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旅立ち~オードゥス出立まで
新人冒険者と調査隊員
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中層3階に到達した新人冒険者と調査隊員5人という端から見ても何だこれは、と思う組み合わせである。
「ではモンスターを見付けた場合は手出し無用でお願いします。」
調査隊員らの了承を貰った所で盾鹿の反応を感知。
盾鹿の方もこちらに気付いてる様なので背中から弓を取り出し、軽く射る。
カシュッ!
盾鹿が角を下げ、迎撃態勢に入った所で<忍び足>を発動し急速接近。
ゴッ!
盾鹿が矢を盾角で受け止めた頃には真横まで接近し終えている。
ズバッ! ドシャッ!
首を撥ねられた鹿の体が崩れ落ちる、ノアの後方少し離れた位置に同様の盾鹿の反応があったので<集中>を発動、振り向き様に剣をぶん投げる。
これを盾鹿は盾角で迎撃しようとするが、当たった瞬間角を貫き、勢いそのままに首に深々と突き刺さり地面に縫い付けられたので直ぐに駆け寄り首を撥ねる。
更に前方に盾鹿がいるがノアの視線に気付き逃げの姿勢に入ったので<集中><投擲術>を発動し、逃げる盾鹿に向かって放物線を描く様に剣を投げる。
ビュオンッ! ドッ! ギュギギッ!
ノアの投げた剣は盾鹿の胴体を貫いた勢いのままダンジョンの壁に突き刺さる。
続けざまに剣をもう1本投げ、完全に首を両断する。
<す、凄ぇ…盾鹿をあんないとも容易く倒すなんて…>
<彼の戦い方もそうだがあの剣は何だ?あんな使い方したら直ぐに使い物にならなくなるぞ?>
<やっぱり俺らの時は軽くあしらわれてたんだな…>
隊員達の感想等が聞こえてくるが、奥から知らない反応が2つ。
(4足歩行で近付いてくるアイツは何だ…?体高の段階で自分と同じ位あるぞ…)
木々の間を縫う様に現れたのは巨大な猪だ。
ノアに近付くやいなや怒気をはらんだ息遣いのあと突進を開始する。
突進中は木は根元からもがれが岩は砕いて構わず突進してくる。
ノアまであと僅かと言う所で回避する。
猪はゆっくりとノアに向き直り突進を仕掛けて来ようとしたので急速に顔の前まで接近し、ショートソード程の長さがある牙を掴む。
「おい!君!?力比べのつもりか?止めておけ!見ただろう?さっきの突進力を!」
調査隊員達もノアの行動に制止を呼び掛けるが両者共に動かない。
が、両者共足が地面に深々とめり込んでいる。
「ぐ、ぎぎぎぎ…」
フゴッ!フグッ!ォアッ!
<嘘だろ!?拮抗してるだと!?>
<いや待て!>
猪の方を見ると顔が徐々に傾いていく、ノアが牙に力を込め、倒しに掛かる。
が強烈な力で顔を振り、ノアの拘束を解く。
ノアは後ろへ大きく下がるとその場で仁王立ちをする。
先程よりも更に怒気を高め突進を仕掛ける。
正面にノアを捉え猛然と迫る。
ノアはピクリとも動かず睨み付ける。
猪とノアとの距離が2歩分まで迫った所で右斜め前に向かって右足を大きく踏み込む。
猪とすれ違いざま、腰を切って左の阿羅亀噛を抜刀、猪の左前脚を両断、左後ろ脚を大きく斬り裂く。
脚を失った猪は堪らず転倒、痛みから耳をつんざく様な咆哮をあげる。
ノアは倒れ伏す猪の元まで向かい一撃で仕留める為、地面ごと斬る様に大振りで振り抜く。
大量の血飛沫を噴き出して猪は絶命した。
<あ、『暴れ猪』を単独で討伐するなんて…>
<普通はパーティで討伐するモンスターだぞ…>
『暴れ猪』…通常の猪より巨大に、そして狂暴的になった猪。
