精一杯のエゴイスト

宮内

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「俺の奥さん。色々考え過ぎちゃう人だから。きっと考え過ぎてたんでしょ。」
お見通しの三島さんにまた涙が出る。

「だから、今言っちゃった。本当は一応考えていたんだよ。もうちょっとムードとか。」

「でもさ、黙って自分の荷物持ち帰ったりしそうでしょ。佐和ちゃんて。」
それもお見通し。
「幸せじゃなかった?」
不意に真面目な顔になる。胸をギュッと締め付けられて、
「そんなことない。絶対ない。」
そんなことは絶対ないからむしろその逆。
あまりに幸せで。
だから三島さんが終わらせたいのならそれを受け入れていい思い出で終わりたいってエゴがあっただけ。
 
「俺は学習しました。失いたくないものは離さない。そのためには言葉にして伝えるって。」
少し茶化して。
でも、冗談にしない温度がそこにあって本当にギュっとギュっと私を抱きしめた。
 
誰のためにもならないエゴを目一杯巡らせて。
そのことにも気が付かないで。「自分なんて」ってわずかな傷を誇らしげに掲げるみたいに無責任な言葉を使って相手を試してつかの間の安心もどきを手に入れていた私。

どんなに幸せをもらっても、自分自身が幸せになる、させる思考回路を手に入れないとそのエゴでどんどん自分をすり減らして大事なものを失ってしまうところだった。
変わらなきゃ私も。

失いたくないものを手放さないために。
 
 
「私、三島さんのこと信用してないわけじゃないの。でも、傷つきたくない思いが強すぎて。本当に身勝手だよね。私も学習できるように努力する。」
「どんな?」
こんな甘い顔があるのかと思うほど息をのむような眼が私を捉える。
「勝手にグルグル考える前に、気持ちを伝えるように努力します。」
吸い込まれそうで思わず尻すぼみになる。
 
「思ってる以上に俺が好きって気が付てる?」
「今日気が付いた。」
「今日?」
「うん。今日。」
「こんなに面倒くさいしかない人間とずっと一緒にいたいと思ってくれてるぐらい好きって気が付いた。」
三島さんは笑った。

私も笑った。
涙で化粧もすっかり落ちたぐちゃぐちゃな顔で。
声を出して二人笑った。

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