたら流風が提案をしてくれた。藍流と奏がそれに乗ると、流風は配信映画を検索する。
「なにがいいかな」
 藍流も流風と一緒に選んでいるので、奏は温かい紅茶を用意した。こういうことはふたりに任せたほうがいい。ふたりが選ぶと奏よりずうっといいものを選ぶからだ。真剣に選んでいるふたりに微笑ましくなりながら、紅茶にミルクを入れた。
「奏、決まったよ」
「今行く」
 ミルクティーの入った三つのマグカップをトレーにのせて、ソファの前のローテーブルに運ぶ。藍流と流風のあいだの真ん中部分を開けてくれているので、奏はその場所に座った。奏が定位置についたのを確認して、映画が再生される。
 映画は恋人同士の別離のシーンからはじまった。引き留める女性を置いて、男性が旅立っていく。
 もしもあのとき違う選択をしていたら、という内容で、ストーリーを追いながら深く考えさせられる。
 幸せの形、その相違。
 奏は藍流と流風のそばにいることを幸せだと思うし、他のなによりもふたりを選ぶ。でももし幸せの形を勘違いしていたら、違う道を選んでしまうのだろうか。
「『持っている』ってどういうことなんだろうね」
 映画のエンドロールが流れ、奏はぽつりと呟いていた。自分が持っているつもりでも持っていないかもしれない。持っていないつもりで持っているかもしれない。とても難しい。
「……幸せってなんだろう」
 冷めた紅茶をひと口飲んで、カップをローテーブルに戻す。小さく息をついてソファの背にもたれると、藍流と流風が両側から抱きしめてくれた。ふたりの穏やかな表情は、奏の心を包んでくれる。
「俺と流風の幸せがなんだかわかる?」
 問いかけにこくんと頷く奏に、いい子と言うように流風が頭を撫でてくれた。
「俺も藍流も、奏の存在が幸せだよ」
 わかっていても、言いきってもらえるとほっとする。
「俺の幸せも、藍流と流風だよ」
 ふたりの手を握り、ぎゅっと力を込める。他の人はわからないけれど、藍流と流風と奏の幸せが同じ形をしていたらそれでいい。同じ形をしていなくても、ジグソーパズルみたいにきちんとはまればいい。
「身を引き締めなくちゃ」
 奏が気合いを入れているのに、藍流も流風も噴き出して笑った。ひどい。


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