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二章 黒曜麒麟
六十話
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授業は続きどんどんペアが変わり、またソラの番が来た。
「次、ソラとカイト」
教師の声が響き、周囲がざわつく。
名前を呼ばれた二人が、訓練場の中央へと進み出た。
カイトは相変わらずだった。
余裕のある歩き方、肩の力を抜いた立ち姿。木剣を軽く肩に乗せ、まるで準備運動の延長のような顔をしている。
「よろしく」
形式的な挨拶。
その声音にも、緊張は微塵も感じられなかった。
(……本当に、余裕そうだな)
ソラは木剣を構えながら、静かに息を整える。
前とは違う。
今は身体がよく動き、魔力を感じて見る事ができる。
開始の合図と同時に、二人は踏み込んだ。
最初の数合。
ソラはあえて正面から打ち合った。
カイトの剣筋は無駄がなく、洗練されているが――その“流れ”が見える。
ほんの一瞬、カイトの魔力が腕に集まる。
ソラはその直前で木剣をずらし、返す。
「……おや?」
カイトが小さく声を漏らす。
だが表情は崩れない。むしろ、楽しげですらあった。
数合の打ち合いで、ソラがわずかに前に出る。
しかし、次の瞬間――
カイトの魔力が一気に跳ね上がった。
「やるね。だが、ここまでだ」
身体能力上昇。
そして、双剣使いのスキル。
動きが、まるで別人のように変わる。
一歩の踏み込みが速く、剣の軌道が倍に増えたかのようだった。
(来た……!)
ソラは歯を食いしばる。
一気に劣勢に押し込まれる感覚。
だが、焦りはなかった。
なぜなら――
(それは何回も見た!)
カイトが距離を取り、構えを低くする。
得意技の乱舞の初動。
前の人生で何度も見てきた、カイトの必勝パターン。
今でも夢に出るほど見慣れた動き。
ソラは魔力の流れを“なぞる”ように視ながら、一つ一つを受け切る。
避け、流し、弾き――最後の一撃を捌いた瞬間。
踏み込む。
木剣の先が、カイトの首元で止まった。
場が、静まり返る。
カイトは一瞬きょとんとした顔をし、次いで小さく息を吐いた。
「……っく!」
その顔には、悔しさよりも納得が浮かんでいた。
教師の合図で模擬戦は終了となる。
ソラは木剣を下ろし、カイトと握手しようとするがそこで授業の終わりの鐘がなりカイトは足速に退出してしまった。
カイトは足速に歩きながら独り言を呟く。
余裕の笑みはすでになく、額にはうっすらと汗が浮かび、握り締めた木剣が小さく震えている。
「……なんだよ、あれ」
低く、押し殺したような声だった。
「防戦一方だったくせに」
カイトはゆっくり顔を上げ、その場にはいないソラを睨む。
だがその視線には、怒りと同時に、はっきりとした動揺が滲んでいた。
「身体能力上昇も、双剣の乱舞も……全部通じなかった……俺は負けてない。あれは訓練だ。木剣だからだ。
本気じゃ――」
頭に一瞬割れるような痛みが駆け抜け、胸の奥で何かが軋む。
ダンジョン実習。
日々の訓練。
そして今、この剣術の模擬戦。
いつも自分が一歩前にいるはずだった。
自分が導く側で、ソラも他の生徒と同じで後ろをついてくる存在だったはずなのに。
(いつからだ……)
気づけば、追いつかれ、
気づけば、並ばれ、
そして今――
(追い越されかけてる)
拳を強く握る。爪が食い込み、痛みが走るほどに。
「……くそ」
小さく吐き捨てるように呟く。
(俺は努力してきた)
誰よりも早くダンジョンに入り、遅くまで剣を振った。
それなのに。
(ソラ、お前は……)
カイトは、無意識のうちに歯を食いしばっていた。
(どこで、そんな力を手に入れた)
カイトの胸に、黒い感情が渦を巻く。
