精一杯のエゴイスト

宮内

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 勢いだけで歩き出しアパートとは逆の方向に進んでしまっていた。
しばらく歩いて彼からもう見えなくなりそうになった時、彼が追いかけてきた気配を感じた。

私は衝動的に近づいていた駅に入り改札を抜けて入ってきた電車に乗ってしまった。
彼は同じ電車に乗り込み私の車両にやってきた。
私は彼に追いつかれぬよう次の駅で慌てて電車をおり改札に向かった。

こんな子供じみたことどうしてやっているのだろ。
でも、今は彼の顔を見たくないし見られたくない。
改札を抜けてあてもなく進んだその時、通行人の男性にぶつかってよろけた。

まったく前を見ていなかったのでかなりの勢いでぶつかってしまい転びかけた私は相手の男性に抱き留められるかたちになり慌てて体制を立て直しお詫びを言って立ち去ろうとした。
 
「佐和。」
名前を呼ばれ顔をあげるとそこに見知った男が立っていた。
元カレの隼人だった。驚いたけど三島さんが迫っていたから、そのまま走って離れようとしたのに隼人が私の腕をつかんだ。

「どうしたの。どこにいくの。」
「離してください。」
隼人が私を引き寄せ尋ねる。
私は一刻も早くこの場を離れたくて掴まれた腕を振りほどこうと強く身をよじる。
「ひょっとして、俺に会うため?」
場違いで馬鹿げた質問には答えず、ひたすら腕を振りほどく。

「ずっと、ゆっくり話したいと思っていたんだよ。これから夕食でもどう。」
「離してください。」
腕を振りほどこうとして強く手をふっているとよろけ、彼の胸に収まりそうになったその瞬間
「そこで何やってるの。」
けたたましいほどの甲高い女の声が背後でした。
それは四年前私を憂鬱にさせた女の声だった。
まくしたてながら、私達に近づいてきた彼女は私を引っ張り彼から引き離す。
そして、私を突き飛ばした。
尻もちをつきそうになる私を誰かが抱き留めた。
三島さんだった。
 

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