28 / 63
28
食事の間に彼はしばらく忙しくなると話した。
出張が続いているらしく当分映画も観に行けない事を教えてくれた。
帰ってきたらまた映画を観に行こう。
そう彼は言い残して私たちは別れた。
家に帰って私は何も手に取ることができず、ゆっくりお風呂に入った後ぼんやり昨夜のことを思い出していた。好きな人に抱きしめられて『かわいい』と言われて幸せな気分でいっぱいだった。
でも、一度も彼が私のことを「好き」と言わなかったこと。
ただ、『かわいい』『きれい』と褒めてくれたことを思い出し、なんだかモヤモヤした気持ちが残った。
彼は私のことをどう思っているのだろう。
それは、ささくれのように私の心を侵食し、そのひっかかりは気づかぬうちにムクムクと大きく私の心を覆っていた。
でも昨日の夜のことを思い出すと彼の全ては私に優しくやっぱり幸せな気分の方が勝った。
そしてにやけている自分が恥ずかしかった。
忙しいと言っていた通り彼に会えることはなく、連絡をしてみたかったが、これまで以上に自分からは行動できず、彼から来る連絡に返信する毎日。
でも、彼は連絡を頻繁にくれた。
そのことがただ嬉しくて、不安は消えないものの落ち込むばかりの日々でもなかった。
私は次に会える日には二人の関係をはっきりする勇気が欲しいと自分に自信をつけるべくダイエットや肌の手入れ体の手入れに勤しんだ。
その頃から会社で雰囲気が変わったと言われることが増えて、自分の単純さがおかしくて笑った。
それまで声をかけられなかったような社内の人や取引先の人にまでこれまでの世間話の延長とは思えぬ誘いを受けることも明らかに増えた。
これは自分で思っているよりずっと浮かれているのかもしれないと気を引き締めようとしたけど、三島さんからの連絡がくればつい笑顔になっている自分がいた。
自分の気持ちは色んな予防線を張ってみたところで隠し切れぬほど明らかで、私は彼が好き。
認めてしまえば早く彼に会いたいような、踏み出せる勇気があと少しほしいような、あのお風呂での不安は影を潜め彼にただ会いたくて、どうしようもないほどの恋心はすっかり心や私の生活のほとんどを占領していた。
出張が続いているらしく当分映画も観に行けない事を教えてくれた。
帰ってきたらまた映画を観に行こう。
そう彼は言い残して私たちは別れた。
家に帰って私は何も手に取ることができず、ゆっくりお風呂に入った後ぼんやり昨夜のことを思い出していた。好きな人に抱きしめられて『かわいい』と言われて幸せな気分でいっぱいだった。
でも、一度も彼が私のことを「好き」と言わなかったこと。
ただ、『かわいい』『きれい』と褒めてくれたことを思い出し、なんだかモヤモヤした気持ちが残った。
彼は私のことをどう思っているのだろう。
それは、ささくれのように私の心を侵食し、そのひっかかりは気づかぬうちにムクムクと大きく私の心を覆っていた。
でも昨日の夜のことを思い出すと彼の全ては私に優しくやっぱり幸せな気分の方が勝った。
そしてにやけている自分が恥ずかしかった。
忙しいと言っていた通り彼に会えることはなく、連絡をしてみたかったが、これまで以上に自分からは行動できず、彼から来る連絡に返信する毎日。
でも、彼は連絡を頻繁にくれた。
そのことがただ嬉しくて、不安は消えないものの落ち込むばかりの日々でもなかった。
私は次に会える日には二人の関係をはっきりする勇気が欲しいと自分に自信をつけるべくダイエットや肌の手入れ体の手入れに勤しんだ。
その頃から会社で雰囲気が変わったと言われることが増えて、自分の単純さがおかしくて笑った。
それまで声をかけられなかったような社内の人や取引先の人にまでこれまでの世間話の延長とは思えぬ誘いを受けることも明らかに増えた。
これは自分で思っているよりずっと浮かれているのかもしれないと気を引き締めようとしたけど、三島さんからの連絡がくればつい笑顔になっている自分がいた。
自分の気持ちは色んな予防線を張ってみたところで隠し切れぬほど明らかで、私は彼が好き。
認めてしまえば早く彼に会いたいような、踏み出せる勇気があと少しほしいような、あのお風呂での不安は影を潜め彼にただ会いたくて、どうしようもないほどの恋心はすっかり心や私の生活のほとんどを占領していた。
あなたにおすすめの小説
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
課長と私のほのぼの婚
藤谷 郁
恋愛
冬美が結婚したのは十も離れた年上男性。
舘林陽一35歳。
仕事はできるが、ちょっと変わった人と噂される彼は他部署の課長さん。
ひょんなことから交際が始まり、5か月後の秋、気がつけば夫婦になっていた。
※他サイトにも投稿。
※一部写真は写真ACさまよりお借りしています。
彼の過ちと彼女の選択
浅海 景
恋愛
伯爵令嬢として育てられていたアンナだが、両親の死によって伯爵家を継いだ伯父家族に虐げられる日々を送っていた。義兄となったクロードはかつて優しい従兄だったが、アンナに対して冷淡な態度を取るようになる。
そんな中16歳の誕生日を迎えたアンナには縁談の話が持ち上がると、クロードは突然アンナとの婚約を宣言する。何を考えているか分からないクロードの言動に不安を募らせるアンナは、クロードのある一言をきっかけにパニックに陥りベランダから転落。
一方、トラックに衝突したはずの杏奈が目を覚ますと見知らぬ男性が傍にいた。同じ名前の少女と中身が入れ替わってしまったと悟る。正直に話せば追い出されるか病院行きだと考えた杏奈は記憶喪失の振りをするが……。
愛を知った私は、もう二度と跪きません
阿里
恋愛
泥だらけのドレス、冷え切った食事、終わりのない書類仕事。
家族のために尽くしてきたエカテリーナに返されたのは、あまりにも残酷な追放宣告だった。
「呪われた男にでも喰われてこい」
そう笑って送り出した彼らは知らなかった。辺境伯ゼノスが、誰よりも強く、美しく、そして執着心が強い男だということを。
彼の手によって「価値ある女」へと生まれ変わったエカテリーナ。
その輝きに目が眩み、後悔して這いつくばる元家族たち。
「エカテリーナ様、どうかお助けを!」
かつて私を虐げた人たちの悲鳴を聞きながら、私は最愛の夫の腕の中で、静かに微笑む。
触れられないはずの私が、ただ一人の彼にだけ心も体も許してしまいました
由香
恋愛
男性に触れられると体調を崩す令嬢リリア。
そんな彼女にとって唯一“触れられる”存在は――幼なじみの公爵令息レオンだけだった。
手を取られ、抱き寄せられ、当たり前のように触れられる日々。
それがどれほど特別なことなのか、彼女はまだ知らない。
やがて政略結婚の話が持ち上がり、“触れられない相手との結婚”か、“彼に触れられる人生”かを選ぶことに。
「お前に触れていいのは俺だけだ」
逃げ場のない独占と、甘すぎる溺愛。
これは、触れられないはずの少女が、ただ一人にだけすべてを許していく物語。