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7章 普通の勇者とハーレム勇者
シャルロッテの暗躍と七つの魔神具
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~シャルロッテ視点~
「さぁいよいよだわ……」
私は部屋の奥からピンク色の箱を取り出した。
それを開けて中から水晶の形をした球体を取り出す。禍々しい装飾が施されている物体は、ファンシーな箱とは不釣り合い……でも周りの目を誤魔化すには丁度良いのよね~
「……可愛気のなさが主にそっくりだな」
「………ッ」
その光景を間近で見ていたティタノマキア・グレートデビルは、挑発的な言葉でシャルロッテを煽る。
だが言った事は事実。彼の主は見た目に反して可愛らしさなど皆無なのだから……
小馬鹿にされたシャルロッテは無言で大男の足を踏み付ける。当然、幼い少女に踏まれた程度痛くも痒くもない。そんなことシャルロッテが一番良く分かっていたが、それでも踏まずにはいられなかった。
「最近、調子に乗り過ぎでは無いかしら?わたくしは貴方の主なのよ?」
「……うむ、重々承知している。しかし、こうも退屈な時間が続くと嫌味の一つも言いたくなるものだ」
「……面白くない主で悪かったわね」
シャルロッテは不機嫌そうにティタノマキアから顔を背ける。全知全能のスキルを有しているとはいえ【全知全能者】という訳ではない。
スキルを発動していない時は、単なるひ弱な少女に過ぎず、嫌味を言われれば当然頭にも来るのだ。
それでも思考能力は年相応から大きくかけ離れている。すぐに心を切り替えて取り出したモノへと意識を集中させた。
「………それはなんだ?」
そうなって来るとティタノマキアも物体の正体が気になってしまう。詳細を主に問い掛けるが、先程の仕返しと言わんばかりに質問には一切答えようとしなかった。
思考が桁違いに高いとはいえ、こういった所はやはり年相応の少女に違いない。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………知りたいの?」
「ん?そこまで知ろうとは思わん」
「………ティタノマキア、ちょっとしゃがんで頭をコッチに向けなさい」
「ん?こうか?」
──パシンッ!
「…………何故頭を叩く?」
「さっきから生意気だからよ!貴方に力が無ければ潰してるわよ!」
「………それは済まぬ。しかし主よ……案外……いや、何でもない」
「誰がみみっちいですって!?」
「こんな事で能力を使うでない」
その後、ティタノマキアは更に三発叩かれた。手の速さはネリー譲りである。普段ネリーを見下しても姉妹に変わりないのだ。彼女に全知全能のスキルが無ければ第二のネリーに育っていたかも知れない。
────────
「魔神具?……この世界に伝わる7大秘宝という奴か?」
「そうよ」
彼女がファンシーな箱から取り出したモノの正体……それはユリウスやアッシュが有している、あの魔神具だった。
もともとこの世界の住人ではないティタノマキアはその辺の知識には疎い。なのでシャルロッテは律儀に説明を行う。
「まず、この世界に伝わる七つの魔神具……それぞれについて説明するわね?」
「うむ、宜しく頼む」
──まず、一つ目【魔喰剣レーヴァテイン】
剣の形状をした武具。生物の生命力を吸収する霧を周囲に展開させる能力を持つ。また、常時発動している訳ではなく、使用者の任意で効果を発動できる。
更に使用者の能力が高いほど効果範囲が広がり、その力を凝縮させる事で殺傷能力の高い斬撃を放つ事が可能。
しかし、デメリットとして能力発動中は使用者の寿命が削られて行く。持ち主はユリウス・ギアード。
──次に二つ目【聖戒杖ロード・オブ・パラディン】
この杖の能力発動時、使用者を光の衣が覆う。その状態になると魔法効果が十倍になり防御力も格段に向上する。更に杖を通して聖王魔法を発動する事が可能になる。
デメリットは光の衣が過剰に魔力を吸い、一度に消費する魔力量も十倍になる。持ち主はオーティス・アルカナ。
彼の異常な魔力値だと余程戦いが長引かない限り問題にはならない。
──三つ目【断塵刀ベルセルク】
あらゆる防御の概念を打ち砕く長刀。強力な加護、防具、防御魔法もこの剣の前では意味をなさない。
デメリットとして剣の携帯者は防御魔法の補助を受ける事が出来なくなる。持ち主はアッシュ=ディストス。
──四つ目【氷煌牙ブリューナク】
氷を操る特殊な剣。究極の氷属性魔法を遥かに凌ぐ力を有している。アリアンの持つ聖剣シュヴァリエの完全上位互換。もしフェイルノートをこの剣で凍らせていたなら、幾ら魔人と言えど簡単に抜け出す事は出来なかっただろう。
デメリットは魔神具の中では一番致命的で、耐性がなければ所有者自らが氷漬けとなり絶命してしまう。
持ち主は不明だが、シャルロッテは【とある古城】に保管されている事まで調べ上げている。
──五つ目【破砕孔バオウ】
大砲型の武具。一般成人男性一人分ほどの大きさと重さで、持ち運ぶには相当なパワーが必要になる。
高威力・広範囲の弾が込められており、弾数は無制限。ただし砲撃後の反動が凄まじく、並大抵の者は一発たりとも耐える事が出来ない。
デメリットは所有者の魔力が半減し、炎属性魔法を放つ事が出来なくなってしまう。
これも持ち主は不明だが、ブリューナクと同じ古城に保管されている。
──ただ、6つ目の魔神具に関しては詳細不明。
シャルロッテは能力どころか、その形状さえも探し出す事が出来なかったようだ。
「──そして、この【傀儡晶ラギスコントロール】が七つ目の魔神具になるわね」
「……うむ。名前からして嫌な想像が付く。だが敢えて聞こう……それはどういった能力なのだ?」
「ふふ……」
シャルロッテは手に持った魔神具を抱き抱えながら、得意気に説明を始める。
「多分察しの通り……これは洗脳系の能力よ」
「なるほど、人の心が見抜ける主とは抜群の相性であるな」
ティタノマキアの言う通り、シャルロッテとは恐ろしい程の好相性で洒落にならない。だが当然デメリットは有る。
「けどね、対象者は一人だけなの」
「人数制限か」
「そうよ。この魔神具の影響を受けた者は絶対支配下に置かれるわ。まぁ貴方や三大戦力辺りの実力者に対しては効果が薄いけど、大抵の人間は言う通りになるわね」
「なるほど……それで?──今その道具を取り出すという事は、使うべき時が来たという事だろう?」
「ふふふ」
シャルロッテは不気味に笑う。
それをティタノマキアは肯定の笑いと捉える。
「そろそろ、あの人が帰って来る頃だけど、これからはわたくしの傀儡として動いて貰おうかしらね?」
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