他者の気配を感じ取っただけでも怒りに身を震わせる程である。
暴れ猪を回収しつつ奥にいるもう1つの反応に注視していた。
ノアの戦闘中も乱入してくる事無くただ静観していたが、暴れ猪討伐後はゆっくりとだがこちらに近付いてくる。
のそりのそりと歩いて来るがこの段階で既に体高が暴れ猪よりも巨躯である事が窺える。
<おいあれって『バトルベア』じゃないか?>
<出現するのは中層下部からじゃなかったか?>
遠くから隊員達の困惑混じりの会話が聞こえるが今は無視だ。
(『バトルベア』か…こいつは面白い生態をしているからよく覚えてる。)
『バトルベア』…通常の熊以上に巨体で攻撃力、防御力共に桁外れに上がっているが闇雲に襲って来る事はなく、強者と戦う事を好む一種の誇りの様な物を持っている。
知能もあるので遭遇する事はあれど、武器を目の前で捨てれば殆どの場合見逃してくれる。
裏を返せば目の前で武器を抜けば死合うのは必至。
ノアとバトルベアとの距離があと僅かと言う所でバトルベアが動きを止め、ゆっくりと立ち上がる。
その行動を見たノアは後ろにいる隊員達に指示を出す。
「皆さんはもう少し下がって下さい。」
今から何が始まるか察した隊員達は即座にその場から下がる。
バトルベアが完全に立ち上がり、両方の手を大きく広げる。
体長は優にノアの3倍はあろうかという位はあるだろう。
両者共ずっと睨み合ったまま視線を外さない。
ゴァアアアアアアアアアアアアッ!
鼓膜が破れそうな程の咆哮と共に殺気を放ってくる。
そんな殺気を当てられたノアはと言うと口端を吊り上げ満面の笑みを浮かべる。
「はっはー!良いねー、すーげぇ殺気だ!」
バトルベアは威嚇に加え殺気を放っても物怖じしないノアに一秒でも早く戦いを始めたい気持ちを押さえている。
何故ならノアはまだ戦いの意を示していないからだ。
ノアが腰の剣を抜いた時こそが戦闘開始の合図となる。
「暴れ猪倒すまで待っててくれたんだ。思う存分殺ろうや!」
バチン!バチン!
ノアは阿羅亀噛2本を腰から外す。
待ってましたとばかりにバトルベアが咆哮と共に人の胴程もある巨大な右腕をノアに向かって振り下ろす。
それに合わせる様に右手の阿羅亀噛を逆手に持ち替え、振り下ろしに合わせる。
ギャリィィン!
周囲に金属同士が擦れる音が響く、バトルベアの硬質化して金属と同等の強度に達した肉球とノアの阿羅亀噛が接触し激しく火花が散る。
ノアの剣には何の異常も無いがバトルベアの手はそうはいかない、硬質化した肉球を断ち斬り、小指が皮一枚で繋がっている状態だ。
ノアは振り抜いた直後、体のバネを使ってバトルベアの背後にまわる。
が、背後から奇襲は仕掛けず、相手の出方に集中する。
バトルベアは皮一枚で繋がっている小指を少し眺めた後、口の中に放り込んでムシャムシャと食べる。
悠々とノアの方に向き直り、右、左と猛烈な速度で腕を振るって凪払いを仕掛けてくる。
ノアは体勢を低くし、時には避け、時には剣の峰で迎撃する。
その度に火花が散り、次々と襲い来る凪払いの威力を物語っている。
ガガゴゴギガゴガギギン!
迎撃の合間を縫って骨を砕くべく強烈な峰打ちを太腿に繰り出すが、硬質化した体毛と強靭な皮膚、通常の熊以上の分厚い脂肪に加え強靭な筋肉に守られ、骨を折る程の威力が通らない。
バトルベアは続けて左腕を振り下ろして来るのでノアは迎撃せず1歩分下がる。
空振った腕は地面に突き刺さり深い陥没と強い振動を起こす。
直ぐにノアは左腕に接近し、肘の関節に阿羅亀噛の峰を叩き込む。
ドゴッ! ゴッ…ガァアアアアアアッ!
