精一杯のエゴイスト

宮内

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 彼はランチのサンドイッチのセットを頼み私はアイスティーを頼んだ。
食事が来るまで何を話すのだろうと彼を見つめていた。
よく見ると本当に整った顔立ちだ。
涼しい目元に高い鼻。薄い唇。年上とは思えないほどくすんでいない肌。
飲んだ次の日でこの爽やかさ。
思わずみとれてしまった。

「俺の顔に何かついてる?」
いぶかしげに聞かれた。
「何もついてないです。朝ヒゲ剃ったのかなと思って。」
つまらないことがつい口をついて出た。
「え。」
驚いたように顎の周りを触りながら
「剃ってないや。汚い?」
「いえ。三十代半ばなのに全然そう見えないな。って、見入ってしまいました。お美しいです。」
彼はケラケラと笑った。

「そんなこと聞かれると思ってなかった。」
「すみません。思ったことが漏れちゃいました。」
彼は昨日よりもずっと穏やかな表情で
「なんで?」
「え。二日目にしたらきれいな顔だなぁと思って。」
「昨日は思わなかったの。」
「よく見てなかったので。」
また彼は笑った
「よく見てなかったんだ。岡山ばっか見ていたの。」
彼は私の顔を意地悪そうにのぞき込みながら聞いた。
「どっちも見てなかったかも。」
「無理やり連れてこられたから?」
心の声がまた、漏れ出たかと思った。
「いいえ。違います。」
本当のことは言えない。

心を読まれないように思わず俯く。
「いや昨日の君の態度を見ればわかるよ。張り切ってきたようには全く見えなかった。」
あんな、モテそうな二人相手にさぞや、失礼な話だろう。
「そんなふうにみえましたか?すみません。」
素直に謝った。
和泉の恋の邪魔にならなければいいなぁとふいに心配になる。
「昨日は来て失敗だった。」
まっすぐに聞く彼に
「いいえ。すごく楽しかったです。ありがとうございました。」
「それは本心?」
「本心です。嘘を言う必要はないでしょう。あります?」
「直江さんっていつもそんな感じ。」
椅子の背もたれに体を預け気だるげに聞かれ
「はい。不快でしたか。すいません。」
思わず謝ったけれど、随分はすっぱな言い方になってしまった。

「謝る必要ないよ。心地いい。」
意味がよくわからなくて彼を見返してした。
何が心地いいのだろう。
生意気と言うには歳を食いすぎている。
気の強い女が好きな男もいるが、大概は違うと私は思っている。大抵は気が強いの前に必ず若いのにとか美人なのにって言う枕詞がなければ気が強い女は男にとって、ただのやっかいな女でしかない。

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