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4章 仮面の少女
扉の向こう
しおりを挟むまえがき
本日 2話目です。
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俺はダークエルフの面倒くささに呆れながらも、ここである事に気が付いた。
そうだ、面倒くさいの筆頭と言えばアルマスじゃないか。なのに何で今はこんなに大人しいんだ?
さっきからうるさい様で要所要所の受け答えや、相手に対する対応が普段と比べて良い様な気がする。
「お前大人しくないか?」
俺の疑問をそのままアルマスに告げると、彼女は何を言っているのか?と言いたげな表情を浮かべる。
「現在、敵とはいえマスター以外の人物がいらっしゃるのですよ?マスターが恥を掻くような事は言いませんよ」
「…二人の時もそれで頼む」
てかコイツここまで演じられるなんてすげぇな、頭おかしいけど。
そして、もう一度ダークエルフの方を向いた。視線が合うと一瞬だけビクッとするが、すぐに睨み返して来る。良い根性してるよマジでコイツ。
「それで?お前はどうしたいんだ?」
「出口まで同行させて下さい。それと出来れば安全を確保して頂けたらと」
睨み付けてきた割には殊勝な物言いだな。
てか言ってる事は図々しいにも程があるぞ!
でも置いて行ったら確実に死ぬだろうし、連れて行くしかないか……
俺は渋々連れて行く事にした。
「安全の確保は無理かも知れないけど、出口までの同行は許可してやろう」
「おお!流石は勇者だ!では宜しく頼む!」
ちっ……クソエルフが偉そうに。
まぁ俺たちを守るのはアルマスだし、俺も何だかんだ人の事言えないので余計な事は言わないでおくか。
俺にはいざって時のバリアがあるしね!……いや、これもアルマス頼みになるのか。
とりあえず、お騒がせエルフさんは臨時とは言え一緒に行動する事になった。
それと一緒に行動するなら毎回呼ぶ時に、お前とかダークエルフとか言うのはなんか嫌だし、名前くらいは聞いておくか。
「名前は何ていうんだ?」
「?…ミーシャだが、それを聞いてどうするんだ?」
「いや、お前とか言い続けるのも嫌だしな。因みに俺は松本孝志。あの水色なのがアルマスだ」
最後に指を指してアルマスを紹介すると、合わせる様にアルマスは丁寧なお辞儀をしてきた。
居るよね~こういう他人と接する時に猫被るヤツ。いつもの俺たちのやり取り見せてドン引きして貰おうか?
そして互いに名前だけの自己紹介が終わった後も、ミーシャは怪訝な表情を崩さない。
「…人間のそういう気持ちはサッパリわからん」
文化の違いというヤツだな。一緒に行動するなら名前を知っていた方がお互い何かと便利だぞ?
お前って言い方だと誰に言ってるか解らないし、ダークエルフだと種族名だから呼んでて可笑しな気分になるし。
──そう言えば、この女に何か大事な事を聞こうと思ってたんだけど何だっけ?
余計なやり取りの所為で忘れたじゃないか!……まぁその内思い出せば良いか。
そして話が終わり、アルマスの生み出した光を頼りに周囲を探索した。
アルマスの光魔法は便利だが、照らせる範囲が狭く探索は難航している。
それを見たミーシャが「魔力を失う前の私ならこれの10倍の光を生み出せるぞ」とアルマスを挑発し、睨ませたりもしてたな。
しばらく探索を続けてると、上へと続く階段を発見する事が出来た。
人がひとりギリギリで通れる位の幅の狭い階段だが、この階段を登って地上を目指す事にした。
壁避けの為にミーシャを先へ行かせて、最後尾にアルマスが居る。前と後ろで俺を挟むような形だ。
聞きようによっては実に素晴らしい。
そしてミーシャを先頭に階段を登ろうとした、まさにその時だった──
「──ッッ!!……マ、マスター……う…ぐぅ…」
唐突に後ろを歩いていたアルマスが気持ち悪そうに姿勢を前のめりに崩しだす。
俺は慌ててアルマスの元へ駆け寄った。
「どうしたアルマス!?」
「……うぅ…」
口元を抑えて気持ち悪そうにしている。
先程まではピンピンしていたのに……何処かで体を悪くしたのだろうか?もしかしてミーシャか?
そう疑って彼女の方を見るが、ミーシャも具合が悪そうにフラフラしている。彼女が何かをした訳ではなさそうだ。
ただミーシャの場合は少しアルマスとは違って、ある一言を口にした。
「──ま、魔王様だ……どうして……そ、そうか……魔力を失ったから耐性が……」
ミーシャはある場所を見つめてこんな事を口にした。
魔王?どういう事だ?
そしてミーシャは階段から少し離れた所に設置されている、黒塗りの扉を見つめている……暗くてさっきまで存在に気が付かなかった。
ミーシャも何らかの気配を感じて今し方その扉を発見したのだろう。
これに関してはアルマスも同じで、扉の方を苦しそうに見ている。
四つん這いの体勢だが、土を力強く握り締める事で、どうにか気分を紛らわそうとしてるのが分かってしまう。
俺も二人と同じ様に扉の方を見るが………何ともない。
彼女達が見せている、気持ちの悪さや恐怖心など全く何も感じない。
だけど──
──俺はその扉から目が離せなかった。
扉の向こう側に何者かが居るのはわかった。隠しきれない程の存在感を扉の向こう側から放って居たからだ。
そして、その存在感を俺は不快とは思わない。
ただ、自分でも信じられない程の興味を抱いてしまっていた──
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