【コメディ】ルーズな伝言

ハリー

文字の大きさ
1 / 2

その1

しおりを挟む

「お兄ちゃん。」

ん?

「お兄ちゃん!」

え?

「お兄ちゃん、起きた方がいいよ!」

ねずっち子か、どうした?

「煉愛ちゃんが怒ってるよ!」

お、ああああああああ!そうだった。列車の中だった!昨夜、恋人の煉愛ちゃんから、母さんに会いに行くなんて
留守電があったから驚いたよ。

『伝二郎さんのご実家に伺いたく、朝の列車で出発します。お義母さんに会いに行きます。』だけなんて、メッセージがざっくり過ぎるよ。

こっちは昨夜も深夜残業だったっていうのに。今日も朝早いし、眠いんだよ。勘弁してよ。

「あなたが『結婚しよう!』って言ってくれないからいけないんです、寅次郎さん!」

「伝二郎です!僕は定職に就かないで、全国を気ままにふらふらしてる人じゃないですよ!」

「そうだよね、寅次郎さんだったら『煉愛ちゃん、俺はしがない旅回りだけど、一緒に付いてきてくれるかい?』
なんて言ってくれるもんねー。」

「そうかな?」

「そうよ!『女を泣かしたら男がすたるってもんだい!』って、言ってくれるわ!」

「でも、あの人も自分の事になるとめっぽう弱いよね。」

「そこは私が押し切るからいいの!」

「ね、煉愛ちゃん、怒ってるでしょ!。」

そうだな、もう充分、分かったよ、ねずっち子。で、何でお前がここにいるんだよ。

僕は化屋伝二郎。化学メーカーに務めるサラリーマン。向かいに座っている人は、恋人の杏木煉愛ちゃん、電機メーカーのOLさんです。

僕と煉愛ちゃんは学生の頃からのお付き合いで、そろそろ6年くらい経ったかな。煉愛ちゃんは実家でご両親と
暮してます。もう僕も何度かおじゃましてるんだけど、優しいご両親です。

そして、何故か隣に僕の妹のねずっち子。僕らは実家から離れて、こっちで二人で暮らしてます。ねずっち子は短大に通う2年生で、独り暮しさせる訳にもいかないんで、僕の預かりになってます。

ちなみに『ねずっち子』てのは、あだ名です(当たり前か。)。本人が、かの謎解き名人にいたく憧れて、回りにそう呼ばせてます。

昨日、残業が終わってやっと帰宅したら珍しく留守電が入ってたんだ。母さんかなと思ったけど、メッセージを聞いたらさっきの煉愛ちゃんの伝言だったんだよ。何言ってんだよ、煉愛ちゃん!急いで連絡とって、説得するも『行きます!』の一点張りなんだ。

仕方なく今日は有休を取って一緒に列車で里帰り知る事になったよ、何故か妹付きで。煉愛ちゃんとのお付き合いは長いけど、まだ俺、社会人になって何年も経ってないし、、、

「はーい。」

なんだよ、ねずっち子。

「優柔不断なお兄ちゃんと掛けて、奈良の大仏ととく!」

その心は?

「いつまでたっても、座したままで立ち上がりません!ねずっち子です!」

うるさいよ!何を俺でなぞかけやってんの!なんでお前が付いてくるんだよ。

「いいぞ、ねずっち子ちゃん!」

煉愛ちゃんも褒めなくていいよ。こいつ褒めると調子に乗るから。

それに、急に『結婚しよう!』って言っても、出来るわけないじゃん。

「急じゃないですー。前から言ってますー。」

そうかもしれないけど、今まで全然、真剣に話してないし、、、

「はーい。」

なんだよ、ねずっち子。

「女心が分からないお兄ちゃんと掛けて、スタートに失敗した本命馬ととく!」

その心は?

「この先が不安でしょうがありません!ねずっち子です!」

うるさいよ。お前は何しに来たんだよ!何で同じ列車に乗ってるんだよ!

「そうだよねー。裕次郎さんには困りますねー。」

「伝二郎です!僕はそんな昭和の大スターじゃありません!」

「あ、そうだった!あの方と間違えるなんて、私ったら何てこと!天国の裕次郎さん、ごめんなさい!」

「きっと裕次郎さんもいちいち女子のボケまで怒らないから大丈夫だよ。」

「でも『大門、あのホシを挙げてこい!多少、荒っぽくても構わんぞ!俺が責任を取る!』って命令が下されて、その結果、大門さんが『判りました。もしもの時は宜しくお願いします!』って事になって軍団の出動になったらどうしよう?」

「きっとお二人とも、天国から『冗談だよー。』って言ってくれますよ。」

煉愛ちゃんもねずっち子も言いたい事、言ってくれるよ、全く!はあ、そろそろ母さんに連絡取らないといけないよなー。

母さんだって急に『彼女連れてきたよー。』って言われたらびっくりするよ。『え、掃除も何もしてないよ!どうすんのよ、バカ!』って、僕が怒られるよ。気が重いなー。

「お義母さんにお会いしたら、私からいままでのお付き合いの経緯からなにから、全部話しますー。」

そう言ったって母さんだって寝耳に水でびっくらぽんだよ。

「びっくらぽんだろうが、びっくらパンだろうが、説明して納得してもらいますー。」

でも、急に言われたって母さんも同意できないと思うよ。

「その時は私が戦います!」

戦うって、何を戦うの?

「はーい。」

なんだよ、ねずっち子。

「女の戦いと掛けて、出産が近いととく!」

その心は?

「周りは見てるだけで、心の中で応援するだけにしましょう!ねずっち子です!」

そうかよ!それでいいのかよ!

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。 漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。 陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。 漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。 漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。 養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。 陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。 漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。 仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。 沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。 日本の漁師の多くがこの形態なのだ。 沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。 遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。 内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。 漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。 出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。 休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。 個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。 漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。 専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。 資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。 漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。 食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。 地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。 この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。 もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。 翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。 この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

ママはヤンママ女子高生! ラン&ジュリー!!

オズ研究所《横須賀ストーリー紅白へ》
キャラ文芸
神崎ランの父親の再婚相手は幼馴染みで女子高生の高原ジュリーだった。 ジュリーは金髪美少女だが、地元では『ワイルドビーナス』の異名を取る有名なヤンキーだった。 学校ではジュリーは、ランを使いっ走りにしていた。 当然のようにアゴで使われたが、ジュリーは十八歳になったら結婚する事を告白した。 同級生のジュリーが結婚するなんて信じられない。 ランは密かにジュリーの事を憧れていたので、失恋した気分だ。 そう言えば、昨夜、ランの父親も再婚すると言っていた。 まさかとは思ったが、ランはジュリーに結婚相手を聞くと、ランの父親だと判明した。  その夜、改めて父親とジュリーのふたりは結婚すると報告された。 こうしてジュリーとの同居が決まった。 しかもジュリーの母親、エリカも現われ、ランの家は賑やかになった。

処理中です...