普通の勇者とハーレム勇者

リョウタ

文字の大きさ
120 / 217
6章 勇者と、魔族と、王女様

テレサと森を散歩

しおりを挟む


──どうして俺はこんな世界に来てしまったんだろう?
良い子では無かったけど、悪い子でも無かった筈だ……なのにどうしてこんな目に……?

つい先程、アリアンさんに弟になれとか言われた俺は恐怖のあまり失神してしまった。
急にどうしていつも以上に頭がおかしくなってしまったのだろうか?
気になって尋ねてみれば、どうやらオーティスさんの差し金だったらしい。

あの中二病親父……人が折角尊敬してやったのに、アリアンさんを俺へ差し向けるなんて一番やってはいけないことをしやがった。
もう許せない。今度会ったら陰湿な嫌がらせしてやる。

そしてアリアンさんはみてくれだけは良いから、あんな人でも姉になってくれたら容姿だけで友達に自慢出来そうだけど、この世界に友達居ないのでそれも出来ない。
故にアリアンを姉にするとデメリットしかないのだ。


さっきの衝撃がまだ残っており、目を覚ました後も俺はベッドから起き上がれずに居た。

俺が意識を失った直後、アリアンさんは大慌てでかなり貴重な高ランクポーションを飲ませてくれたので気絶からはすぐに目を醒ましたが、やはり姉になったアリアンさんと共に過ごす人生を想像すると怖い。
人間的に好きだけど、それと同時に怖いんだ人間的にホント。


「………………ッ…………ん?」


そして、俺がそうな事を考えながら天井を見上げて居ると、唐突に【あの感覚】に見舞われる。
これは俺がこの世界に来てから良く体験している【なんとなく】の感覚だ。

これにはもう慣れている。
よく分からないが、この【なんとなく】はスキルの一種だろう。
ただ、アルマスに聴いてもこの感覚はアルティメット・マスターズ・スペシャルとは全く関係がない様だ。

加えて危険予測に似ているけどそれとも違うと言ってたし……まぁ良いや、役に立ってるからな。
そもそもフェイルノートに勝てたのはこのスキルと俺の智略によるものと断言しても過言では無い。
幾ら俺が賢いとは言え智能だけではどうしようもない事だってあるんだから。

──そんな感じで便利な【なんとなく】だが……今回、城から少し離れた場所で感知されたなんとなくは少しヤバめだった。

実際その場所へ行かないと何があるのか解らないが、とにかく今すぐその場所に向かわなくてはマズイ。

かと言って一人で城の外へ向かうのも怖いので、俺は躊躇なくある人物の手を借りる事にした。



「テレサ、少し良いか?」

俺は念話越しにテレサへと話掛ける。
彼女はさも当たり前の様に1秒にも満たない速さで応答してくれた。


『──どうしたの?……もしかしてパンツ?』

「尋常じゃないしつこさだなおいっ!!もう良いよその話はっ!!───えっ~とね、今はそんなパンツなんてどうでもいいくらい大変な事が起こりそうなんだ……手を貸してくれないか?」