(どこかで、はっきりさせないといけない)
自分が上なのか。
それとも――
ソラが、自分を越える存在なのか。
「次、ソラとカイト」
教師の声が響き、周囲がざわつく。
名前を呼ばれた二人が、訓練場の中央へと進み出た。
カイトは相変わらずだった。
余裕のある歩き方、肩の力を抜いた立ち姿。木剣を軽く肩に乗せ、まるで準備運動の延長のような顔をしている。
「よろしく」
形式的な挨拶。
その声音にも、緊張は微塵も感じられなかった。
(……本当に、余裕そうだな)
ソラは木剣を構えながら、静かに息を整える。
前とは違う。
今は身体がよく動き、魔力を感じて見る事ができる。
開始の合図と同時に、二人は踏み込んだ。
最初の数合。
ソラはあえて正面から打ち合った。
カイトの剣筋は無駄がなく、洗練されているが――その“流れ”が見える。
ほんの一瞬、カイトの魔力が腕に集まる。
ソラはその直前で木剣をずらし、返す。
「……おや?」
カイトが小さく声を漏らす。
だが表情は崩れない。むしろ、楽しげですらあった。
数合の打ち合いで、ソラがわずかに前に出る。
しかし、次の瞬間――
カイトの魔力が一気に跳ね上がった。
「やるね。だが、ここまでだ」
身体能力上昇。
そして、双剣使いのスキル。
動きが、まるで別人のように変わる。
一歩の踏み込みが速く、剣の軌道が倍に増えたかのようだった。
(来た……!)
ソラは歯を食いしばる。
一気に劣勢に押し込まれる感覚。
だが、焦りはなかった。
なぜなら――
(それは何回も見た!)
カイトが距離を取り、構えを低くする。
得意技の乱舞の初動。
前の人生で何度も見てきた、カイトの必勝パターン。
今でも夢に出るほど見慣れた動き。
ソラは魔力の流れを“なぞる”ように視ながら、一つ一つを受け切る。
避け、流し、弾き――最後の一撃を捌いた瞬間。
踏み込む。
木剣の先が、カイトの首元で止まった。
場が、静まり返る。
カイトは一瞬きょとんとした顔をし、次いで小さく息を吐いた。
「……っく!」
その顔には、悔しさよりも納得が浮かんでいた。
教師の合図で模擬戦は終了となる。
ソラは木剣を下ろし、カイトと握手しようとするがそこで授業の終わりの鐘がなりカイトは足速に退出してしまった。
カイトは足速に歩きながら独り言を呟く。
余裕の笑みはすでになく、額にはうっすらと汗が浮かび、握り締めた木剣が小さく震えている。
「……なんだよ、あれ」
低く、押し殺したような声だった。
「防戦一方だったくせに」
カイトはゆっくり顔を上げ、その場にはいないソラを睨む。
だがその視線には、怒りと同時に、はっきりとした動揺が滲んでいた。
「身体能力上昇も、双剣の乱舞も……全部通じなかった……俺は負けてない。あれは訓練だ。木剣だからだ。
本気じゃ――」
頭に一瞬割れるような痛みが駆け抜け、胸の奥で何かが軋む。
ダンジョン実習。
日々の訓練。
そして今、この剣術の模擬戦。
いつも自分が一歩前にいるはずだった。
自分が導く側で、ソラも他の生徒と同じで後ろをついてくる存在だったはずなのに。
(いつからだ……)
気づけば、追いつかれ、
気づけば、並ばれ、
そして今――
(追い越されかけてる)
拳を強く握る。爪が食い込み、痛みが走るほどに。
「……くそ」
小さく吐き捨てるように呟く。
(俺は努力してきた)
誰よりも早くダンジョンに入り、遅くまで剣を振った。
それなのに。
(ソラ、お前は……)
カイトは、無意識のうちに歯を食いしばっていた。
(どこで、そんな力を手に入れた)
カイトの胸に、黒い感情が渦を巻く。
(どこかで、はっきりさせないといけない)
自分が上なのか。
それとも――
ソラが、自分を越える存在なのか。
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