ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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天空大陸~終わりの始まり

東の東魔、西の魁西、南の魅波、北の北魘

「単刀直入に聞きたい。
君はあの山で何をしていた。
というよりもどうやって入った?
一応あの山…霊峰は我らが管轄していて、限られた時期や"挑戦者"が現れた時位しか開かん神聖な地なのだ。(鬼桜)」


鬼桜の仲間か配下であろう者達がノアの寝床の周りに座した辺りで質問を飛ばしてきた。

簡単に言ってしまえば進入禁止区域にどうやって入ってきたのかを聞きたい様だ。


「あのー、えーっと…変な事を言ってるのは重々承知してるのですが、山がどうとか以前に自分が今何処に居るかも分かってない状況でして…」


「記憶を失っているのか?(魁西カイセイ)」


「いえ、そういう訳では無いのですが、ここまでの経緯があまりに突飛なもので、自分でも飲み込むまでに時間を要すと言いますか…」


「坊やぁ?
包み隠さず正直に話して欲しいだけなの。
何かやましい事考えてて言葉を濁そうものなら…(魅波ミナミ)」

チキ…(脇差チラリ)


「あーいえ、言葉を濁すというか、どう説明したらいいかと言葉を選んでるんです…
ここまでの経緯を正直に話したら多分頭おかしい奴だと思われるでしょうから…」


「良い良い。
ここに居る連中は俺等含めて頭のネジが吹き飛んでる奴等ばかりだ。申せ申せ。(東魔アズマ)」

「殺すぞ東魔。(魅波)」


正直に話すべきかを悩むノアだが、話を進める為にも諸々を掻い摘んで経緯を話すのだった。





「皆さん【勇者】について何か知ってますか?」


『『『『『ざわ…』』』』』

「…知ってると言えば知っている。
隣の大陸にある大国らしいが、しでかした内容で言えば【魔王】よりもえげつないと…
む?どうしたのだ?(鬼桜)」


「ぃぇ…」(項垂れるノア)


話の切り出しに【勇者】を選択するノア。
どうやらこの者達の耳にも【勇者】に関する情報は入っていた様だ。

だが鬼桜の返答を聞いていたノアは、突然ガックリと肩と気を落とす。

何せ


(…隣の大陸て…本当に何処なんだよここ…)


しれっと鬼桜から溢れた"隣の大陸"という言葉にダメージを受けていた。

山や川、たとえ湾を挟む距離だとしても普通は"隣の国"と呼ぶものだが、彼等が"隣の大陸"と言うのなら、それだけ距離が離れてしまったのだと言う事を痛感させられたのだった。


「何と無く…何となーくですけど、メッチャクチャ遠い所に来ちゃったんだなーって気付いちゃったもんで…」


「新天地と思って居着くのもいいんじゃね?
家探し手伝ってやろうか?(東魔)」


「いえ、何が何でも帰ります…」


ダメージを食らったノアが話を再開するのに暫し時間が掛かってしまった。





~10分後~


「…で、気が付いたら雪山に転がっていた訳です。」


【勇者】→忌み地→地獄→異形雑兵→『あび』→雪山と順序立てて説明。

普通に聞いていたら何かの創作ではと疑われそうなものだが、鬼桜や仲間達は静かに聞いていた。

ノアが話を終えると最初に口火を切ったのは鬼桜だった。


「ちょっと厠へ行こうかな。(鬼桜)」スク…


「へ?」


「そうだな。(魁西)」スク…
「私も。(魅波)」スク…
「俺も。(東魔)」スク…

「少年は起き抜けであろう、もう少し寛いでいてくれ。(鬼桜)」


「あ、はい…」


鬼桜がトイレへ向かう意向を示すと、他の3人も示し合わせたかの様に鬼桜の後を追う様に立ち上がり、並んで部屋を後にした。


『『パタン』』(襖が閉じる)

