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旅立ち~オードゥス出立まで
ジョーとししょー
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薬草小屋に入ると店内にはジョーとししょーが話していた。
「おや、ノア君いらっしゃい。」
「噂をすれば何とやら、いらっしゃいぼうや。」
「噂ですか?」
「いやいや、こっちの話だよ。それでどうしたんだい?」
「先程仰っていた魔力を通して貰いに来ました。」
「ほほう、魔力をね、良いよ。その場で動かず立っててくれ。」
ししょーに言われてその場に立ち続けていると、ししょーのその巨大な毛玉の様な体毛から1本の杖を取り出す。
「生き物は皆、元から魔力を使う経路が備わっているんだが、開きっ放しだとすぐ枯渇しちゃうから常に栓をしている状態なのさ。」
ししょーが手に持つ杖をノアの体に這わし、お腹のへそ辺りでピタリと止める。
「坊やの栓はこの辺り、これを開いてやれば坊やも魔法が使える様になるよ。」
「へー、開くってどう「ほいにゃぁっ!」」
どぬっ!「うごはぁっ!?」
掛け声と共に杖の先端を腹にめり込ませる。
あまりの出来事と激痛にノアがもんどり打つ。
しかし、少しすると刺された部分が仄かに温かくなっていくのを感じる。
「こ、この感覚は…出血!?」
「いや…それが魔力が沸き上がってくる感覚だよ坊や。
さっき話した栓を開けた状態だ、そのままだと直ぐに枯渇しちゃうから栓を締めていくイメージを…驚いた、初めてなのにもう制御の仕方を掴んだのかい?」
「何か気配を調節する感覚に似てますね。」
ノアが持つ<殺気放出>は現在バーサークベアに匹敵する程の殺気に上書きされているが、任意で調節すれば格下のモンスターの殺気も放つ事が出来る。
内から発する殺気の制御方法と魔力の制御方法に似た部分があったのだろう、直ぐにノアの魔力は安定した。
「いやはや、流石に早いよ。私だって初めの頃は制御するのに2日掛かったのに…」
「やはり両親の仕込み方が良かったんだろうね、普通の子だったら制御出来ずに魔力切れを起こすのが殆どだよ。」
「これで一応魔法は使える様になったんですよね?」
「ん?あぁ、使える様になっただけで技とかはこれから覚えないと…」
「あ、いいです。」
「なっ!?何だってぇ!?」
ノアの発言に衝撃を受けたししょーが大声で叫び、最近高くなってきた血圧が上がる。
「ジョーさん、魔力通ったみたいなので例のキッチン購入します。」
「え!?あぁ、構わないよ…」
「ちょっ、ちょっと待つんにゃ坊や!い、いらないだって!?」
「そうですね、魔力で個人登録しなければならない物が買いたかっただけですので。」
そうノアが言うとししょーはキッとジョーを睨み付ける。
「うーん…ノア君、魔法も覚えとくと結構役立つよー?回復とか…」
「あー…回復は欲しいですね。」
「そうじゃろ、そうじゃろ?他にも火属性とか風属性の魔法とか…」
「あ、それはいいです。」
「何でじゃーぃ!」
度重なるノアからの拒絶に自分のキャラも忘れて叫ぶししょー。
「いや、何と言いますか、自分の戦い方って『高火力で一気に』って感じなんですよ。」
「野菜炒めの作り方みたいだね。」
「茶々を入れんじゃあないよ。」
ずむんっ! 「うぐぅっ!?」
場を和ます為に言った一言だったがししょーの癪に触ったようだ。
「その…出が遅い攻撃方法はちょっと…」
「あー…なるほどね…」
「じゃ、じゃあ、出が早い雷魔法何かどうかな?」
「消費魔力多い割に当てにくいんだよな…」
「ぐぬぬぬぬ…」
ノアは顎に手をやり、うんうん唸る。
少し考えた後、ししょーに質問を投げ掛ける。
「…すいません、属性魔法って何種類あるんですか?」
「先にそれ説明すれば良かったね。えーっと…」
この世界における属性魔法の種類は以下の通りになる。
火属性魔法…炎を操ったり放出が可能。
水属性相手や雨天時に不利。
水属性魔法…水流操作や水属性攻撃が可能。
雷属性相手や乾燥地帯では不利。
風属性魔法…気流操作や斬撃攻撃、体に風を纏わせて移動速度上昇効果を付与可能。
台風や大嵐の時期は不利。
雷属性魔法…高火力な上、広範囲攻撃が可能。
体に纏わせて身体強化を付与可能。
魔力消費は全属性の中でも多い上当てにくい。
土属性相手に不利。
土属性魔法…土や岩に干渉して形状操作が可能。主に土木工事等で用いられる。
水属性に不利。
光属性魔法…アンデッド系モンスターに最も効果を発揮し、高位聖職者や聖騎士等はこの属性魔法を所持している。
不得手な属性は特に無し。
闇属性魔法…闇夜に紛れ、影に潜んだりと応用の幅が広く隠密職に人気。
