シャドウ+ワールド! -What a beautiful COLOR World!-

‪†‬らみえる‪†‬

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第1章 Ans.天空学園都市NOAH:日常編

→03_step!_SHADOW_EDIT.「アフタヌーン・カオス・グラデーション!」

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「やったああああーーー!!!!!」


 シドの収まりきれない感情が自身の部屋を越え、マンションの一室を響かせる。それはあまりにも唐突だった。


「シド!どうしたの?!っとと!うわぁッ!!」


 ラトが驚いた様子で勢い良くドアを開けてズッコケる。ラトはその勢い余って棚にぶつかり、本が滝のように襲いかかる。それもまた、唐突だった。


「ラト姉!?大丈夫!?」


 シドは本を避けラトを起こし心配する。あまりにも大量の本と、その中に含まれる図鑑などの分厚い本が雪崩た為だ。


「ははは☆……全然大丈夫……。あ!そんな事よりシド!さっきすっごい大きい声が聞こえたけど、どうしたの?!もしかして……昨日の事……? ……ごめんね、姉として私が守らないと行けないのに……」
「……ラト姉は悪くないよ。僕がいけない……って違くて!やっと僕に能力が発現したんだよ!!ほら!!」


 シドはラトのあまりの過保護さに思わず、先程の状況を彷彿とさせる変なベクトルのノリツッコミ?をさせられるが、影を出して状況の説明をする。

 ……それは自慢の意味も含まれる。自分の感性にビッタリ嵌った能力を自慢する為の。


「すごいでしょ!!この本だって、この能力を使えばすぐにまとめて本棚に……あれ、すり抜けた」


 シドの能力とは『磁性流体に黒く泥の様なモノを持つ影を自在に操る』というものだった。
 ラトが泣いて喜ぶ中、シドは試しているうちに違和感に気づくが、『絶望』という現実から目を逸らそうとする。


「ん? あ、あれ?おっかしーなー? 最強の能力の筈なのになー?」


 ──シドよ、目を逸らすな。現実を見ろ。
 シドの能力。それは『攻撃力皆無』を意味していた。
 ということはシドが想像していた影を操り、相手の死角から攻撃したり、影と影の間をワープしたりする等の厨二の妄想は全て水の泡となった訳だ。

 現実を思わず直視してしまい、シドは再び絶望する。先程までの大きな期待を裏切られたという苦痛の大きさと、あっても無くても意味が無い、ただ見た目だけは一丁前の能力に。

 ラトはそれを慰め、同時に共に泣く。嬉々として念願の能力の獲得という奇跡を掴み取った可愛い可愛い我が弟が一転、突然発狂したために。

 今現在この部屋を一言で言い表すのならカオスの一言だろう。
 だがその空気を切り裂くように玄関の方からドアの音と共に、「ただいま」と声がした。恐らくベルだろう。絶望しているシドに代わり、ラトにしては小さな声で「おかえりぃ」と返す。
 明らかにいつものラトの返事より元気が無い違和感に気付いたベルは、返事が聞こえた方へ向かう。


「なぜ、シドの部屋……?」


 そしてついにベルはドアに手をかける。
 そこでベル・ホワイトが見たものとは!?


「なんだ……これは……」


 部屋は荒れに荒れ、強盗が来たのではないかと一瞬疑う程、本などが乱雑した部屋。目に光が無く死体のようにピクリとも動かないシドと、その影から蠢いている正体不明の物体X。シドを励ましながら、なぜ泣いているのか本当にわからないちょっとボロボロのラト。それらはまさにカオスそのものだった。

 涙を浮かべるラトはベルにヘルプを送る。


「べ、ベルぅ……!」


 ◇


「そうか、なるほど……!! これは興味深い。これがシドのPSYサイキックか。素晴らしいじゃないか!」


 先程と微塵も変わらないテンションのシドを横目に、ベルは情よりも目前の好奇心が勝る。研究者の本能、と言ったところか。彼女は子供の様に慌ててメモを取り出し、冷静に影についての研究を始める。


