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3章 フェイトエピソード
幼女王女
しおりを挟む実に衝撃的な出来事だった。
なんとか王女……いや、なんとか呼ばわりはもう流石に悪いな。
ネリー王女に人生で二度目の告白をされた俺……少し男としてのレベルが上がった気がする。
俺は周囲の視線に居心地の悪さを感じながらも少し満足した気分になっていた。
──俺がそんな風に調子にのっていると、こちらへやって来る穂花ちゃんの姿が見えた。
さっきの彼女達とはもう良いんだろうか?
「騒がしかったみたいですけど、何が有ったんですか?」
そうか!移動してる内に穂花ちゃんとは結構離れてしまっていたから、さっきの恥ずかしいやり取りは観られていなかったんだな!
ならば正直に言う事も無いだろう。
知られたら恥ずかしい事だし。
「なんか酔っ払って発狂した人がいたんだよ…怖かったよ」
……いや、適当にいま思い付いて言ったウソだけど、だいたい合ってね?
「うわっ……居なくて良かったかもです」
穂花ちゃんも特に疑う事なく信じてくれたみたいだ。
──すると、今度はユリウスさんがやって来る。
……良かった、オーティスさんは一緒じゃないみたいだ。
「いや、はははは!見てたぞ?大変だったな?まさかネリー王女がお前のk──」
「剣帝おじさんうるさいっすよ!」
「…急にどうしてだい?……てか剣帝おじさんって……」
俺は穂花ちゃんから少し離れた所にユリウスさんを連れて行き小声で話す。
「穂花ちゃんに言うのやめて貰って良いですか?」
「なんでだよ?良いじゃん別に?」
「いえ…僕は穂花ちゃんの前ではしっかりとした素晴らしい男でありたいんですよ?…ネリー王女に告白されたなんて若干恥ずべき事じゃないですか」
「…お前……本当に変なとこで無駄な見栄を張るし、堂々と失礼な事を言う男だよな」
ユリウスさんは俺が嫌がってる事をわざわざ言うつもりも無いらしく「じゃあ黙ってるわ」と簡単に了承してくれる。
別に言ってもユリウスさんにメリットがある訳でも無いので、口止めしておけば言う事も無いだろう。
これで一安心だ…直ぐに穂花ちゃんの所へ戻る事にする。
俺達のやり取りを気にしている穂花ちゃんには、適当に訓練の話でもしていたとでも言おう。
…ん?穂花ちゃん、俺とユリウスさんが場を離れてる間に誰かと話を始めたみたいだな……相手は……げっ!
──「おおっ!穂花じゃないかっ!」
「ああっ!アリアンさん!こんばんわ!真っ赤なドレスが素敵ですね!」
「穂花こそ、純白のドレスが似合ってるぞ?…はは~ん、さては一昨日好きだと言っていた孝志との結婚式でも考えてウェディングドレスを意識したな?」
「…っ!?ど、どうしてそこまで鮮明にわかるんですか?…ぜ、絶対に孝志さんには言わないでくださいねっ!?」
「分かってる、言わない!」
「ふぅ~……アリアンさん変な所で鋭い…」
「ところで穂花聞いてよ…ユリウスってば酷いのよ?」
「何かあったんですか?」
「さっきドレスを見せに行ったら『赤いな!』としか感想をくれなかったの!」
「そ、それはひどい!酷すぎます!」
「やっぱりそう思う?」
「…それに比べて孝志さんは……うふ♡」
「嬉しそうだな!なんて言われたんだ?」
「はい『かわいい』って、それに『天使みたい』とも言ってくれました!…もう本当に嬉しくて…!」
「い、いいな~……孝志ってそういう事をストレートに言う奴なのか…ちょっといいな…」
「ええ?!アリアンさんも孝志さん狙いに!?」
「それは絶対にないから安心しろ」
「そ、そんな!孝志さんの何が不満なんですか!?」
「…お前頭おかしいのか?」
──俺とユリウスさんはたった今二人の側に到着した。
位置的に背後なので穂花ちゃんはこちらには気付いて居ない。
何やら楽しそうに話してたみたいだったけど、アリアンさんと仲良かったんだね
そういえば朝もアリアンさんの話題を振ろうとしていたっけ?
そして穂花ちゃんは近くに俺達が居る事には気付いてないので、こちらを意識する事なくアリアンさんと話を続けてゆく。
「それよりもさっきは孝志やばかったぞ!」
「え?何か有ったんですか?」
いきなり何言おうとしてんの?ちょっとま───
「ネリー王女に告白されていたぞ!しかも結婚してとか言われてたな!」
「………ふ……ふぅえぇ……????」
……おおぉう……伏兵過ぎる。
そして速攻過ぎたから止められなかったわ。
折角ユリウスさん口止めしていたのに全部無駄かよ!
…出来れば穂花ちゃんには知られたくなかったが、まぁバレてしまったものは仕方ない。
俺も可能な限り知られたく無かったに過ぎないしな。
何て楽観的に考えていたが……
「わ、わああぁぁっ!!うそですよね?!ゔえ?告白っ?!意味わからないですよ?!ネリー王女ってそもそも誰ですか!?」
そ、そんなに驚くのね……それよりネリー王女を知らなかったんかい!
