精一杯のエゴイスト

宮内

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 あの日以来スマートフォンを気にすることが確実に増えた。
気が付けば画面を眺めている。
でも、自分から何かメッセージを三島さんに送る勇気はなく、画面を眺めるばかりの日々。
でも、彼はほぼ毎日メッセージをくれた。
『おはよう。』とか『何か食べたいもの見つかった?』とかささやかなやり取り。
でも、それは、私の心を大きく弾ませた。

映画の上映を調べることもこれまで以上に楽しい。
映画そのものもだけど二人で観ることを前提に考えている自分がいる。
三島さんとは最寄り駅が同じなので街で偶然会うことだってあるかもしれない。
そう考えるとこれまで、ただ無難だけを意識して選んできた通勤服もなんだか色あせて見え、仕事帰りに何度か買い物にも出かけた。
自分でも浮かれていることは十分にわかっていた。
『もしも自分の独りよがりだったら。』不安がよぎることもあったが、鏡をみる自分はそのことを差し引いても浮かれていることは間違いなかった。


気がつけば三島さんからの連絡を楽しみに待ちスマートフォンの画面を見る私はおそらく勝手に笑顔になっていたと思う。
私が誘わずとも彼は次の約束を取り付けてくれ八月終わりね週末、私たちは映画にはいかず食事に行った。

それがなぜか特別なことのように思い私は前の時よりももっと洋服に気を使い肌の手入れも怠らなかった。
この間ワンピースを褒められたことが嬉しくて、また別のワンピースを選びそうになった。
でも、それではまるで狙っているみたいだなと思い慌ててカジュアルな服を選び直したりもした。
何度も何度も着替えその日は五分丈の緩やかに袖の広がった紺色のカットソーにカーキのレースの膝丈のタイトスカートをはき、久しぶりにピンヒールのサンダルを履いた。
私は甘い格好があまり似合わないと自分でも自覚している。
本当はふんわりパフスリーブにフレアスカートなどを合わせれば涼しげでかわいいのだろうが、そういう格好は似合わないし、自分の歳を考えると恥ずかしさの方が勝ってやめた。
だから誰かがいつか褒めてくれた少しキレイめな女性らしい格好を気がつけば選んでいた。
私は彼に『きれいだね。』と褒めて欲しかったのだ。
そのために念入りに化粧し、ネイルを塗りなおし、甘い匂いのヘアオイルでしっとりまとまった髪の毛を緩やかにアップスタイルにして待ち合わせの場所に向かった。 待ち合わせ場所に先に着いていた彼は私を見つけるなり手を挙げて微笑みかけた。

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