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帝国編
第80話 金髪美少女、アンジュとの混浴
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ロイとマナブは指揮棟の大浴場に来ていた。指揮棟は他の棟と違ってスタークの人間は来ないことになっている。
何故なら、東棟にある大浴場は女性専用にして西の大浴場は男性専用にしたからだ。
中央に位置する指揮棟はロイ達筆頭パーティ専用、それ故に安心して浴槽に浸かっている。
「ボス、シラサトさんとはどんな感じなんですか?」
唐突にマナブがユキノについて聞いてきた。マナブはアグニの塔以来、ユキノを"シラサト"の名で呼んでいる。
己への罰と戒めなんだと語っていた。元の世界での想いを捨て、仲間として過ごす決意の表れだった。
たまにソフィアやサリナにも同じ事を聞かれる。だからいつも通りに返す。
「どんな感じも何も、普通だろ?」
「えぇ……告白とか、男女の営みとか、無いんですか?」
いつも女性陣は溜め息を吐いて立ち去るのに、マナブは告白等と言ってきた。何故ここに来て告白なのだろうか……。いつも一緒に寝ているが、それは互いが強くなるための関係が強い。
この間、ユキノが俺と別れて寝ることに異常な拒否反応を見せたのは、浄化不足による"甘え"の誘発と、子供が大好きな人形と離れるのを嫌がるソレと同じ事だ。
「いつも一緒にいるから好きになるってそんなことないだろ」
「シラサトさん……ボスは手強い。頑張って!」
ロイの言葉を聞いたマナブは背後を振り返って握り拳を作っている。ユキノがよくやる"ガッツポーズ"というものだ。
「ユキノに何を頑張れって言ってるんだよ……」
「これ以上は僕からは言えません。ただ、ボスは女性の気持ちを理解して、それとないサインに気付いてあげてください」
「──俺に壮大な悪戯を計画してるってのか!?」
「あ~う~、そうだ! シラサトさんが何を考えてるか、それを当てる訓練だと思って下さい。彼女の計画を暴いてみてください。あ、尋問とか乱暴なのは無しですよ?」
なるほど、目線、表情、言葉尻から相手の思惑を看破する訓練か、夜寝る前に軽くやるだけでも効果ありそうだな。
「当たり前だ、パーティメンバーに暴力などしない。だが、良いだろう……お前の言うとおりやってみる価値はあるかもしれん」
その後は軽く戦略や世界情勢、元の世界の話し等で盛り上がった。マナブは元の世界で軍略を遊びにしたものを網羅していたらしく、とても参考になる充実した会話ができた。
「ボス……僕は逆上せそうなので、もう戻りますね」
「ああ、わかった。マナブの話しはとても参考になる、俺が動けない時とかお前に指揮を任せるのもアリだと思ったよ」
「いやいや、僕には荷が重いですよ。どちらかというとソフィアさんかアンジュさんが適任ですよ。それじゃ、もう戻ります」
マナブが脱衣場へ戻っていく……まだ15分しか経ってないのに、マナブの顔は赤くなっていた。そう言えば、風呂付きの宿では誰よりも先に部屋へ戻った気がする。
──元々、長風呂ができない体質なのだろう。
のんびり寛いでいると、誰かが入ってきた。湯気で視界が悪いが、金髪であることだけはわかった。
恐らく、連れてきたスタークの誰かだろう。大浴場が多い時は指揮棟も使って良いと、前もって言っていたから有り得ない話ではない。
「ふぅ~、戦闘のあとのお風呂は最高ねぇ~♪」
女──だとっ!? 湯気の中でもわかるほど綺麗な金髪……俺が連れてきたのはスターク少数、ユニオンナイト少数、それと影の一族全員、ちゃんと考えれば1人しかいないじゃないか。
それは──アンジュだ!
鍛冶の村シミュートと違って隠れる場所などない。アンジュが視認できる距離まで近付いたのでロイは手で顔を覆ってなるべく見ないように心掛けた。
「あれ? あなた──ロイじゃない、何でここにいるの?」
「何でも何も、今ここは男湯の時間だろ! そっちこそなんで入ってきてんだよ」
アンジュは何か考え事を始めたが、すぐに何かに思い当たったのか「少し待ってて」と言って脱衣場に戻っていった。
「あ、おい! たくっ……」
アンジュはすぐに戻ってきた。
「お待たせ、もう大丈夫だから手で隠さなくても良いよ」
その言葉を信じて視界を元に戻すと、タオルを身体に巻いたアンジュの姿が映し出された。
金髪はお団子型にまとめられており、タオルが外れそうなほど胸が大きいので北半球が外に出たそうに盛り上がっている。
水分を含んでしまったのか、タオルは身体にピッタリ張り付いていて、ヘソの穴から括れまでくっきりボディラインが浮かび上がっている。
少し見惚れたロイは頭を振って我に返り、自らが出ようとした。
「ちょっと、付き合ってよ。あなたなら気にしないから」
「俺が気にするっての!」
「まぁまぁ、ほらほら、戻った戻った」
腕を掴まれて浴槽に引き戻される。隣り合って座るのだが、左を向いたら溢れそうな乳房が目に入るので真っ直ぐ前を向いている。
「ねぇ、ロイ君って呼んで良い?」
「いきなりなんだよ、呼び捨てじゃ駄目なのか?」
「もぅ、質問に質問で返すの悪い癖だよ。他の子と違った呼び方したいって乙女心を察して欲しいなぁ~」
なんだろ、完全にそう言うキャラじゃないと思っていただけに非常にむず痒い感覚に陥る。
いや、予兆は確かにあった。日常でこちらをジーっと見ていたかと思えば何も言わず、されど何か言いたそうな空気を醸し出すことが多々あった。
「さて、もう出るか」
ガシッ!
