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一章 契約と回帰
二十四話
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翌朝、ソラは布団の中でゆっくりと目を開けた。
体には昨日の筋肉痛が残っていないが、脳裏にふいっとリンの顔が浮かぶ。
──最悪だ……。
昨夜、リンの屋台を手伝い、家の近くまで送ったその時。
汗だく、砂だらけ、そして訓練後で自分でもわかるほどの汗臭さ。
リンは終始いつものおどおどした表情のままだったが、もし本当は臭かったと感じていたら……?
考えてしまった瞬間、朝から気分はどんよりと沈む。
(うわぁ……最悪だ……。今日、顔合わせたら気まずい……)
とはいえ、悩んでいても学校は待ってくれない。
ソラはため息を一つ落とし、重い足取りで家を出た。
学校に着き、廊下を歩いている途中だった。
「あ? お前……あの時の弱虫野郎じゃねぇか。」
ドスの効いた声が背後から飛ぶ。
振り返ると、ユナに絡んでいたあの三人組の不良たちが立っていた。
ソラは一瞬「誰?」となる。
なにせ印象に残ってなかった。
「あん? なんだその顔。テメェ、俺ら忘れてんのか?」
リーダー格の男が眉を釣り上げ、ソラの胸ぐらをわしっと掴んだ。
朝の憂鬱と、リンのことで沈んでいた気分が一気に最悪へと落ちる。
(なんで朝からこんな目に……)
「てめぇ、オレらがユナに話してた時──」
喧嘩っ早いのか言葉が終わる前に、ソラの胸ぐらを掴み、もう片方の拳が振り上げられた。
殴られると思った瞬間──ソラの体が勝手に動いた。
「っ!」
丹田から微かに魔力が流れ、右拳が鳩尾へ滑り込む。
ドンッ!!
重く鈍い音が廊下に響いた。
「ぐぇっ……!」
不良はその場で崩れ、廊下を激しくのたうち回る。その勢いで──
「……あっ」
不良の小さな声が漏れ出ると同時に脱糞した。
近くにいた女子たちが一斉に悲鳴を上げる。
「きゃあああ!!」
瞬く間に騒ぎは広がり、教師たちが駆けつけ、ソラは職員室へと連行される。
職員室で、教師たちはソラと周囲の生徒から話を聞いた。
内容は明らかにソラの正当防衛。
誰の目から見てもソラは被害者だった。
だが──
「とはいえ、手を出したのは良くない。暴力は暴力だ。」
教師たちは一様に眉をひそめる。
唯一、魔法薬の先生だけはソラをかばうような目で見ていたが、他の教師たちはソラを問題児扱いしているのが伝わってくる。
「ソラ、お前は今日から一週間、特別教室で別授業だ。」
重々しい声で担任が告げる。
ソラは小さく頭を下げた。
「はい……。わかりました。」
言い返す気はなかった。
殴った時に魔力が乗っていたことに気づいていたからだ。過剰な正当防衛であると自覚している。
(正当防衛でも……やりすぎだったかもしれないな)
反省とため息を胸に、ソラは指定された特別教室へと向かう。
特別教室は、校舎の端──普段使われていない教室の一つだった。
扉を開けると、そこには教師が一人。
生徒はソラだけ。
マンツーマンの授業がその日から始まった。
内容は通常授業に近いが、シーカーとしての心得や倫理観、力を持つ者としての責任についての話が特に多い。
「ソラ、シーカーには力に酔って道を外れる者もいる。
盗みや暴力はもちろん、殺人すら犯す連中もだ。
奴らは『脱法シーカー』あるいは『シーカーキラー』と呼ばれ、厳しく取り締まられている。」
教師の目は鋭い。
(自分はそんな風には絶対ならない)
ソラは心の中で強く誓った。
しかし教師たちは、魔法薬の先生を除きソラを「問題児」と決めつけているようだった。
ソラは黙って授業を受け続けるしかなかった。
体には昨日の筋肉痛が残っていないが、脳裏にふいっとリンの顔が浮かぶ。
──最悪だ……。
昨夜、リンの屋台を手伝い、家の近くまで送ったその時。
汗だく、砂だらけ、そして訓練後で自分でもわかるほどの汗臭さ。
リンは終始いつものおどおどした表情のままだったが、もし本当は臭かったと感じていたら……?
考えてしまった瞬間、朝から気分はどんよりと沈む。
(うわぁ……最悪だ……。今日、顔合わせたら気まずい……)
とはいえ、悩んでいても学校は待ってくれない。
ソラはため息を一つ落とし、重い足取りで家を出た。
学校に着き、廊下を歩いている途中だった。
「あ? お前……あの時の弱虫野郎じゃねぇか。」
ドスの効いた声が背後から飛ぶ。
振り返ると、ユナに絡んでいたあの三人組の不良たちが立っていた。
ソラは一瞬「誰?」となる。
なにせ印象に残ってなかった。
「あん? なんだその顔。テメェ、俺ら忘れてんのか?」
リーダー格の男が眉を釣り上げ、ソラの胸ぐらをわしっと掴んだ。
朝の憂鬱と、リンのことで沈んでいた気分が一気に最悪へと落ちる。
(なんで朝からこんな目に……)
「てめぇ、オレらがユナに話してた時──」
喧嘩っ早いのか言葉が終わる前に、ソラの胸ぐらを掴み、もう片方の拳が振り上げられた。
殴られると思った瞬間──ソラの体が勝手に動いた。
「っ!」
丹田から微かに魔力が流れ、右拳が鳩尾へ滑り込む。
ドンッ!!
重く鈍い音が廊下に響いた。
「ぐぇっ……!」
不良はその場で崩れ、廊下を激しくのたうち回る。その勢いで──
「……あっ」
不良の小さな声が漏れ出ると同時に脱糞した。
近くにいた女子たちが一斉に悲鳴を上げる。
「きゃあああ!!」
瞬く間に騒ぎは広がり、教師たちが駆けつけ、ソラは職員室へと連行される。
職員室で、教師たちはソラと周囲の生徒から話を聞いた。
内容は明らかにソラの正当防衛。
誰の目から見てもソラは被害者だった。
だが──
「とはいえ、手を出したのは良くない。暴力は暴力だ。」
教師たちは一様に眉をひそめる。
唯一、魔法薬の先生だけはソラをかばうような目で見ていたが、他の教師たちはソラを問題児扱いしているのが伝わってくる。
「ソラ、お前は今日から一週間、特別教室で別授業だ。」
重々しい声で担任が告げる。
ソラは小さく頭を下げた。
「はい……。わかりました。」
言い返す気はなかった。
殴った時に魔力が乗っていたことに気づいていたからだ。過剰な正当防衛であると自覚している。
(正当防衛でも……やりすぎだったかもしれないな)
反省とため息を胸に、ソラは指定された特別教室へと向かう。
特別教室は、校舎の端──普段使われていない教室の一つだった。
扉を開けると、そこには教師が一人。
生徒はソラだけ。
マンツーマンの授業がその日から始まった。
内容は通常授業に近いが、シーカーとしての心得や倫理観、力を持つ者としての責任についての話が特に多い。
「ソラ、シーカーには力に酔って道を外れる者もいる。
盗みや暴力はもちろん、殺人すら犯す連中もだ。
奴らは『脱法シーカー』あるいは『シーカーキラー』と呼ばれ、厳しく取り締まられている。」
教師の目は鋭い。
(自分はそんな風には絶対ならない)
ソラは心の中で強く誓った。
しかし教師たちは、魔法薬の先生を除きソラを「問題児」と決めつけているようだった。
ソラは黙って授業を受け続けるしかなかった。
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