普通の勇者とハーレム勇者

リョウタ

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6章 勇者と、魔族と、王女様

プロローグ 〜華麗ならぬ食卓〜

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更新遅れました。

今日からしばらく毎日更新します。

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フェイルノートと呼ばれる最強の悪魔。
あのアレクセイさんすら敗北に期した化け物に勝利を収めた功労者たるこの俺は、現在、アルマスが療養している部屋で夕食をとっている。
メンツは俺とアルマス……そしてさっきからやたら俺に付き纏ってくる迷惑この上ない男、アッシュの三人だ。

ぶっちゃけ、流石に療養中のアルマスの部屋で夕飯はどうかと思ったが、アレクセイさんは食べる元気が無く、オーティスさんは忙しそうに王国と連絡を取ったりしているので、あのままだとヤンキーと二人きりでの食卓になりそうだった。
もうマジでそれだけは絶対に嫌なのでアルマスの部屋で食事をとらせて貰う事にした。

因みに夕飯は俺の手作り。
台所の場所と食材の在り処をアレクセイさんに聞き、更には置いて有った調理器具や、それの使い方も向こうの世界と一緒だったので問題無く調理する事が出来た。

料理はスクランブルエッグと、ウインナーっぽい肉をそのまま焼いたヤツ。
スクランブルエッグは卵料理の中で一番作りやすいと思う……なんたって卵をぐちゃぐちゃに掻き混ぜれば良いだけだから、目玉焼きの様に黄身が破れる心配も皆無。

……そして何より、ケチャップと良く合う。

俺はケチャップであえたスクランブルエッグをスプーンですくい頬張った。

「すると、口一杯にケチャップの酸味が広がり、均一の取れていないスクランブルエッグ達が……え~と……なんて言うか、口の中で暴れている……まぁなんと言うか…………とにかく美味い!!」

ついつい感想を口から漏らしてしまうのだった。


「おめぇ表現力ゼロだな」

「……うるせぇよ、黙って食え」

「おう。じゃあ頂くとするぜ」

促されたアッシュは、孝志と同じ様にスプーンでスクランブルエッグを掬い取りそのまま口の中に運んだ。


「……あんまり旨くねぇな」

「作って貰って何だその言い草はッ!?ええ?!うちの母親だったら引っ叩かれてるぞっ!?」

「お、わ、わりぃ……けどよぉ~?この赤いケチャップ……?て言うのか?……いくらなんでもかけ過ぎだろ?せめて俺の分だけでも取り分けてからかけてくれよ」

「……あ、味を誤魔化してんだよ……ケチャップかけなかったら俺の飯クソまずいぞ?」

「んだよっ!謝って損したぜっ!」

「オイオイオイ、死ぬわオマエ……フェイルノートを仕留めた俺に向かってその態度は命知らずにも程があるわ流石に」

「……いや、おめぇ動けない所に攻撃加えただけだろうがよ。なんでそこまで得意になれんだよっ」

「うるせぇ!過程はどうあれ、仕留めたのは結果的に俺なんだよ!だったら俺の手柄って事じゃないか!違うか?」

「…………おめぇがトップに立ったら部下の手柄は全部自分のモノにしそうだな」

「……加えて上司の失敗は部下の責任」

「とんだクソ野郎だなっ!!」

知らない内に疲れが溜まっていたんだろう。
俺もアッシュも実にくだらない事を切っ掛けにヒートアップする。

適当に作った料理にダメ出しされたって普段は何とも思わないのに……そういえば向こうの世界では弘子(いもうと)に良く言われたっけ?
お前の料理はケチャップで誤魔化すのを前提に作られているって……まぁほんとの事だけどな。


──そして、二人のやり取りを黙って聴いていたアルマスだったが、ほっとけば静かになると思っていた口論も次第に熱くなり、放置しても一向に治る気配が無いので仕方なく注意する事にした。


