根雪の証

宮内

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 絹糸の卸業を生業にしていた藤原の家三番目の子として私は産まれた。

三つ上には姉がおりその次の兄は二つ上。
姉は初めての子として可愛がられ、兄は跡取りとして大切にされた。

男児を産むことが秀とされた時代。
スペアをと期待の中私は産まれた。
産まれた時から誰に喜ばれることもなくさして気にされることもなかった。

そして、七つ下の弟が生まれた時に私は家での居場所をまた少し失った。
 
三つ上の姉は器量よしで愛想もよく嫁ぎ先を心配する必要など全くなかった。
女学校へ通う頃には既に多くの縁談が届いていたが、父が姉可愛さと吟味を重ね間もなく十八となる頃ようやく貿易業を営む松岡家と結納の運びとなった。
 
松岡家の長男は姉よりも五つ年上で帝国大学を卒業された後家業を手伝われている優秀な方だと噂だった。
 
顔合わせから帰って来た姉は珍しく興奮して私の部屋に来て松岡様の素晴らしさを話してくれた。
 
 
「雪ちゃん。聞いて。誠一郎様はお背が高くてとても凛々しいの。お友達から見目麗し方だと聞いていたから、私本で読んだ王子様を思い描いて少し期待していったのだけど、私が想像したどんな王子様より凛々しいお顔で文乃さんって呼んでくださるのよ。」
 
胸の前で手を組み飛び立たんばかりの勢いの姉の言葉に私はまだ見ぬ義理の兄を想像してまるで自分のことの様に胸が躍った。
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