「さりげなく出ようとしない」
腕を持って引き戻されるが今度は腕を組まれるペナルティ付きとなった。
「おい、腕にちょっと当たってるんだが」
「ふふ、鉄仮面というわけじゃないんだね」
「他のやつが来たら困るだろ」
「来ないよ。だって入口を土魔術で塞いだし、マナブは私とすれ違ったからここにも来ない、パルコはアレを突破できない、あなたと私は二人っきりというわけだよ」
「ほ、他の女性陣が──」
「だから来ないって。壁は色から質感まで同化させたから。それに、これはお詫びでもあるの……ロイ君ちゃんと午後は男って、確かに説明してたよね。誰かが札を女に変えてたけど、説明覚えてたら入らなかった。だから、ごめんね」
ギュッと更に腕が密着してロイは唇が震え始める。
「俺は気にしない、どちらかというと得だったし、謝罪も済んだろ? よし! 出るか」
──ムニュ。
「放してくれ、俺が男ってわかってるのか?」
「知ってる、本音はさ、良い機会だから二人だけで話したかったの。そこまで嫌がるなら解放しても良いけど……」
アンジュは腕を絡めつつも悲しげな表情を浮かべている。
確かに、アンジュと腹割って話す機会はなかった。イグニア邸でも日常最低限の会話しかしなかったし、言われてみると良い機会だと思った。
それにアンジュは国王に、いや、実の父親に死んだことにされている。ユニオンナイトがいるから安心だ、そんな考えはよくない。
頭に手を置いて"わかった"という意思表示をすると、少しだけ微笑み、2人して浴槽に浸かる。
「──ふふ、ありがと! ロイ君」
そうしてロイは、アンジュとの混浴を継続することになってしまった。
何故なら、東棟にある大浴場は女性専用にして西の大浴場は男性専用にしたからだ。
中央に位置する指揮棟はロイ達筆頭パーティ専用、それ故に安心して浴槽に浸かっている。
「ボス、シラサトさんとはどんな感じなんですか?」
唐突にマナブがユキノについて聞いてきた。マナブはアグニの塔以来、ユキノを"シラサト"の名で呼んでいる。
己への罰と戒めなんだと語っていた。元の世界での想いを捨て、仲間として過ごす決意の表れだった。
たまにソフィアやサリナにも同じ事を聞かれる。だからいつも通りに返す。
「どんな感じも何も、普通だろ?」
「えぇ……告白とか、男女の営みとか、無いんですか?」
いつも女性陣は溜め息を吐いて立ち去るのに、マナブは告白等と言ってきた。何故ここに来て告白なのだろうか……。いつも一緒に寝ているが、それは互いが強くなるための関係が強い。
この間、ユキノが俺と別れて寝ることに異常な拒否反応を見せたのは、浄化不足による"甘え"の誘発と、子供が大好きな人形と離れるのを嫌がるソレと同じ事だ。
「いつも一緒にいるから好きになるってそんなことないだろ」
「シラサトさん……ボスは手強い。頑張って!」
ロイの言葉を聞いたマナブは背後を振り返って握り拳を作っている。ユキノがよくやる"ガッツポーズ"というものだ。
「ユキノに何を頑張れって言ってるんだよ……」
「これ以上は僕からは言えません。ただ、ボスは女性の気持ちを理解して、それとないサインに気付いてあげてください」
「──俺に壮大な悪戯を計画してるってのか!?」
「あ~う~、そうだ! シラサトさんが何を考えてるか、それを当てる訓練だと思って下さい。彼女の計画を暴いてみてください。あ、尋問とか乱暴なのは無しですよ?」
なるほど、目線、表情、言葉尻から相手の思惑を看破する訓練か、夜寝る前に軽くやるだけでも効果ありそうだな。
「当たり前だ、パーティメンバーに暴力などしない。だが、良いだろう……お前の言うとおりやってみる価値はあるかもしれん」
その後は軽く戦略や世界情勢、元の世界の話し等で盛り上がった。マナブは元の世界で軍略を遊びにしたものを網羅していたらしく、とても参考になる充実した会話ができた。
「ボス……僕は逆上せそうなので、もう戻りますね」
「ああ、わかった。マナブの話しはとても参考になる、俺が動けない時とかお前に指揮を任せるのもアリだと思ったよ」
「いやいや、僕には荷が重いですよ。どちらかというとソフィアさんかアンジュさんが適任ですよ。それじゃ、もう戻ります」
マナブが脱衣場へ戻っていく……まだ15分しか経ってないのに、マナブの顔は赤くなっていた。そう言えば、風呂付きの宿では誰よりも先に部屋へ戻った気がする。
──元々、長風呂ができない体質なのだろう。
のんびり寛いでいると、誰かが入ってきた。湯気で視界が悪いが、金髪であることだけはわかった。
恐らく、連れてきたスタークの誰かだろう。大浴場が多い時は指揮棟も使って良いと、前もって言っていたから有り得ない話ではない。
「ふぅ~、戦闘のあとのお風呂は最高ねぇ~♪」
女──だとっ!? 湯気の中でもわかるほど綺麗な金髪……俺が連れてきたのはスターク少数、ユニオンナイト少数、それと影の一族全員、ちゃんと考えれば1人しかいないじゃないか。
それは──アンジュだ!
