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「あいつのことまだ好きなの。」
彼はキッチンから自分の飲み物を片手に持ち私の横に座る。
「全然。別れたのも何年も前ですし、メールどころか連絡なんて仕事上だけで。何の関係もないです。ただ職場が同じなのでそれだけです。あんなこと言わせてしまって、迷惑をおかけして本当にすみませんでした。」
泣きそうだった。
でも投げだすわけにはいかない。
泣くわけにもいかないから色んな所に力を入れて精いっぱい話そうとするけれど言葉が続かない。
「俺こそごめん。勝手なこと言っちゃって。」
彼は優しい笑顔で言った。
「いえ。ありがとうございました。」
彼は頭を下げる私をそっと抱き寄せた。
そのとたん涙があとからあとからあふれ出て安心している自分にあらためて気が付く。
私は素直にその腕に甘え彼に体を預けた。
どのぐらいの時間が経ったのかわからないけれど、彼は何も言わずに私をずっと抱きしめていた。
少し気持ちが落ち着き体をそっと離そうとすると彼は私の顔を覗き込みそのままキスをした。
私は抵抗することもせずその優しいキスを受け入れた。
その後もう一度彼は私を抱き寄せしばらく離さなかった。
何度も泊まって行くように勧めたが私は帰ると譲らなかった。
このままこの部屋にいたら私はずっと身勝手に三島さんに甘えてしまう。
「その恰好で夜道を歩かすわけにいかない。」
聞き入れない私に車で送ると彼は車の鍵を持った。
後をついていくとマンションの駐車場に白のSUⅤが停まっていた。
助手席に乗り込むように言われ五分も経たないうちに車は私のアパートに着いた。
私は、お礼をいって車を見送った。
玄関のカギを後ろ手で閉めた後やっとの思いでソファーにたどり着いた。
散々な一日だった。
どのぐらいそうしていたかわからないけれど気が付いたら眠っていた。
薄明るくなった窓の光を感じながら、仕事に行くためにシャワーを浴び、コーヒーを飲んだ。
スマートフォンに三島さんから昨夜あの後『ゆっくり休んで。なにかあったら、いつでも連絡して。』とメッセージが入っていた。
昨日のお礼とメッセージのお礼を手短に返して、着替えて化粧をして仕事に向かった。
その日は最後の夏のあがきのように暑い日だった。
彼はキッチンから自分の飲み物を片手に持ち私の横に座る。
「全然。別れたのも何年も前ですし、メールどころか連絡なんて仕事上だけで。何の関係もないです。ただ職場が同じなのでそれだけです。あんなこと言わせてしまって、迷惑をおかけして本当にすみませんでした。」
泣きそうだった。
でも投げだすわけにはいかない。
泣くわけにもいかないから色んな所に力を入れて精いっぱい話そうとするけれど言葉が続かない。
「俺こそごめん。勝手なこと言っちゃって。」
彼は優しい笑顔で言った。
「いえ。ありがとうございました。」
彼は頭を下げる私をそっと抱き寄せた。
そのとたん涙があとからあとからあふれ出て安心している自分にあらためて気が付く。
私は素直にその腕に甘え彼に体を預けた。
どのぐらいの時間が経ったのかわからないけれど、彼は何も言わずに私をずっと抱きしめていた。
少し気持ちが落ち着き体をそっと離そうとすると彼は私の顔を覗き込みそのままキスをした。
私は抵抗することもせずその優しいキスを受け入れた。
その後もう一度彼は私を抱き寄せしばらく離さなかった。
何度も泊まって行くように勧めたが私は帰ると譲らなかった。
このままこの部屋にいたら私はずっと身勝手に三島さんに甘えてしまう。
「その恰好で夜道を歩かすわけにいかない。」
聞き入れない私に車で送ると彼は車の鍵を持った。
後をついていくとマンションの駐車場に白のSUⅤが停まっていた。
助手席に乗り込むように言われ五分も経たないうちに車は私のアパートに着いた。
私は、お礼をいって車を見送った。
玄関のカギを後ろ手で閉めた後やっとの思いでソファーにたどり着いた。
散々な一日だった。
どのぐらいそうしていたかわからないけれど気が付いたら眠っていた。
薄明るくなった窓の光を感じながら、仕事に行くためにシャワーを浴び、コーヒーを飲んだ。
スマートフォンに三島さんから昨夜あの後『ゆっくり休んで。なにかあったら、いつでも連絡して。』とメッセージが入っていた。
昨日のお礼とメッセージのお礼を手短に返して、着替えて化粧をして仕事に向かった。
その日は最後の夏のあがきのように暑い日だった。
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