光属性に多少不利。
「こんな所だね。」
「じゃあ土属性魔法で。」
「土属性ね…ええっ!?土属性魔法だって!?」
「ノア君本当に土属性魔法にするのかい?」
「えぇ、畑仕事とかで両親の手助け出来るかなーって。」
ノアの決意を止めるつもりは無いがよりにもよって土属性魔法を選ぶとは両名共、予想だにしなかった様だ。
土木工事は勿論の事、ノアが言った様に畑仕事でも非常に重宝される。
((こりゃ、戦闘面で使うつもりは一切無いな…))
ここまで懇切丁寧に魔法について教えたにも関わらず一向に興味が無さそうな顔をしているノアを見て先程までグイグイと魔法を勧めていた両名も流石に諦めた様で
「じゃあ土属性魔法で登録するよ?掌を上にしてこちらに差し出して。」
「はい、お願いします。」
手を差し出すとししょーが2、3呟き、ノアの両掌に魔方陣が浮かび上がる。
痛みとかは無く手を動かしても何ら支障は無いようだ。
「はい、これで登録したよ。
別の属性に変えたくなったらまた来な!最初から覚え直しになるけど変更可能だよ。」
「分かりました、大事に使います。」
属性魔法の登録が済んだノアは綺麗に半回転してジョーに向き直る。
「と、言う訳で登録終わりました、早速キッチンの購入を!」
魔法云々の時とは打って変わってハキハキと喋るノアに、本当に興味無かったのだなと感じ、落ち込むししょー。
「じゃあ手続きやお金が絡むからギルドに向かおうか。
僕は少しししょーと話す事あるから先に向かっててくれないか?」
「はい!待ってますね。」
るんるん気分で小屋を出るノアをジョーとししょーが見送る。
「少し急かし過ぎたかねぇ…」
「その様だね、本当に仕方無く取ったって感じだったね…」
「『高火力で一気に』…ねぇ…本当にそんな戦い方なのかい?」
「防衛戦の戦いを僕は間近で見てたけど『一騎当千』って感じだったよ。
ノア君は気付いて無いだろうけど彼の戦い方に感化された新人冒険者は何人もいたみたいで、ギルドじゃ無茶な事はするな、って言い聞かせるのに必死みたいだよ。」
「ふぅん…そんな彼に手数を増やしてあげようって思ったんだけどねぇ…まさか土属性魔法とは…」
「まぁ彼なら上手く使ってくれるだろうし、直ぐに別の属性に変更しに来るんじゃないか?」
「そうだね。
魔法の有用性を認識すれば直ぐに戻って来るさ。」
尚、今後もノアは土属性魔法を変更する事は無かった。
「おや、ノア君いらっしゃい。」
「噂をすれば何とやら、いらっしゃいぼうや。」
「噂ですか?」
「いやいや、こっちの話だよ。それでどうしたんだい?」
「先程仰っていた魔力を通して貰いに来ました。」
「ほほう、魔力をね、良いよ。その場で動かず立っててくれ。」
ししょーに言われてその場に立ち続けていると、ししょーのその巨大な毛玉の様な体毛から1本の杖を取り出す。
「生き物は皆、元から魔力を使う経路が備わっているんだが、開きっ放しだとすぐ枯渇しちゃうから常に栓をしている状態なのさ。」
ししょーが手に持つ杖をノアの体に這わし、お腹のへそ辺りでピタリと止める。
「坊やの栓はこの辺り、これを開いてやれば坊やも魔法が使える様になるよ。」
「へー、開くってどう「ほいにゃぁっ!」」
どぬっ!「うごはぁっ!?」
掛け声と共に杖の先端を腹にめり込ませる。
あまりの出来事と激痛にノアがもんどり打つ。
しかし、少しすると刺された部分が仄かに温かくなっていくのを感じる。
「こ、この感覚は…出血!?」
「いや…それが魔力が沸き上がってくる感覚だよ坊や。
さっき話した栓を開けた状態だ、そのままだと直ぐに枯渇しちゃうから栓を締めていくイメージを…驚いた、初めてなのにもう制御の仕方を掴んだのかい?」
「何か気配を調節する感覚に似てますね。」
ノアが持つ<殺気放出>は現在バーサークベアに匹敵する程の殺気に上書きされているが、任意で調節すれば格下のモンスターの殺気も放つ事が出来る。
内から発する殺気の制御方法と魔力の制御方法に似た部分があったのだろう、直ぐにノアの魔力は安定した。
「いやはや、流石に早いよ。私だって初めの頃は制御するのに2日掛かったのに…」
「やはり両親の仕込み方が良かったんだろうね、普通の子だったら制御出来ずに魔力切れを起こすのが殆どだよ。」
「これで一応魔法は使える様になったんですよね?」
「ん?あぁ、使える様になっただけで技とかはこれから覚えないと…」
「あ、いいです。」
「なっ!?何だってぇ!?」
ノアの発言に衝撃を受けたししょーが大声で叫び、最近高くなってきた血圧が上がる。
「ジョーさん、魔力通ったみたいなので例のキッチン購入します。」
「え!?あぁ、構わないよ…」