鍛冶の村シミュートと違って隠れる場所などない。アンジュが視認できる距離まで近付いたのでロイは手で顔を覆ってなるべく見ないように心掛けた。
「あれ? あなた──ロイじゃない、何でここにいるの?」
「何でも何も、今ここは男湯の時間だろ! そっちこそなんで入ってきてんだよ」
アンジュは何か考え事を始めたが、すぐに何かに思い当たったのか「少し待ってて」と言って脱衣場に戻っていった。
「あ、おい! たくっ……」
アンジュはすぐに戻ってきた。
「お待たせ、もう大丈夫だから手で隠さなくても良いよ」
その言葉を信じて視界を元に戻すと、タオルを身体に巻いたアンジュの姿が映し出された。
金髪はお団子型にまとめられており、タオルが外れそうなほど胸が大きいので北半球が外に出たそうに盛り上がっている。
水分を含んでしまったのか、タオルは身体にピッタリ張り付いていて、ヘソの穴から括れまでくっきりボディラインが浮かび上がっている。
少し見惚れたロイは頭を振って我に返り、自らが出ようとした。
「ちょっと、付き合ってよ。あなたなら気にしないから」
「俺が気にするっての!」
「まぁまぁ、ほらほら、戻った戻った」
腕を掴まれて浴槽に引き戻される。隣り合って座るのだが、左を向いたら溢れそうな乳房が目に入るので真っ直ぐ前を向いている。
「ねぇ、ロイ君って呼んで良い?」
「いきなりなんだよ、呼び捨てじゃ駄目なのか?」
「もぅ、質問に質問で返すの悪い癖だよ。他の子と違った呼び方したいって乙女心を察して欲しいなぁ~」
なんだろ、完全にそう言うキャラじゃないと思っていただけに非常にむず痒い感覚に陥る。
いや、予兆は確かにあった。日常でこちらをジーっと見ていたかと思えば何も言わず、されど何か言いたそうな空気を醸し出すことが多々あった。
「さて、もう出るか」
ガシッ!
「さりげなく出ようとしない」
腕を持って引き戻されるが今度は腕を組まれるペナルティ付きとなった。
「おい、腕にちょっと当たってるんだが」
「ふふ、鉄仮面というわけじゃないんだね」
「他のやつが来たら困るだろ」
「来ないよ。だって入口を土魔術で塞いだし、マナブは私とすれ違ったからここにも来ない、パルコはアレを突破できない、あなたと私は二人っきりというわけだよ」
「ほ、他の女性陣が──」
「だから来ないって。壁は色から質感まで同化させたから。それに、これはお詫びでもあるの……ロイ君ちゃんと午後は男って、確かに説明してたよね。誰かが札を女に変えてたけど、説明覚えてたら入らなかった。だから、ごめんね」
ギュッと更に腕が密着してロイは唇が震え始める。
「俺は気にしない、どちらかというと得だったし、謝罪も済んだろ? よし! 出るか」
──ムニュ。
「放してくれ、俺が男ってわかってるのか?」
「知ってる、本音はさ、良い機会だから二人だけで話したかったの。そこまで嫌がるなら解放しても良いけど……」
アンジュは腕を絡めつつも悲しげな表情を浮かべている。
確かに、アンジュと腹割って話す機会はなかった。イグニア邸でも日常最低限の会話しかしなかったし、言われてみると良い機会だと思った。
それにアンジュは国王に、いや、実の父親に死んだことにされている。ユニオンナイトがいるから安心だ、そんな考えはよくない。
頭に手を置いて"わかった"という意思表示をすると、少しだけ微笑み、2人して浴槽に浸かる。
「──ふふ、ありがと! ロイ君」
そうしてロイは、アンジュとの混浴を継続することになってしまった。
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