精一杯のエゴイスト

宮内

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 私は「サヨナラ」の言葉さえももらえなかった日以来、彼と仕事以外で一切関わりを持っていない。
メールなんてもちろんしてない。

何を言っているのかもわからない状況なのになんでこんな目にあうのだろう。
途方に暮れるような気持ちとそれを上回る腹立たしさがグルグル回った。

それに、こんなところを三島さんに見られたくなかった。
別に彼氏でもない。
先日からのあの感じで、もうこの先彼との関係が発展するわけでもないが、最後がこんなみじめな修羅場なんて。

こんなところに彼がいたことにひどく悲しい気持ちになった。
 
 彼は、今日目撃したことをどう思っているだろう。
知り合って数回の女の修羅場に付き合わされるなんて最悪以外のなにものでもないだろう。
なんて日なのだろう。
言いようもない絶望感にかられてうつむきながらいつの間にか震えていた私は三島さんをみることもできず、ずっとうつむいていた。
 

「彼女だって証拠なんてなにもないんだろ。そう言うのを妄想って世の中では言うんだよ。いい。次あんたら夫婦が彼女になんかしたら、許さないから。もう今日限り仕事以外でかかわらないでね。旦那さんあんたに言っているから。」
背を向けようとしている二人に三島さんが言い放つ。

「その女がいつまでも人の旦那に付きまとうのよ。」
夫に羽交い絞めにされながらもつかみかからんばかりの勢いで彼女が再びこちらに向かって来た。

三島さんは奥さんを鋭い目でみつめ
「奥さんが心配しなくてもあんたの旦那に彼女は勿体ない。どんな負い目があるのか知らないけど、もっと大事なものだけみたら。こんないい女彼女にできたのに大通りで勝手な妄想わめき続けるような女にふら付いて乗り換えたんだとしたら、心配しなくてもそんな男に未練なんてあるわけないから。自分の旦那だけみてろよ。一回やった奴は相手を変えても二回三回やるぞ。」
彼は恐ろしく意地悪な顔で見たことないような勢いでまくしたてると私の手をひいてぐんぐんとすごい速度でその場を去る。

私は、足が絡まりそうになりながらもひっしで彼の手をひかれて歩いた。
事情など何も知らない三島さんが私を抱きかかえ怒り狂う彼の妻に言い返してくれた。好機の目でさらされるその場所から彼は私を連れ出した。

黙って少し離れた場所でタクシーを拾う。
タクシーに乗り込んだ後もずっと私の手をにぎってくれていた。

 タクシーは三島さんのマンションの前に着いた。
三島さんは清算をすませ手をひいて強引にタクシーから私を降ろす。仕方なくタクシーをおり、つながれた手をそっと離しお詫びを伝えた。

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