「……あ!ちょっと!ベルってば!」


 この状態になったが最後、驚異的な集中力で行われる研究は自分の満足が行くまで続く。のだが、今回は意外とあっさり終わった。──とは言っても1時間くらいだが。


「シド、明日……何か予定はあるかい?」
「──午前中に、補習……」


 ベルの問いかけにシドは小さく口を動かし答える。


「そうか、ならば明日の夕方、ワタシの研究室に来てくれ。この能力にはまだ可能性が有りそうだ」
「…………え!ホントに!?」


 先程のローテンションはどこへやら、分かりやすく目を光らせ反応を示すシドと、弟の突然の復活に喜ぶラト。ベルはそんな2人の感情の変わり具合と勢いに若干押される。


「はは…………だがまあ、あくまでも”可能性”だが……期待はしていい」


 ベルは内心で「可愛いな」と自分の子供達に少し萌えつつ約束を交わした。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 次の日の夕方、12月27日。
 今日のシドは気分が良かった。
 今日から冬休みという事に加え、去年は補習に来ていたはずのいつもの不良達は、昨日の一件で恐れ慄いたのか、学校には来ていない様だった。そしてもう一つの理由は──。


ぼっくの能力♪ なんだろな~♪」


 ベルとの約束の日だからだ。一人でシドはまるで昨日の事を忘れたかの様にスキップ混じりに急いで研究室に向かう。ラトも一緒に来る予定だったが、急遽、NOAH生徒会の仕事が入ってしまったのが一人の理由だ。


「……え~と、ベル~……──あそっか、ベル・ホワイト教授はいますかー?」


 ベルは家と学校では雰囲気が大きく異なる。その為緊張が混じる、中学2年生の全くなってない挨拶。


「……ああ、入ってきてくれたまえ!」


 ベル及びベル・ホワイト教授の許諾を得たため、シドはドアを開け研究室の中へと入る。


「失礼しまーす……ってあれ?誰?」


 シドがドアを開けた先にはベルともう一人、ラトよりも少し年上っぽい謎の少年が見た事のないゲームをしていた。


「お、シドじゃないか!よく来てくれたな!……だが、ちょっと……待ってくれないか?今もう少しで……あっ」


 謎の少年が操るキャラクターの猛攻をガードでギリギリで凌いでいたベルだったが、シドに気を取られたその瞬間、ベルのHPゲージがゼロになり、『2P Win』という文字が浮かぶ。


「よっしゃあああああああ!!!ぶっきらあああ!!!……フッwおわったぜww余所見してるからだ!紅纏イシ闇ノ翼クレイヴァー!壱層!弐層!参層!」
「………………チッ」


 謎の少年の格ゲー声真似煽りに舌打ちをするベルの珍しい一面にシドと少年は若干、冷や汗を流す。


「……さて、待たせてすまなかったね、シド」


 シドにやっと自分のターンが回ってきたと分かると同時に、先程までの数十個にわたる疑問が再度脳内を埋め尽くす。


「あー……え、ええっと……どこからツッコめばいい?」
「ああ!このワタシのコレクションのことかい?技術革新により最近のゲームはVRMMOが主流だが、それはあまりに多すぎるとワタシは思うんだ。それは一時期のオープンワールドの様にね、そしてVRの流行りは格闘ゲームにまで輸入されてしまう始末だ。ワタシはそれが許せない、誠に遺憾だ。やはりゲームは三人称視点のディスプレイゲームに限るよ。特に格闘ゲームは最高だ!このゲームはワタシの思い出の格闘ゲームでね良く小さい頃遊んだんだ。ゲームスピードとかボーカル付きのロックなBGM、さらにファンタジーとSFが混ざった世界観設定とかこの時代の最先端のほぼアニメみたいなCG──」
「ちょっ、絶対!そこじゃない気がするけど!?」


