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想いあっている二人
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初めまして。わたくしはセナ・シェルヴァーと申します。
──そして、さようなら
ガタンッという音と共に彼女の身体と頭が引き離された。引き離された切断面からは赤いものが流れ出ていく。
全ての事が起きたのは今から1年前、彼女が19歳の時だ。
シェルヴァー王国の第一王女。それが彼女の身分だった。
それと同時に平民の子どもだった。
シェルヴァー王国のトップである 陛下は正妃以外との子は彼女しかいなかった。
正妃である王妃は長い時をかけ、陛下との子を5人も産んだ。
しかし王妃は彼女の母親をよく思わなかった。
「汚わらしい平民の分際で」
彼女の母親はそれはそれは大層美しい容姿をしていた。そして その容姿は陛下の目に留まり無理矢理に犯され一夜を過ごした。
その時の陛下はまだ国のトップとしては若く、遊びのつもりだったのだろう。
一回だけなら大丈夫だろうという思いもあった。
だが予期せず彼女のお腹に一つの命が生まれてしまった。
陛下は子が産まれる前に彼女の母親を処分しようと考えた。
しかし何を思ったのか彼女に子を産ませた。
そして彼女──セナは産まれた。
そして、セナが産まれたと同時に母親は亡くなった。
そんな彼女は誰にも愛を感じる事なく育った。
陛下も彼女には何もしなかった。
何をしても褒められず、怒られず、誰からも遠巻きに接しられていた。
彼女が7歳の時だった。
彼女、セナは時々王宮を抜け出しては城下町へと足を運んでいた。
警備が厳しい筈の王宮から抜け出せたのはセナのメイド兼護衛のアンのおかげであった。
アンは国内随一の剣術大会で、僅か14歳という若さで優勝し、大会の最年少優勝者の記録を更新した。
そしてその翌年に産まれたセナ・シェルヴァー殿下の付き人に任命された。
セナとアンとの仲はとても良好だった。
時が経った。
セナに想い人ができた。17歳の時である。
相手は隣国の殿下である。一目惚れだった。
だがその想いは叶うことはない。
何故なら彼はセナの妹、正妃の娘である第二王女と婚約していたからである。
第二王女とセナの関係はそれほど悪いものではない。どちらかというと仲の良い方である。互いに時間があれば一緒にお茶を飲んだりする仲だ。
しかし、第二王女にも想い人がいる。
詳しくは分からないが、お茶会を始めた頃に言われたことがある。
昔から想っている方がいると。名前も知らないその方を私はずっとお慕いしております。と。
実はその方は隣国の殿下であった。
セナは殿下と初めて会った日、少し世間話しをした。そして、恋話になったとき、殿下は言った。
私には、好きな人がいるんだ。
誰かは分からないが、今でもずっと想っている。
昔、この国に来たときに会った方だそうだ。
驚くことに時期が同じだった。
セナは思った。二人は想いあっている。
もう確信の域に達している。
すごい偶然があったものだ。
もはや、必然だったのかもしれない。
二人はまだ、お互いに想いあっていると分かっていない。
──そして、さようなら
ガタンッという音と共に彼女の身体と頭が引き離された。引き離された切断面からは赤いものが流れ出ていく。
全ての事が起きたのは今から1年前、彼女が19歳の時だ。
シェルヴァー王国の第一王女。それが彼女の身分だった。
それと同時に平民の子どもだった。
シェルヴァー王国のトップである 陛下は正妃以外との子は彼女しかいなかった。
正妃である王妃は長い時をかけ、陛下との子を5人も産んだ。
しかし王妃は彼女の母親をよく思わなかった。
「汚わらしい平民の分際で」
彼女の母親はそれはそれは大層美しい容姿をしていた。そして その容姿は陛下の目に留まり無理矢理に犯され一夜を過ごした。
その時の陛下はまだ国のトップとしては若く、遊びのつもりだったのだろう。
一回だけなら大丈夫だろうという思いもあった。
だが予期せず彼女のお腹に一つの命が生まれてしまった。
陛下は子が産まれる前に彼女の母親を処分しようと考えた。
しかし何を思ったのか彼女に子を産ませた。
そして彼女──セナは産まれた。
そして、セナが産まれたと同時に母親は亡くなった。
そんな彼女は誰にも愛を感じる事なく育った。
陛下も彼女には何もしなかった。
何をしても褒められず、怒られず、誰からも遠巻きに接しられていた。
彼女が7歳の時だった。
彼女、セナは時々王宮を抜け出しては城下町へと足を運んでいた。
警備が厳しい筈の王宮から抜け出せたのはセナのメイド兼護衛のアンのおかげであった。
アンは国内随一の剣術大会で、僅か14歳という若さで優勝し、大会の最年少優勝者の記録を更新した。
そしてその翌年に産まれたセナ・シェルヴァー殿下の付き人に任命された。
セナとアンとの仲はとても良好だった。
時が経った。
セナに想い人ができた。17歳の時である。
相手は隣国の殿下である。一目惚れだった。
だがその想いは叶うことはない。
何故なら彼はセナの妹、正妃の娘である第二王女と婚約していたからである。
第二王女とセナの関係はそれほど悪いものではない。どちらかというと仲の良い方である。互いに時間があれば一緒にお茶を飲んだりする仲だ。
しかし、第二王女にも想い人がいる。
詳しくは分からないが、お茶会を始めた頃に言われたことがある。
昔から想っている方がいると。名前も知らないその方を私はずっとお慕いしております。と。
実はその方は隣国の殿下であった。
セナは殿下と初めて会った日、少し世間話しをした。そして、恋話になったとき、殿下は言った。
私には、好きな人がいるんだ。
誰かは分からないが、今でもずっと想っている。
昔、この国に来たときに会った方だそうだ。
驚くことに時期が同じだった。
セナは思った。二人は想いあっている。
もう確信の域に達している。
すごい偶然があったものだ。
もはや、必然だったのかもしれない。
二人はまだ、お互いに想いあっていると分かっていない。
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