精一杯のエゴイスト

宮内

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「何やっているの。まだ隼人のことを追いまわしているの。」
怒号とともに私に詰め寄る。
「いつまで付きまとうわけ。ずうずうしい。年増の独身女が未練たらしく振られた元カレに。気持ち悪い。知ってるんだから。メッセージ送ったり残業にかこつけて食事に行ったり、おまけにうちの駅まで来るなんてどこまでずうずうしいの。人の夫よ。こうなったら訴えるわよ。出るところに出てあなたの生活なんてめちゃめちゃにしてやる。」
全く身に覚えのないことを錯乱したように喚き散らす。
「やめろ。祐奈。誤解だよ。偶然会っただけだから佐和は関係ないから。」
隼人が間に入った。

「佐和ってなによ。まだそんな、なれなれしく呼んでるの。信じられない。」
彼女の勢いはどんどん加速し鬼気迫るほどまくしたててくる。
「たまたま会っただけだ。」
「たまたま何でこの駅で会うのよ。意味がわからない。それに抱きしめていたじゃない。ふざけないで。この女まだ私を恨んでいるのよ。若い私にあなたをとられたから。こそこそと気持ち悪い。絶対許せない。」
殴られる。
そう思って身がまえた時ブラウスの胸元をつかまれボタンがはじけ飛んだ。
私は、はだけそうになる胸元を必死でおさえた。
行きかう人達が何事かというようにこちらを見ている。それでもお構いなしに彼女は私に詰め寄ってくる。
殴りかかろうとする彼女の腕を三島さんが慌ててつかみ私を自分の胸に抱き寄せてかばった。
彼女は夫に抱きかかえられ
「何やっているんだよ。誤解だって言っているだろ。やめろ。」
隼人は妻を必死でなだめていた。
私はボタンが飛んでしまった胸元を抑えながらどうにかしてこの場を治める方法を考えた。
「警察を呼びますよ。」
意を決して言った。彼女は一瞬動揺したが
「呼べばいいじゃない。捕まるのはあなたよ。」
カバンの中に手をやり電話を取り出した。
すると隼人が慌てて電話をもつ私の手をとろうとした。すると今度は三島さんが隼人の手が私に触れないように自分の胸に引き寄せ
「彼女に触るな。」
と低く言い放った。
隼人は一瞬たじろぎ妻を抱きかかえながらあやすように
「祐奈帰ろう。誤解だから。子供たちはどうしたんだよ。」
とその場を離れていこうとする。
でも、彼女の怒りは収まらず今度は夫に向かい
「あの年増の独身女にまだ未練があるの。私の方が若くてかわいいのになによ。」
彼女は泣きながら夫をバシバシと叩きながら続ける。
私は彼女たちがこの場を早く去ってくれないかと願いながらうつむいて時が過ぎるのを待った。
その間も三島さんは私を自分の胸に抱き留めいてくれていた。

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