恋した涙

すずかけあおい

文字の大きさ
4 / 5

恋した涙④

しおりを挟む
「優歩」
「はい」

 香月の部屋で正座をする。大事な話があると言われ、つき合って一か月にしてふられるのかと心臓が嫌な動きをする。なにが原因だろうと考えてもまったくわからない。とてもいい関係を築けていると優歩は思っていたのに。


「……俺、なにかしちゃった? 別れないといけないの?」

 泣いてしまいそうで、でも涙を堪えて言うと香月がきょとんとする。

「別れるなんて誰が言った?」
「だって大事な話って……」

 恋人同士の大事な話といったらそれしか思いつかない。

「大事な話は、優歩を抱きたいって話なんだけど」
「えっ」
「だめ?」
「えっ……えっ」
「だめ?」

 そういう悲しげな表情は卑怯だと言いたいのに言えない。だってどんな表情をしていても恰好いいし大好きだから。

「だめ?」

 三度目の問いに少し俯く。嫌ではないけれど、がっかりされたらどうしようと不安になる優歩を香月がじっと見ている。

「嫌ならそう言って。まだ『待て』が効く」
「……嫌じゃない、けど、わっ」

 いきなり押し倒されて慌てる。

「待って。人の話は最後まで聞いて!」
「もう待てない」
「今なら『待て』が効くって言ったじゃない」
「もう効かない」

 唇が重なり、深い口づけにとろんとしてしまう。香月の背に腕をまわしてぎゅっとしがみつく。

「優歩……」

 心底愛おしそうに名前を呼ばれ、胸がきゅっと甘く締めつけられた。制服を乱されて慌ててストップをかける。

「もう待てないって言った」
「そうじゃなくて……ベッドで」

 はっとしたような香月が頬を染めて身体を離す。少しほっとしたら額を指で押された。

「ほっとした顔するなよ」
「だって……するならベッドがいいし」
「それはそうだよな。悪い」

 ひょいと抱き上げられてベッドに寝かされる。香月を見あげる体勢になり、どきどきと心臓が暴れる。もう一回唇が重なり、舌が絡まるキスが気持ちよくて夢中になってしまう。乱れたシャツの隙間から大きな手が滑り込み、肌を撫でていく。

「んあっ」

 指先が胸の突起をかすめて変な声が出てしまう。慌てて手で口を押さえるけれど、香月の瞳には情欲が灯っていた。噛みつくようにキスをされ、吐息の熱さにくらくらする。舌先を軽く吸われてぞくりと快感が奥から湧きあがった。自分の身体が知らないもののように、香月から与えられる刺激に敏感に反応する。

「恥ずかしいよ、香月……」
「可愛いから大丈夫」
「全然大丈夫じゃない……あっ」

 両胸の突起を指できゅっとつままれてまた変な声が出た。口を押さえて首を振るけれど香月は無視して片方の突起を口に含み、反対側を指でこねる。じんじんと熱が燻るようなもどかしい感覚に身体をよじっても些細な抵抗など気にしないというように執拗に突起をねぶられる。

「あ……や、だめ……」
「だめ?」
「なんか、……変だから」

 胸から顔をあげた香月が優歩の顔を覗き込む。あまり顔を見ないで欲しくて手で隠すけれど簡単にはずされてしまった。まっすぐな瞳が優歩を見ている。

「気持ちよくない?」
「……」
「……気持ち悪い?」
「……ううん」

 首を振って否定する。気持ち悪くない。気持ちいいけれど、自分が恥ずかしいのだ。こんなに恥ずかしい声を出す自分は知らないし、腰が重くなっていくような快感も知らない。じわじわと快感に侵食されていくようで、そのすべてがはしたなく感じる。

「やめたほうがいい?」

 香月の下腹部が押し当てられ、そこがすでに硬くなっていることがわかる。

「……やめないで」

 優歩自身、身体が熱くなっていてここで終わられたら苦しい。昂ぶったものは下着を押しあげて存在を示している。そこに香月のものが擦りつけられると下着越しでも気持ちいい。

「じゃあやめない」
「んっ……」

 芯をもって尖った胸の飾りにまた吸いつかれ腰が震えた。もどかしかった快感がたしかな刺激となって肌を火照らせる。尖りを舌で転がしながら手が下腹部に移動して下着を取り去る。すでに濡れた先端を手のひらで包み込まれると、身体が与えられる快感に従順に反応した。
 ぬるりと手が上下に滑るたびに眼前が明滅する。声にならない声をあげてあっという間に達してしまった。

