《カクヨム様で50000PV達成‼️》悪魔とやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は悪魔の力で人間の頂点を狙う

なべぞう

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二章 黒曜麒麟

八十八話

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ソラたちは、ほとんど息をつく間もなくダンジョン内を駆け抜けていた。

先頭を行くのは、ガリオン率いる《白銀の獅子》の面々。

行く手を阻む魔物が現れるたび、彼らは一瞬でそれを制圧していく。

無駄のない動き。
声を荒げることも過剰な連携もない。

それでいて、誰がどこを守るかが完璧に噛み合っている。

一人ひとりの実力に裏打ちされた熟練の連携。

それは見ているだけで、彼らが一流のシーカーであることが嫌でも分からされた。

ほぼノンストップで進み続け、四階に到達したところで、ようやく足を止める。

「ここで一息入れよう」

ガリオンの判断に、誰も異を唱えなかった。
走り続けた身体は悲鳴を上げている。

無理をして追いついたとしても、その先で全滅しては意味がない。

休める時に休む――それもまた、シーカーの義務だ。

短い休憩の中、リンが不安を押し殺したように口を開いた。

「先生……さっきガリオンさんが言ってた
“BランクダンジョンがBランクたる所以”って、何なんですか?」

ユナたちも、同じ疑問を抱えていたのだろう。

視線が一斉にハーデンへと向けられる。

ハーデンは少し考え、静かに口を開いた。

「本来なら、二年生以降に学ぶ内容です。ですが……今は話しておくべきでしょう」

そう前置きしてから、生徒たちを見渡す。

「なぜ、ダンジョンにはランクが存在すると思いますか?」

誰も答えない。

ソラは答えを知っていたが、あえて黙っていた。

ハーデンは続ける。

「ダンジョンのランクとは、その危険度と踏破難易度を分かりやすく示すための指標です」

「皆さんが実習で入ったFランクは、子供でも踏破できる初心者向け。
Eランクはそれより魔物の攻撃性が高くなり、
Dランクは、シーカー学校を卒業した者たちが一人前として挑める最低ラインです」

そこで一度、言葉を切る。

「ですが――Cランク以上には、明確な“壁”があります」

生徒たちが息を呑む。

「それは、ボスの存在です。
Cランクダンジョンのボスは……控えめに見積もっても、通常のCランク魔物の十倍以上の強さを持っています」

だからこそ、とハーデンは続ける。

「Cランクシーカーと認められるには、実力と経験、その両方が必要になる。
ここで多くの者が足切りされるのです」

そして、視線を落としたまま、重く告げた。

「……Bランクは、さらに次元が違います」

生徒たちは自然と身を乗り出す。

「皆さん、感じませんでしたか?
Bランクダンジョンだというのに、道中の魔物にそこまでの脅威を感じなかったことを」

顔を見合わせ、皆が小さく頷く。

確かに、厳しかったが“絶望的”ではなかった。

「それもそのはずです」

ハーデンは淡々と続ける。

「Bランクダンジョンの道中に出現する魔物の強さは、Cランクと大差ありません。
極端な話、才能のある新人でも、運が良ければボスの前まで辿り着いてしまう」

そこで、はっきりと顔を上げた。

「――問題は、ボスです」

ハーデンは手を開き、指を広げて見せる。

「Bランクダンジョンのボスは、最低でも
通常魔物の五十倍以上の戦闘力を持っています」

「……五十倍!」

リンが思わず声を上げ、他の生徒たちも愕然とする。

ハーデンは目を伏せ、低く呟いた。

「……このことを、カイトくんたちに
もっと早く、きちんと伝えていれば……」

その言葉は、後悔と焦燥を滲ませながら、静かに四階の空気へと溶けていった。

ハーデンの説明が終わると、ガリオンが静かに一歩前へ出た。

「先生の話に、少し付け加えさせてもらう」

低く落ち着いた声が、休憩中の空気を引き締めた。

「Cランクダンジョンを何度も踏破して、ようやくギルドは
“こいつはBランクとしてやっていける”って認める」

「それをすっ飛ばしてな……
自分たちは強い、いける、天才だって勘違いした連中が
Bランクダンジョンに挑む」

ガリオンは鼻で小さく笑う。

「そういう馬鹿は、一定数いる。だが――
そいつらが大成した例を、俺は一つも知らん」

生徒たちの背筋が、自然と伸びた。

「それだけ、Bランクダンジョンは甘くないってことだ」

「仮に生き残ったとしてもな……
手痛い経験をした連中は、それをわざわざ吹聴したりしない。
だから、この現実は広まりにくい」

ガリオンは肩をすくめる。

「学生が知らなくて当然だ。むしろ、知らない方が健全とも言える」

そして、視線を強くして続けた。

「……だがな。
そんな馬鹿どもの尻拭いを、今から俺たちはしなきゃならねぇ」

「だから覚えておけ」

生徒一人ひとりを見据え、はっきりと言い切る。

「お前らは、絶対にそんな風になるな」

その言葉を、ソラは静かに噛みしめていた。




――いい奴だな。

そう思う。
前の人生では、こんなことをわざわざ教えてくれる人間はほとんどいなかった。

命の重さを顧みず、勢いだけで高みを目指し、そして堕ちる。

そんな連中を面白い例えでイカロスと呼んで馬鹿にした。

……だが、とソラは内心で苦笑する。

自分もまた、ダンジョンで命を落としかけた身だ。

クロに助けて貰わなければ確実に命を落としていた。

他人事ではない、自分自身もその“大馬鹿者”の一人だったのかもしれない。

「……人のこと、言えないな」

誰にも聞こえない声で自嘲しながら、ソラは再び前を見据えた。
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