ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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旅立ち~オードゥス出立まで

お買い上げありがとうございます

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「『調理器具一体型キッチン』大鍋、フライパン包丁等々初期配置済み、占めて330万ガル、お買い上げありがとうございます。」

「いつ頃手元に届きますか?」

「そうだねぇ、明日の朝には説明書と一緒にノア君が泊まっている宿に届けられるかな。」

「楽しみに待ってますね。」


現在ノアとジョーはギルド内のカウンター前でエメラルダギルド長立合いの元、商品の購入を行っていた。


「何でエメラルダさん立合い何ですか?」

「高額商品になると稀にあるんだ、金だけ貰ってそのままトンズラなんて事がね。」

「ジョー様程の大きな商会になるとそんな事あり得ないのですが、念の為証人を立てるんです。」

「そう言う事、さてノア君他に何か欲しい物はあるかな?」

「いえ、今の所特には…欲しい物は食材位なのでこの後街で奔走してると思います。」

「おや、また何か作るのかい?」

「やっぱり携行食だけじゃちょっと厳しいですからね。
手軽に食べられて腹に溜まるものを、と思いましてね。」

「ほー、出来たらまた貰っても良いかな?」

「えぇ、もちろんです。」


キッチンの購入とこの後の行動目標が決まったのでジョーともこの場で別れる事に。
既に外は暗い為、急いで食材確保に向かう事になった。



1軒目 解体小屋

「失礼しまーす。」


ノアが小屋に入るとバラスとアルキラーが出迎えてくれた。


「あれ?何か用かい?」

「肉の買い付けってどこで出来ますか?」

「あー、こちらからギルドに話通しておけばここでも買えるよ?何の肉をどれ位欲しいのかな?」

「鹿の肉を5キロほどです。」

「5キロ…どれ位だったかしら~」

「バラス、人の頭部と同じ重さだよ。」

「あ~、ごめんごめんこれ位ね~。」ズダンッ!


バラスがいつの間にか用意していた鹿の肉を大きな包丁で切り分け、片手で持ち上げ重さを確認する。


「頭部、頭部…うん。これ位ね~、はいお待ちどう様~。
ギルドに連絡しとくわね~。」

「は、はい。お願いします…」


ノアは足早に小屋を出る。

(『なぁ『俺』、あの2人…』)

(言うな!さっきから<虫の知らせ>が滅茶苦茶反応してるんだ!今の事は忘れて次行くぞ、次!)



2軒目 食堂

「おばちゃーん!いますかー?」

「あいよー!おや、坊やどうしたんだい?」

「ここでパンの注文って出来ますか?
この間ここで食べた『肉たっぷりシチュー』のパンなのですが…」

「あ~、シチューを吸いやすい様に少し硬めにしたパンだね?ほぼ毎日作ってるからついでに作っといてあげるよ。
幾つ欲しいんだい?10個かい?20個かい?」

「50個で。」

「はっ!50!?…いつまでだい?明日の今頃なら大丈夫だけど。」

「はい、それでお願いします。ちなみにお代は幾らになりますか?」

「とりあえず8000ガル貰っておくよ。足りなかったり多かったら受け渡しの時にでも言うよ。」


ひとまず指定の金額を支払う。


「そういやぁまた厨房使うのかい?」

「いえ、先程キッチン購入したのでそちらを使う事になりそうです。」

「はぁ~稼いでるねぇ、それで彼女に旨いもん作ってやるんだろう?(ニヤニヤ)」

「…えぇ、まぁ…(照)」

「ズズズ…おぉ甘い甘い。」


おばちゃんが渋いお茶を啜りつつニヤニヤしてノアの顔をみやる。
空気に耐えられなくなったノアは後の事をおばちゃんに託してその場を離れる。


「ふふっ、青春だねぇ。」



3軒目 食料品店

「失礼しまーす。」

「あらいらっしゃい、本日は何をお買いになられますか?」

「えーっと卵を10、玉ねぎ12、乾燥出汁1箱、トマトの水煮2瓶、バターの小瓶1瓶、パン粉1袋、塩コショウ各種、あとウスターソースとかってありますか?」

「はい、ありますよー。全部で4500ガルになります。」


支払いを終え、材料を次々アイテムボックスに仕舞って行く。

「あ、皿…皿って売ってますか?」

「ああ、あるよ?幾つ必要ですか?」

「えーっと、50枚で。」

「ぶふっ!?…りょ、了解しました。
全部で3万ガルになります、奥の在庫見てくるから少し待っててね。」


奥に向かった職員は少しして戻ってくるとノアに50枚キッチリ渡す。
ノアは支払いを済ませて職員に礼をして店を出る。


「さて、買う物買ったし後は宿に戻って寝るか。」


ふと通りの奥を見ると新しい装備を持って歩くジェイルパーティの姿を見付ける。


「やっぱり明日には全部終わらせとかないとな…
さ、帰って寝よ寝よ。」


ノアは宿に向け歩き出した。





~空が薄ら白んで
来た頃~

<コト…>

「んむ?…ふぁ~~っ…」


微かな物音に目が覚め、部屋の真ん中辺りを見ると、取っ手が付いた、黒く四角い箱が置いてあった。
近くまで寄ると手書きで『オープン』と書かれたメモが置いてあった。


「…『オープン』?」


メモの通りに呟くと黒い箱に光が走り、ガチャガチャと音を立てて展開していき、ものの数秒で展開は終了する。

正面向かって左からまな板が付いてる台、鍋がが置けそうな台が2つ、そして両端にそれぞれ鍋やフライパン、包丁等の調理器具が収納されている。
その収納棚の天板もまな板として使用可。

よく見ると台の中央に『ここに手を置いて魔力を流して』とメモが置いてある。
指示に従い手を置いて魔力を流す。すると


「今回お買い上げありがとうございます。
あなた様のお名前を仰って下さい。」

ノアは音声に戸惑いつつも答える。

「ノ、ノアです。」

「それではノア様、本製品の使い方が分からない時はいつでもお申し付け下さい。」

「それじゃ、鍋はどこに置けば良いかな?」

「正面にございます台の上に置いて下さい。
"点火"と、唱えれば温められていきます。
終了の際は合図を出すか、1分以上台に何も置いていなければ勝手に終了します。」

「ありがとう。そういえば流しとか水場はあるかな?」

「調理に水を使う場合は使用する器具の上で手で円を描くと水属性の魔方陣が現れ、そこから少しずつ加える事が出来ます。
終了したい場合はその魔法陣を消す様に手を振れば止まります。
洗い物をしたい場合は"クリーン"と唱えれば生活魔法のクリーンが発動され、汚れも臭いも綺麗さっぱり落とします。
他に何かございますでしょうか?」


「…超高性能じゃん…」

「いえいえ、そんなそんな。
あ、そうでした、大切なお話があります。
この設備はノア様の魔力で動いています、高性能な分、魔力の容量も大きいので小まめに魔力を流しておいて下さい。現在の魔力残量7%です。」


とにかく魔力量が少ない様なので空が大分明るくなるまで魔力を注ぎ続けた。
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