不器用な吸血鬼と対価の奴隷〜私を……好きにしてください〜

とりうま

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カーミラ日記

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私はいつものように夜の空を散歩していました。
その時、吸血鬼である私の耳は誰かの助けを求める声を聞いたのです。
気になった私はそこまで飛んで行きました。

飛んで行った先で見たのは二人の人間……いえ、一人の人間と一つの人間の死体でした。
女の方が男の死体にすがって泣いていました。
何が起こったのか気になったので女の人間に聞いてみました。

気がついていなかったのか、少しびっくりしたように反応されてしまいました。
まあどうでもいいのですが。
私たち吸血鬼にとって人間などそこらのゴミなみですから。
まあ、まれに血が美味しい個体がいるらしいです。
一度でもいいのでその血を飲んでみたいですね。

人間によるとその人間の弟が馬車にひき逃げされて死んだようです。
なんで馬車なんかに轢かれて死ぬのでしょうか?
私たちにとっては布団が突っ込んでくるぐらいの衝撃しかありませんのに。
さすが、最弱種族といったところでしょうか。

おや?人間が何やら言ってますね。
弟の命を助けてほしいと。
吸血鬼を舐めてるんですか?
いいでしょう。覚悟のほどを聞きましょうか。
そして私は聞きました。「仮に、私があなたの弟を助けたとして、あなたの対価は何?」
人間の答えは分からない。
なんとも面白くない答えでした。
たった一人の家族の弟のためにどこまでできるのか知りたかったのだけれどその程度なのかしら。
でも人間に弟は助けないのかと聞くとそうではないと。
「いいえ、助けます。ですが、弟の未来に釣り合うのは私の未来。私は……私自身を対価に差し出します。」
こういった。
正直私は驚いた。
私自身を差し出すということは、あなたの奴隷になると言っているようなものだ。
人間に確かめるように聞いてもそうだと言う。
見上げた勇気だ。
だから助けることにした。
でも命を助けるというのは私たち吸血鬼でもそう簡単にできるものではない。
私たち吸血鬼は血を使って《奇跡》を起こしている。
蘇生するには全体の血の半分近くを使わなければならない。
吸血鬼は全体の血が30%を切ると死んでしまう。
つまり、それほど大きなことなのだ。
さらに蘇生するには何かがいる。
私は女に例えとして蘇生する人間から、女の人間の記憶がなくなるということを説明した。
女は迷っていたが、それは一瞬のこと。
痛々しそうな、何かを我慢するような表情をしながらも、それでも弟の命に変わればと、了承していた。

取引の内容をまとめて、確認すると女は嬉しそうにお礼を言った。
弟を蘇生させると、女は目から涙を流して喜んでいた。
そのまま私のものだと告げても、女は不安そうな顔はするも、私を怖がっている様子はなかった。
よくわからない新しい奴隷を連れ私は家に戻った。

すでに血の回復に役立つ女の血が吸いたくてたまらなかったが、服従の首輪をつけていないためこのままでは吸いすぎて殺させてしまうので我慢をした。

服従の首輪とは、相手を奴隷化させるために使うものだ。
奴隷化させる相手に首輪をつけ、主人となるものが触りながら奴隷化を望むことで、首に$を横向きにしたようなものが一周分首に連なって刺青のようにある。
服従の首輪を使うことで主人の命令は必ず付けられた奴隷は聞かなければならないし、その奴隷が命の危機になるとアラームがなって教えてくれるのだ。

そのまま自分の寝室に血を吸うために案内しベットの方に行けというが、なかなか進まない。
奴隷によると暗くてどこにベットがあるかわからないだそうだ。
そういえば人間は暗いと見えないというのを聞いたことがある。
私はすぐさま奴隷に暗視を付与した。
血は全体の2%ほど使った。
ベットに向かった奴隷を見届け、倉庫まで服従の首輪を取りに行き、奴隷の首につけ主人登録をした。
吸血衝動を抑えるのにも限界だったので今から血を吸うといい奴隷を押し倒し、血を吸おうと奴隷の首に顔を近づけます。
しかし奴隷は自分は汚いからと言い始めたので、言い終わらないうちに洗浄を使った。
血は全体の1%ほど使った。
すると奴隷の体から豊満な美味しそうな血の匂いがし始めたのだ。
余計に強化された吸血衝動に求めるように首に噛み付こうとするも奴隷の服が邪魔をしてきたので破った。

そのまま美味しそうな匂いにつられるかのように奴隷の首に噛み付いた。
奴隷が痛いと言っているので我慢するように言うと奴隷は笑顔で「いっぱい吸ってください。」といった。
その言葉で、吸血衝動を抑えていた理性がぷちっときれ、本能吸血衝動に負け、血を吸い始めた。
甘く美味しい血に私は無我夢中でむさぼりつきました。
頭にうるさいアラームがなり、ようやく理性が本能を押しのけ、血を吸うことをやめました。
奴隷は何かに酔ったかのように頬を赤く染めそれでいてどこか寂しそうな表情をしていた。
どうしたのかと思っていると、奴隷から名前を聞かれた。
奴隷は無自覚で言ってしまったのかしまったと思い顔を青く染めていた。
それに笑ってしまいながら私はカーミラと答えた。
ついでとばかりに奴隷の名前を聞くと、笑顔でソフィといってきた。


ソフィはよくわからないなと思った。

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