「はっ……あ、ぁ……」
「気持ちよかった?」

 こくんと素直に頷くと嬉しそうに微笑む香月はいつもと同じ香月なのに違う。

「俺もする……」

 香月の昂ぶりに手を伸ばしたらよけられた。

「それより続きしていい?」
「……うん」

 香月の濡れた手が奥まったところに触れる。思ったより簡単に指が入り込み、驚いてしまう。円を描くように指が動き、窄まりをほぐされていく。そんなところに本当に入るのだろうか、と心配になってしまうけれど、香月が指を増やしたのでほぐれてきてはいるようだ。指が奥に進み、内壁を撫でる。中を探るように動いていた指先がなにかに触れた。ぞくりとして思わず香月の名を呼ぶ。

「痛い?」
「ちが……なんか変な感じがする」
「そう……」

 変な感じがすると言っているのに同じところを繰り返し撫でられる。ぞくぞくする感覚は気持ちいいとは違うけれど不快ではない。知らない感覚は徐々に大きくなっていく。

「あ、あ……なんか、変、変だから……」
「うん」
「待って……あっ」

 もどかしい感覚は言いようのない快感へと姿を変え、全身が大きく跳ねた。びくびくと震えながらシーツを乱す姿を香月が見ている。恥ずかしいのに腰は揺れて昂ぶりは滴を零す。香月の指がそこを撫でるたびに痺れるような鋭い快感に貫かれる。

「……ごめん、優歩。もう我慢できない」
「あっ……」

 指が抜かれ、綻んだ後孔に昂ぶりが押し当てられた。どこか性急に入ってきた熱の塊を受け止める。

「優歩、大丈夫?」
「うん、大丈夫……だけど」
「だけど?」
「手、握ってて」

 手を差し出すと香月は目を見開き、微笑んでからその手を握ってくれた。それだけでほっとして自分から口づけると、香月は頬を染めてキスを返してくれる。

「優歩、可愛い」
「あんまり見ないで……」

 香月はいつもまっすぐ優歩を見つめる。普段から恥ずかしいのに、こういうときだともっと恥ずかしくなってしまう。

「真っ赤」
「香月のせい」
「そうだね」

 ゆっくりと香月が動き始める。香月とひとつになっている実感が不思議で、夢ではないかと思ってしまう。でも優歩を呑み込もうと押し寄せる快感はたしかに現実だ。

「どうしたの、優歩」
「え……?」
「泣きそうな顔してる」

 頬を舐められ、目を閉じると唇が重なった。あまりに幸せで本当に泣きたくなってくる。香月が握ってくれている手に力をこめて微笑んで見せる。

「幸せだから」
「優歩……」

 香月の瞳が潤み、映る優歩が揺れている。なんて綺麗な表情なのだろうと見入ってしまう。

「優歩、ありがとう」
「なにが?」
「俺を受け入れてくれたこと。俺のほうが何万倍も幸せだよ」

 再び律動を刻み始めた香月によって快感の鉱脈が探り当てられ、背が仰け反る。

「あっ、あ……だめ、そこだめ……っ」
「ここ?」
「っ……あ、あう、あ……」

 香月の手をきつく握りしめ、迸る欲情に駆られて腰を揺らす。昂ぶりが今にも弾けそうでぞくぞくと背筋に快感が滑りあがる。

「もういきそう……香月……っ」
「うん。俺も」

 速まる動きに目の前が点滅する。快感を生むところを穿たれ、喉を露わにして白濁を放った。小さな呻きとともに香月が身を震わせて昂ぶりが脈打つ。どうしようもなく満たされすぎて茫然としてしまう。どちらからでもなく唇を重ね、喘ぐように吐息を漏らした。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【R18+BL】甘い鎖~アイツの愛という名の鎖に、縛られ続けたオレは……~

hosimure
BL
オレの1つ年上の幼馴染は、強いカリスマを持つ。 同性でありながら、アイツは強くオレを愛する。 けれど同じ男として、オレは暗い感情をアイツに持ち続けていた。 だがそれと同時にオレ自身もアイツへの気持ちがあり、そのはざまで揺れ続けていた。 ★BL小説&R18です。

