こくもんゾーン

とま

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1章

1話 名前の値段

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前書き
「名前」とは、ただの記号ではない。それは、人の存在そのものであり、記憶の一部であり、社会の中での立ち位置を証明するための証拠でもある。しかし、この世界では、その名前を持たないことが最も恐ろしいこととなる。名前を持たない者は、存在しない者として扱われるからだ。

この物語の舞台となるのは、「記録管理システム」が支配する準都市部《Code-B》だ。ここでは、すべての人間が記録され、名前を持ち、それによって社会的な価値を測られる。刻紋症が発症すると、その症状は名前を「消し去る」ことを意味する。そして、記録から消えた者は、もう誰の記憶にも残らない。

主人公ユウマは、妹サキナの刻紋症の発症をきっかけに、制度に対する疑念を抱き始める。家族として支え合いながらも、無力感に苛まれ、やがて彼は自らの「名前」を捨てるという決断に至る。しかし、その選択はただの「無名の消失」ではなく、彼自身の存在をも消し去るものであった。ユウマが抱える矛盾した思いと、名前を捨てることで失われるものの深さを、読者に問いかける物語が今、始まる。


1話 名前の値段
こくもんゾーン I話

第一話:「名前の値段」

▶ 舞台:準都市部(Code-B)──境界帯《クスル第8通り》

妹に最初の異変が出たのは、夜の夢だった。

サキナ「兄ちゃん……最近、知らない誰かの声がするの」

その夜、彼女の首元に小さな“赤黒い文字”が浮かび上がった。
《刻紋症:Stage II》。
皮膚の奥で文字が蠢き、焼印のように浮き上がる

兄、ユウマは即座に《ライフォル》準都市部の浄化申請アプリを開いた。
必要項目:
申請者のID・家族関係・記録情報・症状・支払い能力
を記入し、浄化申請を行なった。

提出後、表示された金額は

「浄化申請料:92,000ユニット」
(あなたの記録資産:28,410ユニット)

 届かない。圧倒的に。

「金がなきゃ、名前も守れねぇのかよ……」

妹の刻紋は日に日に広がっていった。
目の奥の圧迫感、記憶の混濁、涙のあとに“言葉のかたち”が滲む。

誰かに話せば感染する。
誰かに見られれば通報される。
誰にも頼れず、二人は“終わり”に向かって静かに落ちていった。

ある夜。
“黒い外套”の者が、無言で玄関に立った。

「黒文執行官。《恩赦型浄化》の適用対象が現れたため、派遣された」
都市部の《セントラルコード塔》から直接来たという、異常事態。
彼の声は静かで、喉から血の味がしたような残響を残す。

「……君の名の権利の代わりに妹に浄化を与えてやろう。それが、彼女を“生かす”ということだ」

「浄化の代償は、“誰か一人分の記録”。――君は、自分の存在を差し出す覚悟はあるか?」

兄は言葉を失い、少し黙り込んだ。
沈黙ののちにユウマは静かに頷いた。

謎の黒文執行官による
浄化の儀式が始まる。
浄化の詠唱、記録の共鳴、名前の再定義が行われた。


妹は助かった。

だが、兄の名前は記録と準都市部の制度上消えた。
妹はユウマを兄として認識できなくなった。

名前が残る限り、人は生きる。
では、名前を捨てた人間は――どこへ向かうのか。






後書き
「名前を捨てること」――それは、自己の存在を手放すという意味でもあります。
記録管理システムが人間の存在にどれだけ強く影響を与えるか、そしてそれを支配する「黒文官」のような存在がどんな倫理的な葛藤に苦しむかを描くことで、読者が現代の社会における貧富格差や社会問題とリンクできるような作品にしていきたいです。

ユウマがどんな選択をし、そしてその結果として名前が消えたとき、彼は果たして「存在している」と言えるのでしょうか。それでも、名前を持たなくても生きる意志が、ユウマにどれだけの力を与えるのか、その答えはまだ見えていません。しかし、名前を失った者たちにも、きっと「新しい生き方」があるはずだと信じています。

そして、私たちが抱えている「名前」に対する恐れや執着についても、少し考えてみてください。名前が消えることで、私たちは何を失い、何を得るのか。その問いを胸に、物語は次へと進んでいきます。




あらすじとや前書きと同じ内容の1話となってしまい申し訳ありません。初めて書いてみたのですが読みにくいですよね、すみません。
思いつきで始めた執筆ですが、ナルトや無職転生、ハンターハンターのような偉大な作品を読んでいると僕には物語を書く才能はないんだなと思い知らされます。
まだ構想もキャラも何も定まっていなく数日後には消して新しく書き換えるかもしれません。
現実逃避の妄想の中思いついてしまったので、せっかくなら一つの形にしようと思い書き始めました。
読者が1人でもいらっしゃれば続きを書くモチベーションに繋がるかなと思い投稿させていただきました。
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