 非常に早口で明らかに優先度の低い話題をピックアップするベルに対して、シドは「いやどこからツッコめばいい?とは言ったけど……」とベルの熱弁を遮りツッコむ。


「そうじゃなくて!キミは誰!?」
「ああ、なんだ……そっちか……この少年は先程、ワタシの研究室の前で倒れていたところを介抱してね。倒れていた理由などを聞いていたら彼、実に面白くてね!つい意気投合してしまい、今に至る。という訳でホシオカ、シドに自己紹介をしてくれないか?」


 ベルは残念そうに言った後に、正体不明の少年に自己紹介を促す。


「あいよー!オレの名前は星丘龍樹ホシオカリュウジュ!2012年から来た普通の高校生!ctrl+c&v!!てな訳でよろしく!」


 何故か研究室で倒れていた、それに2012年から来た事。そしてこの既視感ありまくりのラノベ主人公っぽいコピペ自己紹介、謎が謎を呼び、明らかに普通ではない。陽キャセンサーが『パターン青』と反応したシドはこの『星丘龍樹ホシオカリュウジュ』なる者を危険人物として警戒する。


「ぼ、僕はシド。よ、よろしく……はは」


 シドは脳内で陽キャ警戒アラートが鳴り響く中で『圧』に押されながらも自己紹介をする。


「さて、シド。今日の本題に入ろうか。可愛いワタシの息子の約束を破る訳には行かないからね」


 シドは「ちょっ!ちょっと待って!」と本題の前に最後の質問をベルに投げかける。


「なんで倒れてたの!?リュウジュが2012年から来たって何!?タイムスリップ?!」


 シドが一番聞きたかった質問にベルは答える。


「あ……ああ!つい言うのを忘れていたな。彼は次元空間の乱れによって発生する現象、通称『ストームバースト現象』によって、どうやら恐らく本当に2012年からタイムスリップして来たらしい。2012年の日本は約10万人以上が影響を受け、様々なパラレルや時空間に飛ばされる事件が起きたんだ」


 とベルは淡々とシドに説明した一方、龍樹リュウジュは自身にこんな事が起こっても、こういう事にはもう慣れている。という感じで非常に冷静な様子だった。


「どうやら!そういう事らしいぜ!」


 やはり龍樹リュウジュの"適応力"は絶対に普通では無い。


「……それではシド、早速だが影を出してくれないか?」


 それにしてもこの2人は余りにも切り替えが早すぎる。特にベルは実験がしたくてたまらないのだろうか、すぐに本題に入ろうとする。
 そして未だに状況が飲み込めず困惑が絶えない様子のシドはそれに応え影を出そうとする。が、


「……え?」


 影が出ない。昨日は確かに出ていた影が、能力が、使えない。


「い、いやだ……やっと…やっと希望を持てたのに……!なんで!」


 3度目の絶望。長い時を待ち、ついに来た奇跡は一瞬で消える。
 だが希望までは完全に消えてはいなかった。


「いやまだ可能性はあるんだ、まだそう悲観するには早いぞ、シド」


 この謎の現象の後、ベルは昨日の様にメモを取り出し、ゾーンに入る。


 ◇


 ──さて、どれほどの時間が経過しただろうか?シドと龍樹の2人はいつの間にか寝ており、夕焼けだったはずの空は黒に染まってしまっていた。
 そしてようやくベルも結論にたどり着いたようだった。


「やはり……そう、なのか?自信が持てない」
「……ベル、原因……わかった?」


 気付くと大量の本と書類がベルの教卓を埋めつくしていた。2~3冊の本がバランスを崩して教卓から落ちた音によって、ちょうど眠りから醒めたシドはパソコンを操作しているベルに研究が完了したかを問う。


「ああ、まぁあくまで仮説だが……シド、君の能力はもしかして影を操る能力なのではなく、ヴォイドという次元間に存在すると言われるダークマターの一種を操る能力なのかもしれない」