「ちょっ、ちょっと待つんにゃ坊や!い、いらないだって!?」
「そうですね、魔力で個人登録しなければならない物が買いたかっただけですので。」
そうノアが言うとししょーはキッとジョーを睨み付ける。
「うーん…ノア君、魔法も覚えとくと結構役立つよー?回復とか…」
「あー…回復は欲しいですね。」
「そうじゃろ、そうじゃろ?他にも火属性とか風属性の魔法とか…」
「あ、それはいいです。」
「何でじゃーぃ!」
度重なるノアからの拒絶に自分のキャラも忘れて叫ぶししょー。
「いや、何と言いますか、自分の戦い方って『高火力で一気に』って感じなんですよ。」
「野菜炒めの作り方みたいだね。」
「茶々を入れんじゃあないよ。」
ずむんっ! 「うぐぅっ!?」
場を和ます為に言った一言だったがししょーの癪に触ったようだ。
「その…出が遅い攻撃方法はちょっと…」
「あー…なるほどね…」
「じゃ、じゃあ、出が早い雷魔法何かどうかな?」
「消費魔力多い割に当てにくいんだよな…」
「ぐぬぬぬぬ…」
ノアは顎に手をやり、うんうん唸る。
少し考えた後、ししょーに質問を投げ掛ける。
「…すいません、属性魔法って何種類あるんですか?」
「先にそれ説明すれば良かったね。えーっと…」
この世界における属性魔法の種類は以下の通りになる。
火属性魔法…炎を操ったり放出が可能。
水属性相手や雨天時に不利。
水属性魔法…水流操作や水属性攻撃が可能。
雷属性相手や乾燥地帯では不利。
風属性魔法…気流操作や斬撃攻撃、体に風を纏わせて移動速度上昇効果を付与可能。
台風や大嵐の時期は不利。
雷属性魔法…高火力な上、広範囲攻撃が可能。
体に纏わせて身体強化を付与可能。
魔力消費は全属性の中でも多い上当てにくい。
土属性相手に不利。
土属性魔法…土や岩に干渉して形状操作が可能。主に土木工事等で用いられる。
水属性に不利。
光属性魔法…アンデッド系モンスターに最も効果を発揮し、高位聖職者や聖騎士等はこの属性魔法を所持している。
不得手な属性は特に無し。
闇属性魔法…闇夜に紛れ、影に潜んだりと応用の幅が広く隠密職に人気。
光属性に多少不利。
「こんな所だね。」
「じゃあ土属性魔法で。」
「土属性ね…ええっ!?土属性魔法だって!?」
「ノア君本当に土属性魔法にするのかい?」
「えぇ、畑仕事とかで両親の手助け出来るかなーって。」
ノアの決意を止めるつもりは無いがよりにもよって土属性魔法を選ぶとは両名共、予想だにしなかった様だ。
土木工事は勿論の事、ノアが言った様に畑仕事でも非常に重宝される。
((こりゃ、戦闘面で使うつもりは一切無いな…))
ここまで懇切丁寧に魔法について教えたにも関わらず一向に興味が無さそうな顔をしているノアを見て先程までグイグイと魔法を勧めていた両名も流石に諦めた様で
「じゃあ土属性魔法で登録するよ?掌を上にしてこちらに差し出して。」
「はい、お願いします。」
手を差し出すとししょーが2、3呟き、ノアの両掌に魔方陣が浮かび上がる。
痛みとかは無く手を動かしても何ら支障は無いようだ。
「はい、これで登録したよ。
別の属性に変えたくなったらまた来な!最初から覚え直しになるけど変更可能だよ。」
「分かりました、大事に使います。」
属性魔法の登録が済んだノアは綺麗に半回転してジョーに向き直る。
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魔法云々の時とは打って変わってハキハキと喋るノアに、本当に興味無かったのだなと感じ、落ち込むししょー。
「じゃあ手続きやお金が絡むからギルドに向かおうか。
僕は少しししょーと話す事あるから先に向かっててくれないか?」
「はい!待ってますね。」
るんるん気分で小屋を出るノアをジョーとししょーが見送る。
「少し急かし過ぎたかねぇ…」
「その様だね、本当に仕方無く取ったって感じだったね…」
「『高火力で一気に』…ねぇ…本当にそんな戦い方なのかい?」
「防衛戦の戦いを僕は間近で見てたけど『一騎当千』って感じだったよ。
ノア君は気付いて無いだろうけど彼の戦い方に感化された新人冒険者は何人もいたみたいで、ギルドじゃ無茶な事はするな、って言い聞かせるのに必死みたいだよ。」
「ふぅん…そんな彼に手数を増やしてあげようって思ったんだけどねぇ…まさか土属性魔法とは…」
「まぁ彼なら上手く使ってくれるだろうし、直ぐに別の属性に変更しに来るんじゃないか?」
「そうだね。
魔法の有用性を認識すれば直ぐに戻って来るさ。」
尚、今後もノアは土属性魔法を変更する事は無かった。
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