「……二人とも」

「「んだよ!?」」

「ご飯は静かに食べましょう……特に孝志、お母さんにそう教わって来たでしょう?」

「う……うん。なんかごめんね?」

「解れば良いんですよ(ニッコリ…………んでアッシュ、貴方は人に出されたモノにいちゃもん付けるなんて何様ですか?文句があるなら自分で料理すれば良いでしょ?」

「わ、悪かった」

「いや、謝れば良いって事でも無いですよ」

「おいっ!コイツと扱いに差があり過ぎるだろッ!?喧嘩両成敗って言葉知ってるかぁ!?」

「あの……アルマス?俺にも悪いところ有ったから、あんまアッシュを責めないでやってくれ……」

「孝志……へっ、お前って奴は……」

「おい、良くわからん所で友情感じるんじゃねーよ!」


終始ふざけ合って居た三人だが……確かに、病人の前で煩くし過ぎたと孝志は少し反省するのだった。


因みに……アルマスは孝志が作ってくれた『無味』のお粥を、それはそれは美味しそうに食べて居たと言う。



──そしてアルマスに注意されたアッシュはこう思った。
『なんで額にう○この絵を描いた女に注意されなければ成らないんだ』……と。


─────────


食事を終えた俺は全員分の食器を片付けた後、食後のコーヒーを楽しもうと段取りをしていた。
場所は台所に移ったのだが、アッシュは相変わらず付き纏って来るからウザい……でも俺より圧倒的に強いから無理矢理離すことも出来ないし……どうしたもんかなぁ~。

なんて事を考えながらも俺は優しいので律儀に三人分のコーヒーを用意するのだった。

あっ、病人ってカフェイン与えて良いんだっけ?
………………まぁいいや。


そして3つのコーヒーカップにコーヒーを注いだタイミングで脳内に例の【音声】が鳴り響く。


『──た、孝志っ!?いま到着したんだけど、どうしたの!?城とか結界が凄いボロボロ何だけどッ!!??』

「あひぃッ!!?」

脳内に呼び掛けて来る声は『危険察知』のスキルとか有るけど、今回の相手はテレサだ。
しかも、この場所で戦闘の形跡があった事に驚いたらしく、物凄い大きな声で話し掛けて来るもんだから思わず飛び跳ねてしまう。

そのリアクションを見ていたアッシュには、テレサの声など聞こえないので俺が突発的に飛び跳ねた様に見えたらしい。
なのでヤバい奴を見る様な目でこっちを見て来る。


「……は、はは……お……おうッ!」

「止めろや、その心底気を遣ったリアクション。一番傷付くから」

変人だと思われたら嫌なので、直接脳内に語りかけられた事と、その人物がアッシュの上司で『魔王』だという事を掻い摘んで話した。
ハッキリ言って魔王との関係を聞いても全く信じて無かったアッシュだったが、俺が魔王についてやたら詳しいので半信半疑程度には信じてくれたみたいだ。

……取り敢えず弁明も済んだので、気を取り直してテレサ脳内通話と向き合う事にする。


「お・ま・た・せ!ちょっと目付きの悪いヤンキーが聞き分け悪くてさ…………あれ?テ、テレサ?」

『…………むぅ……』

反応があまり宜しくないテレサ。
どうやら放置された事に少しむくれている様だ。


『いいよ、どうせ僕はいつだって後回しなんだ。それに今回は城が壊れていたから、本気で心配したのに……』


──電話越しでも解るテレサの不機嫌さに、孝志は少し動揺する。
しかし、通話者になんの断りも無く通話を中断し、別の者と話をするのは非常識なので今回は……いや、今回『も』孝志が悪い──


やべぇな……怒らせちゃったみたいだ。
悪いのは変な目で観てきたアッシュだから、僕は何一つ悪くないよ……?


──それから孝志はどうしたものかと少し考え込むが、いつもの様に頭のおかしい解決策を思い付く。


……テレサは俺にぞっこんだし、口説き文句でも交えて謝れば機嫌直るんじゃないかな?


──と言う事なので取り敢えず、孝志は愛の言葉を囁く事にした。


「えっと……ごめんテレサ。放置しちゃって。それといつも可愛いねテレサは……それと……あと……好きだ」

うん、これだけ言えば機嫌は直っただろう。
絶対イチコロだと思うわ。

そして案の定、念話越しでテレサから黄色い悲鳴が湧き上がった。


『えっっ!?あっ……そんなこと言ったて、ぼ、僕は……孝志のことなんか…………うぅ……嘘でも嫌いだなんて言えないや……ずるいなぁ孝志は……へへ──うん!好きって言ってくれたお礼に許しちゃう!」


…………予想以上にイチコロなんだが……?
てかなんだこの子、毎回毎回いちいち可愛いリアクション取りやがって……!ズルイのはどっちだよ。



──それからテレサの機嫌は大変良くなったので、孝志はテレサにフェイルノートの事を話した。
テレサの部下で、十魔衆のアッシュに襲われた事も告げ口しようか迷ったが、なんかそれを言うと彼が酷い目に遭いそうだったからその件は伏せる。


……だが、それ以外にもテレサとこれからについてきめ細かく話をしたかった孝志は、城の外で直接彼女と会うことにした。










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