《カクヨム様で50000PV達成‼️》悪魔とやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は悪魔の力で人間の頂点を狙う

なべぞう

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一章 契約と回帰

二十二話

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教師に深く頭を下げてから、ソラは教室を出た。
廊下の窓から差し込む夕方の光が揺れ、その明るさが、今の自分の気持ちをそのまま映しているように思えた。

(…褒められた、ちゃんと。)

胸の奥がふわりと熱くなる。
前の人生では、何をしても怒られ、罵倒され、手柄だけ奪われる日々だった。
だからこそ、純粋に「上手かった」「才能がある」と言われることに、ソラはどうしようもないほど胸が熱くなる。

そんな気持ちのまま家に戻り、玄関で靴を脱いだらいつもの調子でカバンのファスナーが内側から押し上げられ、ぱかりと開く。

「ふぅ……やっと出られたぞ」

クロが、まるで「ただいま」と言うかのように、ごく自然にカバンの中から這い出てきた。

「クロ、ただいま」

「ああ、おかえりソラ。」

クロはソラの前に立ち、金色の瞳を細める。

「しかし…よかったな、ソラ。今日、あのポーション作りで得たものは大きい。
お前が前の人生で積み上げた努力が、無駄ではなかったことが証明された。」

「…分かる? そんなに嬉しそうだった?」

「見りゃ分かるさ。尻尾を振りそうなくらい機嫌が良かった。」

「振らないよ!? 俺、犬じゃないんだから!」

ソラは顔を赤くして抗議するが、クロはくつくつと笑う。

「でも…そうだな。」
ソラは少し照れたように目をそらした。

「前の人生って、怒られることの方が多かったから…一生懸命頑張ってもそれは当然のことで感謝なんてされなかった。
だから…ああやって褒められると、なんか…こう、嬉しくて。」

クロは少しのあいだ黙り、やがて静かに言った。

「努力は姿を変え、形を変えても残る。
過去に戻ったからといって、お前が積み上げてきたすべてが消えるわけじゃない。
今日のポーション作りは、その証だ。」

「……クロ、なんか今日いつもより優しくない?」

「気のせいだ。」

即答で切り捨てられた。

ソラは照れ隠しで咳払いし、話題を変える。

「そういえば、班の人たちと話してたときさ…
危うく『俺は未来で死んで悪魔と契約して~』って言いそうになったんだよね、ははっ。」

「……ソラ。」

クロは温度のない声で言った。

「それを口に出すようなら、お前は本気でバカだぞ。」

「いや、もちろん言わないよ!?
ただ、なんか聞かれることが多くてテンパって…」

「あのな。言った瞬間、お前は“本物の危ない奴”になる。
今以上に不名誉なあだ名に無事ランクアップするぞ。」

「それは……絶対に嫌だな……」

ソラは背筋を伸ばし、気を引き締めた。

「よし。心の中に固く刻んだ。絶対に喋らない。」

「それでいい。」

クロは満足げにうなずき、尻尾をふわりと揺らした。

「さあ、行くんだろう? 訓練場へ。」

「もちろん。」

ソラは部屋に荷物を置き、すぐに外へ出た

夕暮れの訓練場。昨日と同じサンドバッグの前に立ち、ソラは深く息を吸った。
鼻から吸い、口からゆっくりと吐く。
丹田の奥に静かに溜まる魔力へ意識を落としていく。

(焦らない……昨日の続き、ただそれだけ)

魔力は水。器の中で揺れる、形を持たない液体。
そのイメージを丁寧に保ちながら右手へと流し込む。

……もちろん、まだ遅い。
昨日とほとんど変わらないスピードで、重たい水が腕の中を押し上がってくる。

だがソラの表情は、少しも暗くなっていなかった。

(無駄じゃない。積み重ねれば必ず“自分の血肉”になる!)
今日、確かにそれを知ったからだ。

右手に魔力が満たされる感覚が完成した時、ソラは拳を握り、

「——っ!」

魔力を込めてサンドバッグへ放つ。

ドンッ!

乾いた音が響く。
腕の奥に鈍い熱が走る。そして汗が一筋、顎から落ちた。

まだまだ遅い。まだまだ理想の自分に遠い。
けれど——昨日よりほんの少しだけ “迷いがない”。

ソラは再び右手を開き、丹田に意識を戻した。

「……よし、もう一回」

魔力を集める。
拳を握る。
殴る。

何度でも。
何度でも。

ソラ本人が“自分を誇れる自分”になるために。
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