精一杯のエゴイスト

宮内

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「岡山のこと気にいった?」
いきなり彼は聞いてきた。なんでそんな発想になるのだろう。私ものほしそうだったのだろうか。

「お二人とも素敵だと思いましたよ。モテますよね?」
なんと聞いていいかもわからず彼の質問の意図もわからず私は質問で返した。

「モテるよ。あいつはすごく。」
「あいつだけじゃなく三島さんもですよね。」
「そうだね。モテなくはないかな。」
何とも言えない空気が流れる中でやっとオーダーした料理が運ばれてきてほっとした。

私は運ばれてきたアイスティーにすぐに口をつけ彼はサンドイッチをほおばった。

「いつも休日は何してるの?」
興味がないのになんで聞くのだろうと思いながらも正直に答えた。

「家事して、買い物に行ったり映画を見たり。」
「映画好きなの?」
「好きですね。」
「映画館に行く?」
「そうですね映画館も好きなので。」
淡々と何気ない世間話のように会話がすすむ。
昨日会ったばかりの人なのに気が付けば気遣いもさしてなく昔からの知り合いのように話していた。

「今度誘ってもいい?」
いきなり聞かれて驚く。社交辞令にしては唐突な気がする。
「何を見るかも聞かないのに誘うんですか。」
氷が解けかけたアイスティーをストローでもてあそびながら顔も見ないで聞いた。

「誘って欲しくないみたいだね。」
「意図が分かりません。」
「君と映画を見たい。」
「はぁ。」
恋愛から遠ざかっているせいか、この人が何を考えているのか全く理解できない。
もういいやと会話を投げ出し彼のランチのサンドイッチをひと切れ勝手につまんだ。

彼がその行為にケラケラと笑いながら
「お腹減ってきた?」
と聞いた。
「手持ち無沙汰だったんで。」
「手持ち無沙汰で食べてると太るぞ。」
意地悪そうに、でも愉快そうに笑いながら彼は言った。
「気をつけます。」
すると彼はさらに笑った。

もう、私に気を使う必要も気にかけているふりをする必要もない。
和泉と岡山さんが付き合っても彼と私が関わりを持つ事は結婚式の友人の挨拶ぐらいだ。
そう思いながらもなぜか少し心地よく、私は残りのサンドイッチをほおばった。
私たちはその後もたわいもない話を続け、彼は興味があるのかわからないが私に質問を続けた。
私は素直に質問に答え続け食事が終わった後もしばしその席にいた。

すっかりランチタイムも終わり店内が静かになった頃会話を切り上げ表に出た。
彼の家と私の家は方向も同じで途中まで店内の続きのようなたわいない会話を続けながら歩いた。
分かれ道に着くとそれではと頭を下げ私は家の方向に向かって歩いた。

こんな偶然あるんだなぁと思いながら家までの道を暑さに負けずゆっくりと歩いた。
その週末は結局買い物にはいかず、気がつけば彼のことを考えていた。
あの人はなんで私にあんなことを言ったのだろう。
そして考えてはやめた。
考えてみても仕方ない。
あんなモテメン私の人生には関係ないのだから。

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