「あぁっ…!絶対変な奴だと思われた…!
でも本当なんだからしょうがないよなぁ…!」

にゃ~お。ナデナデ


襖が閉まるや、頭を抱えて身悶えるノア。
愛猫のニャーゴは座布団に横たわりながら、そんな主人に片腕を伸ばして慰める様に撫でていた。





~寝床と反対側の玄関~


「どう思う皆の者?(鬼桜)」

「まぁまず嘘は言ってないわね。
地獄は兎も角、異形の存在を知ってるのは実際に行ってるか"出て来た"奴を見た事ある奴だけだし。(魅波)」

「そうだな。
それと話の通りならあの少年、かなりの腕達者だぞ。(魁西)」

「『婿入り潰しの魅波』の殺気当てられて平然としていたからなぁ。
防具の"造り"が周辺地域の物じゃねぇし、明らか隣の大陸であるのは間違いないだろう。(東魔)」


ノアの想像とは裏腹に、経緯を聞いた4人は概ね信じている様子。


「【忍】の者は居るか?(鬼桜)」

スタ

「ここに。
いやぁ、あの少年かなりの者ですな。
16間程の範囲に潜めども容易に気付かれまする。変に姿を消して怪しまれるより、逆に姿を現していた方が良いかと思われますな。(【忍】)」


鬼桜が不意に誰かを呼ぶと、忍装束に身を包んだ【忍】が隣に。
文字通りノアの周辺に忍ばせ探りを入れていた様だが、詳細に調べるのは難しかったらしい。


「ふむぅ…
そういえば"霊峰王殿"は如何か?(鬼桜)」

「『経緯はどうあれ、これ程早く会えるとは思わなんだ』と上機嫌であられた。
"霊峰王殿"はあの少年の事を知っている様子。一度相対させてみては…?(【忍】)」

「うむ…その方が手っ取り早いやも知れんな。(鬼桜)」


配下の【忍】は"霊峰王"なる存在との連絡係としての役割も担っているらしく、ノアがここに来て以降頻繁に山とを行き来しているらしい。


「そういえば北魘ホクヨウが来ていないが、やはり体調が芳しく無いのか?(魁西)」


「えぇ…
ですが久し振りの四方の招集という事で、遅れてやって来る様です。(【忍】)」


「ちょ…大丈夫なの?
こういう時には適任かも知れないけど、また寝込む事になったら大変よ?(魅波)」


この場には鬼桜を除いて東魔(東)、魁西(西)、魅波(南)という三方を担う3人が集まっている。

ノアは四方が治める霊峰のド真ん中に出現してしまったので招集命令が出ていたのである。

が、この場に残りの北魘(北)なる人物が遅れてやって来るらしい。


「体力が付いたら効果の高い生薬や錬金薬を投薬するとの事ですが…
部下の報告では落ち込む一方だとか…(【忍】)」


『『ガラガラ…』』(玄関)

「サイゾー、本人の耳に入る領域で辛気臭い話はやめてーな。(北魘ホクヨウ)」

「ほ、北魘様!?(【忍】)」

「魅波ちゃん?
救助した子に『婿入り潰し』の殺気ぶつけたってホント?
ダメよ?そうやって人を試そうとするん。(北魘)」

「うぇ!?聞こえてた!?(魅波)」


話の中に出て来ていた残りの北魘なる人物が玄関から入って来た。

背を曲げて白髪の長髪を垂らし、着物の上から厚手の毛布を被った変わった若い女性であった。


「あっ!ねぇねぇ猫様居るじゃん!
もしかしてその助けた子の子!?(北魘)」

「え?う、うむ。
北魘?あまり興奮しては…(鬼桜)」

「しかも見た事の無い種類!会って触ってみても大丈夫かなぁ!?(北魘)」

「物腰柔らかな少年だから多分大丈夫だと…
それよりも興奮すんなて…(魁西)」


猫に対して興奮を示すその北魘なる女性に対し、周りは何かを察して宥めようとするが、落ち着く様子が無い。


「むほほ!猫様は我が生き甲斐!
新種とあらば会っ『『ゴフッ!』』(北魘)」

『『ビチャチャッ!』』(吐血)

「あぁああっ!"姫様"っ!(鬼桜)」

「ほら言わんこっちゃねぇ!お付き!早よ来い!(東魔)」
「身体弱いんだから興奮すんなって言われてんだろーがぁ!(魁西)」
「サイゾー!布団用意して!(魅波)」

「直ちに!(【忍】)」

「あああ!猫様ぁ~!(北魘)」


人ん家の玄関が血塗れになっててんやわんやしている事をノアは知らない。


(何か騒がしいな…)
にゃ~ご。ゴロゴロ 
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