折れてはいないだろうが痛打を与える事は出来ただろう。
肘の部分を押さえて僅かに悶えている。
その隙を見逃さず、懐に飛び込もうとしたが、バトルベアが前脚を下ろし、4足歩行になった。
(さて、ここからが本番だな…)
「ではモンスターを見付けた場合は手出し無用でお願いします。」
調査隊員らの了承を貰った所で盾鹿の反応を感知。
盾鹿の方もこちらに気付いてる様なので背中から弓を取り出し、軽く射る。
カシュッ!
盾鹿が角を下げ、迎撃態勢に入った所で<忍び足>を発動し急速接近。
ゴッ!
盾鹿が矢を盾角で受け止めた頃には真横まで接近し終えている。
ズバッ! ドシャッ!
首を撥ねられた鹿の体が崩れ落ちる、ノアの後方少し離れた位置に同様の盾鹿の反応があったので<集中>を発動、振り向き様に剣をぶん投げる。
これを盾鹿は盾角で迎撃しようとするが、当たった瞬間角を貫き、勢いそのままに首に深々と突き刺さり地面に縫い付けられたので直ぐに駆け寄り首を撥ねる。
更に前方に盾鹿がいるがノアの視線に気付き逃げの姿勢に入ったので<集中><投擲術>を発動し、逃げる盾鹿に向かって放物線を描く様に剣を投げる。
ビュオンッ! ドッ! ギュギギッ!
ノアの投げた剣は盾鹿の胴体を貫いた勢いのままダンジョンの壁に突き刺さる。
続けざまに剣をもう1本投げ、完全に首を両断する。
<す、凄ぇ…盾鹿をあんないとも容易く倒すなんて…>
<彼の戦い方もそうだがあの剣は何だ?あんな使い方したら直ぐに使い物にならなくなるぞ?>
<やっぱり俺らの時は軽くあしらわれてたんだな…>
隊員達の感想等が聞こえてくるが、奥から知らない反応が2つ。
(4足歩行で近付いてくるアイツは何だ…?体高の段階で自分と同じ位あるぞ…)
木々の間を縫う様に現れたのは巨大な猪だ。
ノアに近付くやいなや怒気をはらんだ息遣いのあと突進を開始する。
突進中は木は根元からもがれが岩は砕いて構わず突進してくる。
ノアまであと僅かと言う所で回避する。
猪はゆっくりとノアに向き直り突進を仕掛けて来ようとしたので急速に顔の前まで接近し、ショートソード程の長さがある牙を掴む。
「おい!君!?力比べのつもりか?止めておけ!見ただろう?さっきの突進力を!」
調査隊員達もノアの行動に制止を呼び掛けるが両者共に動かない。
が、両者共足が地面に深々とめり込んでいる。
「ぐ、ぎぎぎぎ…」
フゴッ!フグッ!ォアッ!
<嘘だろ!?拮抗してるだと!?>
<いや待て!>
猪の方を見ると顔が徐々に傾いていく、ノアが牙に力を込め、倒しに掛かる。
が強烈な力で顔を振り、ノアの拘束を解く。
ノアは後ろへ大きく下がるとその場で仁王立ちをする。
先程よりも更に怒気を高め突進を仕掛ける。
正面にノアを捉え猛然と迫る。
ノアはピクリとも動かず睨み付ける。
猪とノアとの距離が2歩分まで迫った所で右斜め前に向かって右足を大きく踏み込む。
猪とすれ違いざま、腰を切って左の阿羅亀噛を抜刀、猪の左前脚を両断、左後ろ脚を大きく斬り裂く。
脚を失った猪は堪らず転倒、痛みから耳をつんざく様な咆哮をあげる。
ノアは倒れ伏す猪の元まで向かい一撃で仕留める為、地面ごと斬る様に大振りで振り抜く。
大量の血飛沫を噴き出して猪は絶命した。
<あ、『暴れ猪』を単独で討伐するなんて…>
<普通はパーティで討伐するモンスターだぞ…>
『暴れ猪』…通常の猪より巨大に、そして狂暴的になった猪。
他者の気配を感じ取っただけでも怒りに身を震わせる程である。
暴れ猪を回収しつつ奥にいるもう1つの反応に注視していた。
ノアの戦闘中も乱入してくる事無くただ静観していたが、暴れ猪討伐後はゆっくりとだがこちらに近付いてくる。