『そ、そんなパンツって酷くない?』

「いや、酷くない」

『えー…………』

少しショックのテレサだが、ごほんと一つ咳払いをし気を取り直してくれた。


『えっと、大事な話なんだよね?』

「うん、今から少し城の外に出るんだけど、怖いからテレサに守って欲しいんだ……良いかな?」

『ふっふ~ん!そんな恐る恐る聞かなくても答えは即答でOKだよ!むしろ……やっと孝志の役に立てそうで僕は本当に嬉しいよ』

「……ありがとうテレサ。あと、パンツの事はもう忘れてね?黒歴史だからさ」

『それは無理だよ、会った時に絶対見せる』

「ふぁっ!?」


──────────


──そのあと城を出てテレサと合流した俺は、目的へ向かう為、森の中を歩いていた。
しかし、何故かテレサをお姫様抱っこした状態でだ。

彼女は俺と合流した瞬間、有無言わさず飛び付いて来たので思わず咄嗟に抱き留めると、さも当たり前の様に自ら抱っこされて来たのだ。

なので抱っこしているのでは無く、抱っこをさせられている。俺の意思では断じてない。

これがアルマスだと容赦無く落とすのだが、何だかんだ俺もテレサには弱い。
なのでそんな乱暴な事は出来ず、結果、お姫様抱っこしたまま歩く事になってしまったのだ。


──でも、そろそろ限界だ。
主に腕の力が……テレサは小柄とはいえ、ずっと抱き抱えていると手が段々と痺れてくる。
上機嫌そうにしているとこ悪いけど、ここは降りてもらう事にしよう。


「テレサ、悪いけど降りてくれない?」

男としてのプライドが一応はあるので、腕が限界とは言わず降りるように促す孝志。
だが、孝志の体力がカス同然だと知らないテレサは、この申し出を渋る。


「え~?やだぁ~……孝志の腕の中暖かいんだもん──あっ、じゃなくて……実は足が痛く歩けないんだよ~」

「嘘だろそんなの!──あれ?テレサ俺には嘘を付けないんじゃなかったっけ?」

「……こ、これとそれとは別だもん」

「……その発言は嘘を認めている様なものだぞ?」

「ゔっ……な、なんだよ!さっき僕のパンツみた癖にっ!」

「いやいや、勝手に見せて来たんでしょ!?濡れ衣もいいとこだよ!」


──実はそう……俺はついさっき彼女が公約した通りにパンツを見せられていた。
しかも抱っこしている状態だったので逃げ場も無く、パンツを拝観する栄に賜ったのであった。



俺より少しだけ歳上らしいテレサ。
しかし見た目は中学生の妹よりも幼く見え、言動や行動もそんな風に思わせてしまう。
そんな少女が黒いワンピースをめくり上げ強引に白のパンツを見せびらかして来るのだ……純粋なテレサにぴったりの純白な色は彼女にとても似合っており、正直良かった。


これが白では無く、大人の色気を漂わせる黒色だったなら…………いや、それも実に良い。
幼さを隠せない少女が背伸びして履いたであろう黒色のそれは、いやらしくも儚げで俺の視覚を十分に楽しませてくれる事だろう。
加えて、普段テレサが着ている黒色のワンピースとも色合いがマッチし、非常に似合う筈だ。


ただこれが白や黒では無く、あざとさ満載のピンク色だったなら…………いや、それも全然悪くない!良い!
俺から観たらとんでもない美少女のテレサが、可愛らしさを際立たせた色を身に付ける事によって俺の純真をこれでもかと言うほど弄び、さぞ喜ばせてくれる事だろう。


これが白や黒やピンクでは無く、高級感漂わせる金色だったなら───


「──あの、た、孝志?」

「ん?どうした?」

「そ、その……僕のこと……さっきからイヤらしい目で観てない?」

「…………ソンナコトナイヨ」












しおりを挟む
感想 295

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

扱いの悪い勇者パーティを啖呵切って離脱した俺、辺境で美女たちと国を作ったらいつの間にか国もハーレムも大陸最強になっていた。

みにぶた🐽
ファンタジー
いいねありがとうございます!反応あるも励みになります。 勇者パーティから“手柄横取り”でパーティ離脱した俺に残ったのは、地球の本を召喚し、読み終えた物語を魔法として再現できるチートスキル《幻想書庫》だけ。  辺境の獣人少女を助けた俺は、物語魔法で水を引き、結界を張り、知恵と技術で開拓村を発展させていく。やがてエルフや元貴族も加わり、村は多種族共和国へ――そして、旧王国と勇者が再び迫る。  だが俺には『三国志』も『孫子』も『トロイの木馬』もある。折伏し、仲間に変える――物語で世界をひっくり返す成り上がり建国譚、開幕!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...