 ダークマター。それは宇宙に存在すると言われる未知の物質。1933年にとある科学者が説を提唱してから約800年の月日が経つが、現代の技術力を持ってしても未だに完全に解明されていない、もはや伝説上の物質だ。
 しかし近年、匿名の謎の科学者によって並行世界パラレルワールド間を理論上ワープ出来ることが解り、それと同時に話題に挙がったのがヴォイドというダークマターに似た物質だ。


「あ!聞いた事あ──「知ってるぜ!SF映画とかによくある奴だろ!」

 シドはしばらく喋ってなかった龍樹に突然遮られ、黙る。


「そのヴォイドの特徴として、感情の伝播と言うのがある。まあコレもあくまで仮説だが……ヴォイドは生物の激しい感情に反応すると言われている」
「え!?てことは僕が能力を使えなかったの──
「さっきシドが一瞬、能力が使えなかったのはそのヴォイドってヤツの特性のせいってこと……だよな?」


 "トークブレイカー"星丘龍樹ホシオカリュウジュによって再度シドは黙らせられる。


「とまあ、つまりそういう事だ、シド。ワタシでもヴォイドに関しては未だ分からない事が多い。だが、ワタシの推測によればヴォイドにはまだ未知の性質が隠されているはずだ、だから悲観しなくていい」


 その通りだ。可能性がある限り、諦めてはならない。このPSYのうりょくにはまだ、可能性が残されているのだから。


「……ちなみにだが、もしワタシがその能力に名前を付けるのなら、ラトの『光子操作フォトンエディタ』と対にして『虚影操作』と書き『シャドウエディタ』と読ませる……どうだ!カッコイイだろう!」


 ベルは彼女が愛読しているライトノベルに影響されたであろう、独特なネーミングセンスを披露する。
 シドは目を輝かせた。そして隣の龍樹リュウジュも、共に目を輝かせる。


「その『虚影操作シャドウエディタ』のセンスは最高にスーパーすっごくカッコいいんだけど……本当にラト姉みたいに成れるのかな……?」
「……シド。私のモットーを一つ教えてあげよう。それは『まだ可能性がある限り、希望だけは絶対に捨ててはいけない』だ。先程も言ったが、君の能力には未知という可能性が無限に存在する。それは最弱にも……一方で最強にもなれる。『期待』しているよ、シド」


 約800年間、正体不明の伝説の物質には天才ベル・ホワイトを持ってしても太刀打ち出来なかった。励まされたシドは「ダークマター、恐るべし……」と一種の謎の感動を覚える。


「さて、もうこんな時間だ。さあさあコーヒーでも飲んで帰ろうじゃあないか」


 ベルは好物のコーヒーを3人分淹れ、──グサッと、胸辺りを何かが突き刺さる。

「──え?」

 シドは、長い髪を乱れさせて瞬間のベルを見る。

「──は?」

 龍樹リュウジュもまた、血を撒き散らして瞬間のベルを見る。

 物体によって割れて飛び散ったガラス片は近くに居た2人の肌を傷付け、ベルの血と共に月夜の光が反射して輝く。
 あまりに突然の出来事に2人は困惑するしかなく、ただ呆然として立ち尽くす。
 そしてやっとようやく理解したのは窓からベルが攻撃されたという事だけ。


「ベルさん!!大丈夫か!!?」


 龍樹リュウジュはベルの元に駆け寄り、意識を確認する。真っ赤な鮮血は当然の様に、胸元から体外に大量に流れ出していた。


「一体全体……!何がどうなってんだ……!?」


 頬に付いたベルの血を見て、焦る龍樹リュウジュ


「ヒャハハハ!ザマァねェなあ!カス女ァ!!」


 嘲笑の声と共にベルの胸元に貫き刺さった鉄パイプの様なモノは、宙に浮き、嘲笑した持ち主の元へ帰る。そこで2人は初めて攻撃した人物……白髪のロンゲの男を視認した。

 男はシドをゆっくりと指差して殺意を向ける。


「あとはテメェだクソガキがァ!大人しくしてオレに殺されろォ!?」

 ---


 COUNT_DOWN☻.

 特異点まで、あと4日。
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