不器用な吸血鬼と対価の奴隷〜私を……好きにしてください〜

とりうま

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初めての吸血

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私は、奴隷としてご主人様が住んでいる地下街につながる階段へ足を踏み入れました。
そのまま降りてきた階段から100mほどのところに吸血鬼様のお屋敷はありました。
とても大きくびっくりしてしまいました。

ちなみに地下のお屋敷はドアの分しか掘られていらず、なぜドアだけと疑問に思いながら、ドアの先に行ってしまった吸血鬼様を追いかけると、そこは別世界でした。大きな空間に出たのです。
とは言っても暗くてうっすらと輪郭しかわかりませんでしたが、そこには確かにおっきなお屋敷があったのです。

そのままお屋敷の中に入りご主人様にご主人様の寝室前に案内され待ってるよう言われました。そのまま見えない家具を倒さないようにドアの前で待機しているとーー
「人間、ベットの方に行きなさい。」
そう命令されましたが、部屋の中は全くと言って見えないので動けません。
「あの、すみませんご主人様。ベットがどこにあるか暗くて見えません。」
「え?……ああ、人間はそうだったわね。ちょうどいいからあなたも暗くても見れるようにするわ。【暗視付与】」
思い出したように言われ、訳も分からないうちに気がつくと昼間のように見れるようになってました。
やはりご主人様はすごいです。
見えるようになった私はベットの近くで待機します。
「あなたにはこれをつけてもらうわ。」
そう言いながら近づいてきた吸血鬼様のご尊顔を見てしまいました。
透けそうなほど白い肌。全てを切り裂くような赤眼。キラキラと輝きだしそうな金髪。さらに外見は17歳くらいで私と同い年みたいです。身長は私より頭一個分以上違います。私が小さすぎるんでしょう。
これ以上にない美少女です。


人間以外の種族は15歳の頃から外見が実年齢より幼くなります。
特に吸血鬼は実年齢と外見の差異が大きく、20歳に見えても258歳とかいるらしいです。


吸血鬼様が私の首に首輪のようなものを巻きつけました。
それは私に巻きついた瞬間少し光ったと思うとなくなった代わりに首に何やら$を横にしたものがなんども連なって一周分ついていました。色は黒っぽいです。
「これでいいわね。」
これはなんのかと疑問に思いながらさすがに一奴隷が聞けるわけもなく、黙って次の命令を待ちます。
「それじゃあ、血をもらうわね。」
そういったご主人様は私をベットに押し倒して首に顔を近づけてきました。
「きゃあ。」
びっくりして悲鳴をあげてしまいます。
「あ、あのご主人様。私は何日も体を清めてないので汚いとおもーー「じゃあ、きれいにするわ。【洗浄】」
言葉の途中で薄くひかりきれいになった身体。
さっきから驚いてばかりです。
なぜだか、ご主人様も驚いています。
「服が邪魔ね。」
目を丸くしていると、ご主人様は私の服を破りました。
ついに吸われるのかと思い覚悟を決めてご主人様見つめます。

ご主人様の吐息が首にかかったと思ったら鋭く尖った吸血鬼の牙が私の皮膚に当たりーー
「あっ……ぃたい。」
ぷちっと肉を貫きました。
自分を貫く鋭い痛みに思わず声を上げてしまいました。
「我慢して。あなたに付与したり生き返らせたりで血が足りないの。」
そう言われると何故か私は全てを差し出したくなりました。
「いっぱい吸ってください。」
それに答えるようにご主人様は勢い良く血を吸い始めました。
「ぁ、あぁ……んん……はぁ……。」
身体から何かが失われていく。その感覚に私は酔ってしまったような感覚になりました。
私は嬉しかったのです。
「はぁん……ぁぁ……ぅん……。」
今まで人間以外の種族に私たち人間は役に立てないものだと考えていました。
けれどもいま、一番強い吸血鬼様の役に立っている。
求められている。
それがご主人様の奴隷となった私の喜びなのです。
「ありがとう。もう要らないわ。【治療】。」
牙と私を押し倒していたご主人様が私から離れ、吸血跡を治してくれました。
 やっと終わったと思うべきなんでしょうが、私は寂しかった。
「あの、ご主人様のお名前って何ですか?」
寂しさゆえにご主人様のなにかをしりたいと思い名前を聞いてしまいました。
しまったと思うもすでに時遅し。
もう言葉にして言ってしまったあとです。
「私の名前はカーミラよ。」
老若男女誰もが見惚れる素晴らしい笑顔で答えてくださいました。
「あなたの名前は何かしら?」
その笑顔のまま私ごとの名をわざわざ聞いてくださいます。
嬉しくなって笑顔のまま私はーー
「ソフィです。」
と言いました。
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