確かに挨拶はしてくれ無かったけど、穂花ちゃんは一昨日は訓練のとき一緒だったんじゃないの?
──すると穂花ちゃんは俺の気配に勘付いた様で、背後に立っている俺に顔を向けると、昨日訓練の時に体験したアリアンさん並のスピードで詰め寄って来た。
「うぉあっ!?」
「ちょちょちょちょっと孝志さん…ここここ告白ってどどどうして」
「落ち着いて!ねっ!?」
「落ち着いてられませんよ!まさかオーケーしてないですよね!?」
「大丈夫だ橘穂花!少し頭冷やせ、な?」
「ユリウスさんは黙ってて下さいよ!」
「…ええ……」
ユリウスさん可哀想……めっちゃ落ち込んでるし。
俺は穂花ちゃんを落ち着かせる為に必死で説得するのだった…
──────────
途中から何だかんだユリウスさんも加わり、二人掛かりで穂花ちゃんを宥め続けること数分──ようやく穂花ちゃんを落ち着かせることが出来た。
だが穂花ちゃんは「少し作戦会議です!」と言いながらアリアンさんを連れて少し離れた所へ移動してゆく。
アリアンさんの腕を引っ張って行くなんて……穂花ちゃんってば凄い子なのね……
俺はアリアンさんが余計な事を言わないか心配しつつも、女性同士の会話に割って入る度胸は無いので追い掛ける事はしなかった。
──そして二人が離れて少し経ってから、俺とユリウスさんの元へやって来る二人組の姿があった。
一人はマリア王女で、もう一人がさっき紹介されたシャルちゃん──もとい、シャルロッテ王女。
マリア王女は少し離れた所で立ち止まり、シャルロッテ王女の頭を撫でて何やら話をしている。
両者の表情を見る限り、教育の一環としてマリア王女は俺への挨拶をシャルロッテ王女に一人でさせようとしているのだろう。
他の貴族達には付き添っていた癖に…俺ならひとりでさせても大丈夫ってか?舐めやがって。
そして二人は話し終えると、案の定シャルロッテ王女が一人だけでトテトテとこちらへ歩み寄って来た。
うん、実に可愛らしい。
「えっと、こんばんは、シャルロッテと申します……今年で7さいになります。ゆうしゃ様…この世界を救いにきてくれてありがとうございます」
うん、喋り方は幼女そのものだが、話の内容はしっかりとしたものだ。
それに頑張って話してる感じも垣間見られて好感が持てる。
俺はシャルロッテ王女に目線を合わせるため腰を屈ませた。
「うん!こちらこそ宜しく!シャルロッテ王女はとてもしっかりしているね」
俺がそう言うと、シャルロッテ王女は嬉しそうに表情を明るくした。
「あ、ありがとうございます!ゆうしゃ様!これからもよろしくお願いします!」
うんいい子だ……しっかりと教育が施されてる様で安心だ。
姉二人を見習わない様に気を付けるんだぞ?
あ、そういえば名乗りを受けたのに、こちらは名乗り返してなかったな。失礼をしてしまった。
一応、お互いに名乗り合っているが、再び名乗られたからには同じ様に返すのが礼儀のはずだ。
「おれは松本、孝志、と言います。覚えてくださいね」
俺はシャルちゃん王女が覚え易い様に名前のところを強調して話した。
途端、シャルちゃん王女の顔が更に明るくなった。
「あ!たかし様ってあなただったのですね!さっきはきんちょうして聞きのがしてしまいました!」
「ん?俺のこと知ってるの?」
「はい!おねえ様から聞いていました!」
「……なんと言ってた?」
「はい…とてつもなくへんな人だとおっしゃってました」
「…実際に会ってみてどうおもった?」
「へんなかんじの人です」
おいおい、どういう育て方をすれば俺を見てそういう評価を下すんだ?育て方間違ってんじゃないの?
「……教育者は誰かなぁ?」
「はい!マリアおねえ様です!」
「ははは!どうりで!」
「……おい」
「ふほぉ!?」
耳元からドスの効いた声が聞こえてきた。
そちらを見ると、マリア王女はシャルロッテ王女に顔が見られない位置に立ち、とても王女とは思えない形相でこちらを睨んできた。
………普通に怖い。
「いえ……とても素晴らしい教育がなされてるみたいで大変感服しておりました」
「そう?ありがとうございます…………本当は?」
「再教育が必要っすわ!」
「うん死刑♡」
「…申し訳ありませんでした」
「ごめんで済むなら警察はいらなくてよ」
「いやこの世界に警察居ないでしょ…変な日本の知識入り過ぎですよ貴女」
この後、彼女を説得するのに結構な時間を要した。
ユリウスさんは穂花ちゃんの時は手伝ってくれた癖に、今回は近くに居ながら意に介さずといった感じで傍観を決め込んでいた。
王族相手だとマジで使えんなこのおっさん。
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