のそりのそりと歩いて来るがこの段階で既に体高が暴れ猪よりも巨躯である事が窺える。
<おいあれって『バトルベア』じゃないか?>
<出現するのは中層下部からじゃなかったか?>
遠くから隊員達の困惑混じりの会話が聞こえるが今は無視だ。
(『バトルベア』か…こいつは面白い生態をしているからよく覚えてる。)
『バトルベア』…通常の熊以上に巨体で攻撃力、防御力共に桁外れに上がっているが闇雲に襲って来る事はなく、強者と戦う事を好む一種の誇りの様な物を持っている。
知能もあるので遭遇する事はあれど、武器を目の前で捨てれば殆どの場合見逃してくれる。
裏を返せば目の前で武器を抜けば死合うのは必至。
ノアとバトルベアとの距離があと僅かと言う所でバトルベアが動きを止め、ゆっくりと立ち上がる。
その行動を見たノアは後ろにいる隊員達に指示を出す。
「皆さんはもう少し下がって下さい。」
今から何が始まるか察した隊員達は即座にその場から下がる。
バトルベアが完全に立ち上がり、両方の手を大きく広げる。
体長は優にノアの3倍はあろうかという位はあるだろう。
両者共ずっと睨み合ったまま視線を外さない。
ゴァアアアアアアアアアアアアッ!
鼓膜が破れそうな程の咆哮と共に殺気を放ってくる。
そんな殺気を当てられたノアはと言うと口端を吊り上げ満面の笑みを浮かべる。
「はっはー!良いねー、すーげぇ殺気だ!」
バトルベアは威嚇に加え殺気を放っても物怖じしないノアに一秒でも早く戦いを始めたい気持ちを押さえている。
何故ならノアはまだ戦いの意を示していないからだ。
ノアが腰の剣を抜いた時こそが戦闘開始の合図となる。
「暴れ猪倒すまで待っててくれたんだ。思う存分殺ろうや!」
バチン!バチン!
ノアは阿羅亀噛2本を腰から外す。
待ってましたとばかりにバトルベアが咆哮と共に人の胴程もある巨大な右腕をノアに向かって振り下ろす。
それに合わせる様に右手の阿羅亀噛を逆手に持ち替え、振り下ろしに合わせる。
ギャリィィン!
周囲に金属同士が擦れる音が響く、バトルベアの硬質化して金属と同等の強度に達した肉球とノアの阿羅亀噛が接触し激しく火花が散る。
ノアの剣には何の異常も無いがバトルベアの手はそうはいかない、硬質化した肉球を断ち斬り、小指が皮一枚で繋がっている状態だ。
ノアは振り抜いた直後、体のバネを使ってバトルベアの背後にまわる。
が、背後から奇襲は仕掛けず、相手の出方に集中する。
バトルベアは皮一枚で繋がっている小指を少し眺めた後、口の中に放り込んでムシャムシャと食べる。
悠々とノアの方に向き直り、右、左と猛烈な速度で腕を振るって凪払いを仕掛けてくる。
ノアは体勢を低くし、時には避け、時には剣の峰で迎撃する。
その度に火花が散り、次々と襲い来る凪払いの威力を物語っている。
ガガゴゴギガゴガギギン!
迎撃の合間を縫って骨を砕くべく強烈な峰打ちを太腿に繰り出すが、硬質化した体毛と強靭な皮膚、通常の熊以上の分厚い脂肪に加え強靭な筋肉に守られ、骨を折る程の威力が通らない。
バトルベアは続けて左腕を振り下ろして来るのでノアは迎撃せず1歩分下がる。
空振った腕は地面に突き刺さり深い陥没と強い振動を起こす。
直ぐにノアは左腕に接近し、肘の関節に阿羅亀噛の峰を叩き込む。
ドゴッ! ゴッ…ガァアアアアアアッ!
折れてはいないだろうが痛打を与える事は出来ただろう。
肘の部分を押さえて僅かに悶えている。
その隙を見逃さず、懐に飛び込もうとしたが、バトルベアが前脚を下ろし、4足歩行になった。
(さて、ここからが本番だな…)
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