キミとキスの練習がしたい 〜親友から迫られる俺の話〜

キトー
BL
  幼馴染で親友の卓が「キスの練習をしよう」と言い出した。 なんだかんだで流されながらどんどん行為はエスカレートして……。 気分転換に勢いに任せて書いた文章です(笑) ギャグだと思ってお読み下さい。 5話で完結です。 ※ほぼ全てにキスまたはそれ以上の描写が含まれています。ネタバレを避ける為注意表記はいたしませんのでご了承下さい。 ※ムーンライトノベルズにも投稿しています。

永久糖度

すずかけあおい
BL
幼い頃、幼馴染の叶はままごとが好きだった。パパはもちろん叶でママはなぜか恵吾。恵吾のことが大好きな叶の気持ちは、高校二年になった今でも変わっていない。でも、これでいいのか。 〔攻め〕長沼 叶 〔受け〕岸井 恵吾 外部サイトでも同作品を投稿しています。

ヤンデレ執着系イケメンのターゲットな訳ですが

街の頑張り屋さん
BL
執着系イケメンのターゲットな僕がなんとか逃げようとするも逃げられない そんなお話です

観賞用イケメン。

すずかけあおい
BL
武登(攻め)は観賞用イケメンで、近寄ってはいけないイケメンだった。 雅貴(受け)は武登に飼われる事に耐えられず、別れを告げるけれど…? ※受けと女性の絡みのようなものがあります。 外部サイトでも同作品を投稿しています。

男の娘と暮らす

守 秀斗
BL
ある日、会社から帰ると男の娘がアパートの前に寝てた。そして、そのまま、一緒に暮らすことになってしまう。でも、俺はその趣味はないし、あっても関係ないんだよなあ。

愛おしい、君との週末配信☆。.:*・゜

立坂雪花
BL
羽月優心(はづきゆうしん)が ビーズで妹のヘアゴムを作っていた時 いつの間にかクラスメイトたちの 配信する動画に映りこんでいて 「誰このエンジェル?」と周りで 話題になっていた。 そして優心は 一方的に嫌っている 永瀬翔(ながせかける)を 含むグループとなぜか一緒に 動画配信をすることに。 ✩.*˚ 「だって、ほんの一瞬映っただけなのに優心様のことが話題になったんだぜ」 「そうそう、それに今年中に『チャンネル登録一万いかないと解散します』ってこないだ勢いで言っちゃったし……だからお願いします!」  そんな事情は僕には関係ないし、知らない。なんて思っていたのに――。 見た目エンジェル 強気受け 羽月優心(はづきゆうしん) 高校二年生。見た目ふわふわエンジェルでとても可愛らしい。だけど口が悪い。溺愛している妹たちに対しては信じられないほどに優しい。手芸大好き。大好きな妹たちの推しが永瀬なので、嫉妬して永瀬のことを嫌いだと思っていた。だけどやがて――。 × イケメンスパダリ地方アイドル 溺愛攻め 永瀬翔(ながせかける) 優心のクラスメイト。地方在住しながらモデルや俳優、動画配信もしている完璧イケメン。優心に想いをひっそり寄せている。優心と一緒にいる時間が好き。前向きな言動多いけれど実は内気な一面も。 恋をして、ありがとうが溢れてくるお話です🌸 *** お読みくださりありがとうございます 可愛い両片思いのお話です✨ 表紙イラストは ミカスケさまのフリーイラストを お借りいたしました ✨更新追ってくださりありがとうございました クリスマス完結間に合いました🎅🎄

平凡な僕が優しい彼氏と別れる方法

あと
BL
「よし!別れよう!」 元遊び人の現爽やか風受けには激重執着男×ちょっとネガティブな鈍感天然アホの子 昔チャラかった癖に手を出してくれない攻めに憤った受けが、もしかしたら他に好きな人がいる!?と思い込み、別れようとする……?みたいな話です。 攻めの女性関係匂わせや攻めフェラがあり、苦手な人はブラウザバックで。    ……これはメンヘラなのではないか?という説もあります。 pixivでも投稿しています。 攻め:九條隼人 受け:田辺光希 友人:石川優希 ひよったら消します。 誤字脱字はサイレント修正します。 また、内容もサイレント修正する時もあります。 定期的にタグ整理します。ご了承ください。 批判・中傷コメントはお控えください。 見つけ次第削除いたします。

処理中です...